PyCon APAC 2023での私への @mpyw / @96usa_koi による誹謗中傷と、訴訟の話

そんな昔の話、今更蒸し返すなという方もいるでしょうが、これは私にとって非常に大事なことなので記録として残します。今回は、運営している一般社団法人の無責任な姿勢には触れず、度を超えた誹謗中傷を受けた件について話します。

前提

Pythonコミュニティを破壊する人間だとレッテルを多数の人に貼られてしまったため、まずは、私は、自らが中学生時代に行われたPyCon JP 2012から参加しており、Pythonコミュニティにも多少なり貢献していた人間であることを最初に書いておきます。

発端

プログラミング言語Python のカンファレンス、PyCon JP (運営: 一般社団法人PyCon JP Association) がアジア太平洋 (APAC) を代表し、持ち回りで日本で行われた回、PyCon APAC 2023で発端が発生しました。このイベントは、2023年10月27日と28日の2日間がセッションデーでした。

それより少し遡る2023年10月上旬、NOC (会場内通信、Wi-Fiなどを管理するチーム) メンバーの一人であり、当時友人であった @_masatojp (のちにPyCon JP 2024でNOCリーダーとなっている) の家にお邪魔し、いろいろと話をしました。その中で、「DNSクエリを可視化するボードを設置する」という案が進んでいることを聞き、それは絶対にやめた方が良い、法的にはわからないが、モラルとしてありえないと意見しました。@_masatojp には、NOCミーティングで問題として必ず伝えると言ってもらいました。

会場フリーWi-Fiでのプライバシー侵害

ところが、セッションデー初日にカンファレンス公式サイトで見たのは、私の意見が全く反映されず、リアルタイムに、会場内Wi-Fiの通信のDNSクエリがグラフィカルに表示されている様子「DNSクエリ可視化」でした。なお、PyCon APAC 2023はスケジュール面で現地参加はしませんでしたので、現地のモニタ画面は見ていませんが、現地でも大型モニタに投影されていたようです。

ここで念の為、ざっくりと「DNSクエリ」について説明します。DNSとは、たとえば example.com を閲覧するとして、そのアクセスに必要なIPアドレスその他の情報を取得する、Webに欠かせない仕組みです。

DNSクエリとは、例示すると、端末から example.com のAレコードを取得したいとサーバーに問い合わせる通信のことです。

つまり、会場で「フリーWi-Fi」としてなんの警告もなしに書かれているSSIDに接続すると、そこで通信した通信先ドメインが、完全に公開されていたわけです。さらに問題だったのは、Slackなどの組織ごとにサブドメインが割り振られているサービスの通信に使用した場合、接続した人の所属組織まで暴露されてしまうということでした。

こういった行為は、海外のセキュリティカンファレンスなどではイタズラ半分で行われることもあるようですが、少なくとも、国内のプログラミング言語のカンファレンスで事前承諾なしに行われるべきではありません。(これは後で知ったのですが) 法的にも、国内法では通信の秘密の侵害となり、有線電気通信法第9条に違反します。

数々の企業のSlackチャネルや、非公開であろうサブドメインなどが表示されており、大変好ましくない状況でした。

Twitterでの論争

これをTwitterに最初に問題提起したのが、私です。内容としては、このような展示は通信の秘密を侵害するといったものです。

ツイートは大きく拡散されました。

「初手でSNSに書いた」「こっそり運営に知らせるべき」といった批判を多数受けましたが、事前にカンファレンス運営内部で議論した上でカンファレンス公式サイト上で行われている行為ですから、それは的外れな指摘です。

ほかにも、「些細なことで騒ぎ立てている」「Pythonコミュニティを破壊しようとしている」といったリプライ、DMが多数寄せられました。

そのため、私は「もうどうでもいい」と思い、問題提起したことを謝罪し、関連ツイートを削除しました。

しかし、私への批判(擁護の声も、一部ありました。とても感謝しています)は止まることはありませんでした。

運営による対応

騒ぎが大きくなったのち、「ネットワーク利用によって取得される統計情報は、研究および展示のために利用します」との張り紙がSSIDの紙の下に添付されました。

また、1日目の終わりには、サブドメインは削除する修正が行われたようです。

しかし、大論争を引きずりながら2日目の途中まで公開は続きました。

そして、2日目の途中で「機器故障により」展示は終了しました。

極端な「石橋 依織」による誹謗中傷

数日後、匿名の方から、極端な誹謗中傷を受けているというリンクをいただきました。発信者は @96usa_koi (いおり) という人物でした。

鉄オタ×エンジニアでああいう正義だと思い込んで後先考えなく暴れ荒らす感じ、鉄オタの印象も悪くなるしADHDの鬱で薬飲んでても制御できないんだから現実世界で色々問題起こしてそうと思われても仕方ない。会社勤めるのキツそう。。
友達に指摘してもらっても少しずつ矯正できんものなんかな。

