量から質は生まれる、はAIで完全に変わった
「量が質に転化する。若いうちは寝る間も惜しんで働け。」
日本中のおじさんが口にしていたこの言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ある意味では真理だと思いますが、この言葉を字面のまま鵜呑みにしてもいいのでしょうか。
こんにちは、LayerXの櫻井です。40歳という世の中でいうおじさんです。
バクラクビジネスカードを業務効率化クラウドサービス「バクラク」の中核プロダクトにしたいです。
私も数年前は毎月300時間以上働いていた時期があります。深夜タクシーで帰宅して、数時間だけ寝てまたオフィスに戻るという生活。でも、この300時間という量が何かの質に転化したかというと、その実感はありません。
得られたのは、「自分はどこまで行ったら限界か」みたいな身体的なラインと、「あの頃に比べればまだマシだ」と思える気持ちの余裕くらいで、スキルや視座、判断力といった意味での成長は、それほどなかったように思います。
「寝る間も惜しんで働け」と言うとき、その人が示している「量」とは何なのでしょうか。
量 = 時間はもう古い
「量」という言葉を時間の投入量と解釈することは正しいのでしょうか。それはもう時代遅れです。
同じ100時間でも、10回のアウトプットを生んだ人と、1回しかアウトプットできなかった人とでは、明らかに得られる学習や改善の“質”が違います。
思考や試行錯誤なく、漠然と慢性的に同じ作業を繰り返す100時間は、間違いなく質には転化しません。
本当に見るべきは Volume、つまり「試行 × 学習」の累積値です。
Volume = 回したサイクルの総数。つまり、Velocity x 時間。
Velocity = 「学習 → 実行 → フィードバック」の1サイクルを完了させるまでの所要時間。
Volume が臨界点を超えると質が跳ね上がります。これが量質転化です。
量を「時間」で測ると、どうしても“どれだけ頑張ったか”に引っ張られてしまいます。
でも、「何度試して、何度学び直したか」という累積の観点から見ると、本当に大事なのは回転数(Velocity)を高めて、その回数(Volume)を積んでいくことになります。
たしかに、Volumeを積み上げるには時間がかかることは事実です。寝る間を惜めばVolumeを前倒しで確保できるため、おじさんの助言も全てが間違っているとは思いませんが、これが全てではないということです。
AI時代は、Velocityを飛躍的に高める時代
Velocityを決める一番のボトルネックは、学習フェーズです。
新しい知識を吸収し、試行錯誤を繰り返し、フィードバックを得て軌道修正する、このプロセスは分野によっては数ヶ月〜数年もかかることがあります。
そこで活躍するのがAIによる“学習時間の圧縮”と”実行の補助”です。
私が関わる決済事業では、お客様ごとに与信枠を適切にコントロールする必要があります。これは事業のスケーラビリティを左右すると同時に、損失リスクを直結して背負う非常に繊細な領域です。私たちはスタートアップなので、金融のプロが潤沢にいるわけではありません。それでも事業を動かすうえでこの領域を避けて通ることはできません。
与信モデルの構築には、本来であれば統計や金融ドメインの知識が求められます。これらを体系的に習得するには多くの時間が必要で、それ自体が一つの職能になるほど難易度の高い分野です。
そこで、AIを「学習時間の圧縮」に活用しました。与信モデルに必要な数理概念や専門用語の意味、構成要素の背景などをAIで素早く調べ、構築に必要な前提知識を短期間でキャッチアップしています。
さらに、「実行の補助」としてもAIを活用しています。シミュレーションに必要な計算やロジックのコードを書く際に、下書きを生成させたり、エラーの解消方法を提案させたりと、開発サイクルの時間も圧縮しています。
結果として、AIによって学習と実行のVelocityが高まり、高品質な与信モデルを構築することができています。
さらに、事業成長に伴って蓄積されるデータからフィードバックを得て、2、3サイクルと回すごとにモデルの精度も高まってきています。
このように、AIを使うことで、Velocityの回数をAI登場以前と比べて飛躍的に高めることができるのが今の時代だと思います。
ちなみに、この業務を担っている担当者は、決済事業のプロフェッショナルではあるものの、この領域の専門家でもなければ、この領域の学問を学んできたわけでもありません。
これまで“専門家しかできなかったこと”を、“非専門家でも取り組める状態にする”という点にもAIの恩恵はあります。
努力はVelocityに投資すべきでAIで効率を最大化する
AIの登場によって、Velocityは格段にいじりやすいレバーになりました。
もちろん、全部がAIで置き換わるわけではありませんが、「知らない」を「わかる」に変える速度、「なんとなく」を「かたち」にする速度は、明らかに人力の比ではありません。
量を武勇伝にする時代は終わりました。「徹夜を何回したか」「何年この業界にいるか」という単純な時間投下はもはや大した意味を持ちません。
全員が同じ24時間を持っている中で、Velocityを高められる人だけが、質に転化するポイントを劇的に前倒しすることができる人になります。
そうなってくると、努力の目線も変えていった方がいいと思っています。Velocityで差をつけるためにAIをどう活用するかを考える、それを実行すべきです。
「どれだけの時間を費やしたか」ではなく、「どれだけの回転数で学びを得たか」。量をこなすというより、サイクルを早く回し、フィードバックを反映して次に進む。その速さと密度が、いまの時代における努力の方向性として正しいものだと思います。
サイクルを回して学びを得る、というのはAIによって生まれた考え方ではなく、過去からずっとあります。AIによって変わったのは、ハードルが下がり、誰でもしやすくなった、という点です。
私は基礎学力が高いわけでも、特定領域の専門家でもありません。 それでもAIを活用することで日々の仕事の生産性を高め、まだまだ成長することができると実感しています。
「凡人でも関係ない」、これこそがAI 時代が与えてくれた最大のギフトだと感じます。
「使い方がわからない」人こそLayerXへ
AIを自分の業務で活用する方法って、最初は誰だってわからないものです。だからこそ「使える環境にまず身を置いてみる」という選択もありだと思います。
LayerXは、全社的に「Bet AI」を掲げ、生成AIをあらゆる業務に組み込む取り組みを進めています。
Cursorで便利になった!っていう情報は溢れてますが、今あなたの周りにCursorを活用して業務効率化をしてる方はどれほどいるでしょうか?
“知っている”と“使いこなして変えている”の間には、大きなギャップがあります。
LayerXでは、AIを活用した内製ツールによって、営業プロセス全体の生産性を1.5倍以上に引き上げた実例もあります。
「どう使うか」よりも「使う前提があるか」、この違いが学びのVelocityを変えます。Velocity を高めたい人こそ、LayerXのようなAIを使い倒す前提がある場所に来てほしいなと思ってます。
特に若手の方へ、未来のことはわかりませんが、"標準レベル = AIを使える人"になっているのはほぼ間違いないと思います。
使い倒す前提がある場所で、自分のVelocityを上げたい方、ぜひ気軽に話しましょう。
ではまたー


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