廃止が検討される兵庫県立粒子線医療センター=2023年6月、たつの市新宮町光都1(同センター提供)
廃止が検討される兵庫県立粒子線医療センター=2023年6月、たつの市新宮町光都1(同センター提供)

 経常赤字が続いている兵庫県立粒子線医療センター(たつの市)のあり方を検討するため兵庫県が設置した検討委員会が12日、2027年度末までの撤退が望ましいとする報告書をまとめた。開設24年で計1万人超が利用した先進医療施設だが、設備が老朽化し、利用者も減っていた。県は提言を踏まえ、廃止を含めた検討に入る。

 検討委は粒子線治療や病院経営の専門家ら5人で構成。昨年6月から議論してきた。

 県病院局などによると、同センターは01年、県が播磨科学公園都市の約5万9千平方メートルに約280億円をかけて開設。自治体病院としては全国初の粒子線治療施設だった。

 放射線治療の一種である粒子線治療は、エックス線と比べてピンポイントでがんを攻撃でき、他の臓器への悪影響が少ない。陽子(水素イオン)を照射する手法と重粒子(炭素イオン)を使う2種類の治療法があり、両方とも可能な施設は現在も全国で同センターのみ。肝細胞がんや膵がんなどの治療にも有効という。

 ただ開設から20年以上が経過し、施設の老朽化に伴う維持費が大幅に上昇。一方、13年度に745人いた患者は、大阪など近隣に粒子線治療施設が開設されたため、23年度は半数以下の332人まで減少した。病床数は50床しかないが、24年度の経常赤字額は約7億6千万円(付属施設除く)に膨らむ見通し。

 耐用年数の15年が過ぎ、設備に故障が頻発したため、18年度から総額34億円かけた改修工事を実施したが、保守契約を28年度以降も継続するには再度の大規模改修が必要。検討委は設備の入れ替えや移転など3パターンを試算したが、いずれも予算規模は100億円を大幅に超えたという。

 人口減少が続く中、保険適用の拡大に伴い患者1人当たりの医業収益も減少しており、経営改善の見込みが立たないと判断した。患者の3割を占める陽子線の適応患者は神戸・ポートアイランドの神戸陽子線センターで受け入れ、重粒子線の適応患者は県内で代替施設を確保できない場合は県外への通院サポートも検討するよう提言した。(霍見真一郎)