第三十話:伊勢、越前攻略
[前回までのあらすじ]
鎌倉の世より、謎の女性トモミクによって戦国時代へと誘(いざな)われた源頼朝。
当初は、源氏の血筋である同盟国・武田家を守ることが軍団の目的と聞かされ、織田・徳川両軍と激しく戦っていた。
しかし、軍団に秘められた多くの謎、そして自らの存在意義について少しずつ理解し始めた頼朝は、織田信長を死なせず、多くの武家を滅ぼすことなく安寧の世を目指すという、困難な道を選択。その実現のため、京に上り「惣無事令」を発することを決意した。
手始めに近江へと出兵し、織田信長の必死の抵抗や大和の筒井家の援軍にも苦戦を強いられながらも、近江の要衝・長浜城、佐和山城、音羽城、そして織田家の本拠地たる安土城の攻略に、ついに成功。さらに伊賀上野城、北近江の清水山城をも攻略し、織田軍を南北に分断することに成功した。
上洛への道筋が、ようやく見えてきたのであった。織田軍の弱体化を確信した頼朝は、次なる一手として、伊勢平定を麾下の諸将に命じる。それを聞いた源義経は、兄の上洛を盤石なものとするため、同時に越前平定へと向かう決意を固めるであった。
[主な登場人物]
源頼朝: 鎌倉幕府を開く直前に戦国時代にタイムスリップした。価値観が揺らぎながら戦国時代を必死に駆け抜ける。
源義経: 平泉にて殺害される直前に戦国時代にタイムスリップした。この時代では兄に献身的に尽くす。
武田梓: 武田勝頼の娘。武田家と頼朝軍友好の証として義経に嫁ぐ。義経軍の参謀として活躍し、現在は一軍を率いる部隊長。
源頼光: 平安時代に藤原道長に仕えていた摂津源氏中興の祖。騎馬隊を率いて活躍する。
トモミク: 頼朝をこの時代に連れてきた不思議な女性。
出雲阿国: 事情に詳しく、悩む頼朝に示唆を与える。砲術にも優れ、義経隊で鉄砲隊の指揮を行う。
北条早雲: 晩年にタイムスリップして頼朝軍団に合流。ご意見番、外交担当、部隊長として力を発揮する。
羽柴秀長: 織田軍家臣羽柴秀吉の弟。信長から主君を変え、頼朝軍団の参謀として活躍する。
羽柴篠: 羽柴秀長の娘で頼朝に嫁いだ。槍使い、軍略は秀長仕込み。
赤井輝子: 狙撃隊を率いる猛将。
源桜:源頼朝の娘で北条早雲に師事を仰ぐ。安土城城代となる。
源里: 武芸に秀でた頼朝の娘。義経隊の副将。
[第三十話 伊勢、越前攻略]
安土城代となった源桜が、伊賀上野城から音羽城へと戻ってくるのを、北条早雲殿と赤井輝子殿が、陣所にて待っていた。
桜は、伊勢平定作戦の総指揮を執る早雲と輝子、そして別働隊を率いる頼光とトモミクの間に入り、作戦計画の最終調整を行っていたのである。
早雲は、伊賀上野城のある伊賀方面へ目を向けながら、おもむろに隣の赤井輝子に話しかけた。
「…輝子殿。そなた、少しは落ち着かれたかな」
「……早雲殿。先の安土でのこと、そしてその後の湖上でのこと……。此度は、早雲殿の部隊までも巻き込んでしまい、まことに、申し訳ございませぬ」
輝子は、素直に頭を下げた。
「いや、構わぬ」
早雲は、静かに首を振った。
「輝子殿が、あの時、独断で信長を追撃したからこそ、手薄となった伊賀上野城を、頼光殿やトモミク殿が、速やかに落とすことができたのじゃ。結果としては、大手柄よ。
じゃが……」
早雲殿は、輝子の目をじっと見据えた。
「今の輝子殿は、どうも、何かに突き動かされているかのように見える。
輝子殿は、元来、勇敢であると同時に、聡明な御方じゃ。己自身で、進むべき道筋がはっきりと見えた時には、強い気概をもって、それに全力で突き進む。周りからは、猪突猛進に見えたとしても、その実、本当は、深く物事を考えておられる。わしは、そう理解しておる。