フォロワーがなんも言ってあげへんのもしかしてみんなASD/ADHDのエンジニアなのか、子供しかフォロワーがいないのか。 健常者や大人がフォロワーにいるのならば指摘してあげてほしいな…前回のときもそうだけど、自分の正論は武器にして暴れ被害者意識はもつけど外野からの正論は響いてないっぽいし。

のちに削除されたものとしては、

頭打ったら矯正されるかもしれないのに、頭打ってるの気づかないで無敵の人みたいになってるの可哀想すぎてブロックしちゃった

内容は、以上でした。

あまりにも失礼ですし、事実誤認も甚だしいです。また、精神疾患を持っている人に対する著しい差別発言です。

96usa_koi について調べると、公開されていた婚姻届の写真から、石橋 依織という名前がわかりました。Twitter芸人(株式会社ゆめみ勤務) mpyw (石橋 良介) の妻でした。のちの詳しい調査で、石橋 依織 本人の勤務先も公開されており、アンティー・システムという会社に勤務していることがわかりました。

石橋 良介とは数年前から関わりがあり、ADHDである旨を本人が公言していたので、私が精神疾患で困っているとダイレクトメッセージで相談したことが (数年前に) ありました。私が自身の精神疾患について公に発言したことは一度もなかったので、婚姻関係にある石橋 良介が石橋 依織にそれを漏らしたのであろうということは容易に想像できました。

彼に問いただすと、次のような返答が返ってきました。

「教えておらず、妻はあなたのツイートを見て判断したと言っている。」

「訴訟でも、なんでも起こしてください」

また、私が訴訟を起こすと脅迫しているとまで発言しました。

mpyw(石橋 良介) による裁判費用募金

何を思ったか、mpywは、「裁判費用および出産祝いに関するカンパのお願い」と題して、「SNS上で不測のトラブルになっていた件に関して、弁護士費用が実費を除いても40万円ほどかかることになってしまいました。」と、加害者側にも関わらず募金を集め始めました。

出産祝いというのが後に来て、先に裁判費用が来るのが、目的の主従関係を感じさせます。しかし、どんな「裁判」なのか知らない、mpywに盲信的な人々は、信じて募金をしました。一ヶ月ほどのちにmpywは「費用の大部分は回収できました」と発言しました。

私の方針

弁護士を雇うと、それだけで金銭的に負けてしまうため、こちらは弁護士を雇わない自弁にて行うことにしました。

まず、民事調停 (簡易裁判所) を試みましたが、謝罪もできない、金銭など全く支払う気もないという代理人弁護士の回答で、決裂しました。

次に、東京地方裁判所に訴えを提起することとしました。いろいろな資料を読み込み、また、知人の専門家のレビューを適宜いただき、自分自身の言葉と数々の証拠をもとに書類を作成しました。証拠説明書が特に面倒でした。

東京地方裁判所での裁判の流れ

もちろん住所は不明のため、相手の勤務先に特別送達が送られることになりました。

公判は3回におよびました。毎回、相手方代理人弁護士と私が出席し、準備書面、反論などを提出しました。公判自体は、提出した書類の意味の確認などで、30分程度で終わりました。

相手の主張としては、

「リプライではないので、言った相手が原告とは断定できない、よって責任はない」

というものでした。いわば、「空中リプライ無罪論」です。いくら話題になっていても、当人だと明示しなければ「同定可能性」を満たさず、法的に責任を負わないというものです。

また、

「ADHD」「鬱」「薬飲んで」との記載が仮に原告の社会的評価を低下する事実に該当するとしても(この点を認めるものではない)、当該事実は真実であるか又は真実相当性が認められるため、違法性ないし責任が阻却される

という、法的に頓珍漢 (これによる違法性阻却は、限られた場合にしか適用されない) な主張もされました。

さらに、

なお、被告依織は、先天性の難病を患っている家族がいることもあり、子供の頃から障害を持つ方が抱える問題やその克服方法に対する関心が強く、自身が行っているSNSを通じて、これらの問題に関して社会に対し問題提起を行ったり、被告依織なりの解決策を提示したりといったことを元々行っていた。本件投稿はいずれもその一環である。

と言われました。これにはさすがに呆れてしまいました。頭打ったら矯正されるなど、差別的発言とも整合性が取れません。

裁判の終結

裁判官から、「同定可能性は立証が難しい。負ける可能性が高い」と個人的に告げられてしまいました。負けてしまっては、相手が図に乗る未来しか見えません。また、上級裁への移行も、手間的に無駄と判断しました。

そこで、和解を試みたのですが、被告側は私が逆に謝罪させられる内容を提示してきて、全く折り合いがつきませんでした。

そのため、訴訟の取り下げを行いました。

まとめ

これをみた皆様が、「PyCon APAC 2023 フリーWi-Fi DNS事件」の顛末を正しく知っていただければ幸いです。また、X (Twitter) で有名だったり、技術力がある人であっても、人格や言っていることの正しさは関係ないということもご理解いただけたら幸いです。

梶原弁護士へ

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