外務省、法務省・入管庁、警察庁の不作為あるいは力量不足が連鎖して、偽装難民が取り締まられることなく常態化すると、正規の在留資格で滞在し、日本社会の中でまじめに勉学に励みあるいは仕事をしているトルコ人までが偽装難民などと疑われることになりかねず、早期に厳格な対応が必要です。
現在、トルコのパスポートを持っていると日本入国時には短期滞在の査証が免除されていますが、空港に到着して上陸を拒否してもしばらくしてから別の空港に舞い戻ってきたりあるいは出国を拒否して居座ろうとする事案も散発していることから、抜本的な不法就労対策として査証免除の停止を外務省に強く申し入れています。
入管庁では、明らかに難民認定するに至らないものに対しては当初の振り分けにおいて在留許可を出さないこととする方針を明らかにしており、上述のとおりトルコ国内の特定の県から不法就労を目的に来日したクルド系トルコ人はこれに該当するものして厳格な対応がとられるのは当然と考えます。
また入管庁は、難民である蓋然性が低い事案については、不法就労を防止する観点から難民認定の審査をスピードアップしていくこととしています。
さらに入管庁では、抜き打ちで在留資格の調査をし、警察と協力するなどして不法就労していた者とそれを雇っていた者に対する摘発及び退去強制など厳格な処分を推し進めることになっています。
私が20年前に法務副大臣を務めていたときには、日本国内での不法残留者数が10万人を超えていたので、入管と警察が合同で、不法就労が特に問題になっている地域を決めて居宅や事業所を対象とした摘発を積極的に行い、強制送還していきました。
同様のことを再び、行う必要があります。
お隣の韓国では不法滞留者が2023年末現在で42万人を超えるようになり(うちタイ人が約36%の15万2千人余)、韓国政府が摘発を強化したところ、これまで韓国で多く不法滞在、不法就労をあっせんしていたタイ人のブローカーが、日本に狙いを移して、タイ人を観光目的で来日させた後、難民認定申請を指南するようになり、結果として、その数が急増するに至ったのではないかとの指摘があります。
また、本国の経済状況が近年悪化しているスリランカ人にも同様の傾向が見られています。
観光目的で来日し、難民認定の申請さえすれば自由に働けるなどという思い込みによって日本でやってきたり、留学生や技能実習生として来日後に除籍などにより本来の活動ができなくなった後も、稼働を継続しようと意図して辻褄の合わない理由で自分は難民であると主張する外国人が跡を絶ちません。
また、何らかの理由でそれを助長させようとしたり、あるいは真の背景事情を知らずに一部のメディアから伝えられるままに可哀想な人たちだと信じ込み支援しようとして、入管の現場に様々な圧力をかけたり、あるいは人権侵害などという非難の言葉を浴びせようとする日本人がいるのも残念ながら事実です。
入管職員をしっかりサポートしながら、不法入国、不法滞在、不法就労の撲滅に向けて引き続き努力しています。