しかし、今の輝子殿は、その道筋が、まだ十分に見えてはおらぬまま、ただ何かに追われるかのように、焦って走っておる……わしの目には、そのように映るのじゃが、いかがかな。
…先の戦では、織田の力が、すでに弱まってきておった、まさにその今であるからこそ、良かったものの……。もし、今のままのそなたが、全盛期の織田軍と再びまともにぶつかるようなことがあれば、おそらくは、今度こそ、命を落とすことになるぞ。
輝子殿ご自身が、そのことは、一番よく分かっておいでであろう」
「……早雲殿……」
輝子は、俯いた。
「早雲殿が、頼朝様へ口添えをしてくださったからこそ、このわたくしが、譜代衆となり、そして長浜の城代にまでなれました。…にもかかわらず、ここに来て、この体たらく……。早雲殿のご期待を裏切る結果となり、まことに、お恥ずかしい限りでございまする……」
「輝子殿。そなたが、これまで下してきた判断に、わしは、間違いがあったとは思わぬ。実に、ようやっておる」
早雲は言った。
「問題は、そこではないのだ。…先の、安土城での敗戦は……そなたにとって、それほどまでに、堪(こた)えたか」
「……早雲殿」
輝子は、顔を上げた。その瞳には、深い苦悩の色が浮かんでいる。
「戦場において、最善を尽くした上での勝ち負けは、時の運。わたくしも、そのように、心得ております。
ですが……あの安土では、わたくしが手塩にかけて育て上げた、あの強きはずの兵たちが、ほとんど無抵抗に等しい状況で……一瞬にして、その命を落としていきました。
わたくしは、何もできなかった。そればかりか……かけがえのない、あの兵たちを、見捨てて、自分だけが逃げ延びてしまった……」
輝子の声が、震える。
「…あの時の、兵たちの、断末魔の姿、わたくしを見つめていた、あの最後の眼差し……それが、今も、頭から離れませぬ!」
「……」
早雲は、黙って輝子の言葉を聞いていたが、やがて、静かに口を開いた。
「わしは、あの時、そなたを無理矢理にでも、あの場から連れ出してくれた、太田牛一殿に、むしろ感謝しておる。
もし、あの男がいなければ……その、強い気概をお持ちの輝子殿であるからこそ、あの負け戦の中で、真っ先に命を落とされていたのは、おそらく、そなた自身であったであろうからな。
輝子殿。そなたは、もはや、ただ自分の部隊を率いるだけの将ではない。この頼朝軍全体にとって、なくてはならぬ、大事な柱の一つなのだ。そのことを、決して、忘れてはならぬぞ」
「輝子殿」
早雲は、続けた。
「この、わしとて、これまでの長い生涯で、随分と多くの負け戦を経験してきた。中には、まことに酷い負け方もした。そして、多くの、実に多くの部下たちが、このわしのために、命を落としていった。
その中には……あるいは、このわしなどよりも、遥かに尊き、価値ある人間が、どれほどおったことか……
だが、これが、戦乱の世なのじゃよ、輝子殿。時には、死んでいった者たちよりも、むしろ、こうして生き残ってしまった者の方が、より辛く、厳しい修羅場に、残されておるのだ、と、そう考えることもある。
敵軍を倒すことも、そして、我らが部隊が倒されることも、結局は、どちらも、深い『罪』なのじゃよ。しかし、将であるからこそ、その全ての罪を、己が身に背負うてでも、為さねばならぬことがある。
だからこそ、我らは、あの時、死なずに、『生かされてしまった』のだ。…そうは、思われぬかな。
見よ。桜殿をはじめ、武田梓殿、そして里殿と、トモミク殿もそうじゃ、この軍団には、若く、才能豊かな女将たちが、次々と育ち、そして目覚ましい活躍をしておる。であるならば、我らのような、長く生きた者たちは、彼女たちの模範となり、そして、彼女たちを、この先、しっかりと守り育てていかねばならぬ。それが、今の我らに課せられた、大事な役目ではあるまいか」
「……早雲殿の、仰せのこと……。ごもっとも、にございます……」
赤井輝子は、もはや、返す言葉もなく、ただ、北条早雲の前に、深く平伏するしかなかった。
「桜殿も、まことに強い。おそらくは、しばらくの間、負けることはあるまい。じゃが……強き者ほど、えてして、己が足元に迫る、命を落とす危険には、気づかぬものじゃ。そして同時に、敵を倒すということの、その罪の重さにも、思いが至らぬ。
であるからこそ、わしのような老骨が、時には、憎まれ役となってでも、厳しく申し聞かせねばならぬ、と、そう思うておる。
早雲は、輝子の顔を、じっと見つめた。
「わしは、もう、生い先も長くない。わしが、もし亡き後となったならば……その時は、輝子殿、そして道灌殿、頼光殿たちで、この軍団を、そして頼朝殿を、しっかりと支えていただかねば、なりませぬぞ。
我らのような、古き者たちが、命を落とすべき時は……この先の未来を担う責任を持つ、若き者たちの命が、真に危うくなった、まさにその時ぞ。…よいな、輝子殿。お願い、申し上げる」
「……早雲殿。何を、仰せられますか」
輝子は、顔を上げた。その目には、涙が浮かんでいた。
「この、わたくしのような、ただ猛々しいだけの者に、戦場で敵を討つ以外、いったい何ができましょう。
それに、早雲殿は、まだまだ、ご健勝ではございませんか。わたくし、まだ、早雲殿から、多くを教えていただきたい、と願っております。どうか、これからも、共に戦いましょうぞ。
……ですが、こたびの、早雲様のお言葉、この赤井輝子、生涯、肝に銘じておきまする」
まさにその時。馬を駆けさせ、源桜が陣所へと戻ってきた。
「早雲様! 頼光様、トモミク様、共に、早雲様のお考えに、ご賛同くださいました!」
「おお、桜殿! 大義であった!」
早雲殿は、満足げに頷いた。
「どうやら、我らが、信長と、必死の追いかけっこをしておる間に、他の部隊は、遠く北近江の清水山城、そして南の伊賀上野城までも、見事に落としてくれたのみならず、大和、伊勢、そして越前から迫っておった、織田の増援軍をも、ことごとく壊滅させてくれたようじゃのう。
いやはや、これで、我らが伊勢を攻略するための、お膳立ては、全て整った、というわけじゃな」
「はい! 皆様のご活躍により、伊勢に残る織田軍は、もはや完全に分断され、その残存兵力も、ごく僅かとなりました。今の織田軍に、もはや、我が軍へ、まともに対抗できるだけの戦力は、残されてはおりますまい」
桜は、自信を持って報告した。
「うむ、その通りじゃ、桜殿」
早雲は、頷いた。
「これまでの織田軍であれば、常に、我らの想定通りには、決して事を運ばせてはくれなかったものじゃ。
じゃが、今の奴らに、もはや、我らの進撃を阻むだけの力は残っておるまい。
わしも、桜殿と、全く同じ考えじゃ。もう、織田には、打つ手はあるまいよ」
「ありがとうございます! それでは、早速ではございますが、まずは土山(つちやま)から伊勢関(いせぜき)へと抜け、海岸沿いの亀山城から、攻略を開始いたしましょう!」
桜は、目を輝かせ、進軍計画を提案する。
「がははは! さすがは桜殿! 常に、二手、三手先を読んでおられるわい!」
早雲は、快活に笑った。
「よし! 決まりじゃな! では、これよりの伊勢平定戦の指揮は、安土城代たる桜殿に、全てお任せいたそう!」
「はいっ!」
源桜は、力強く返事をすると、すぐさま、詳細な部隊編成の指示や、配下の小隊長たちへの作戦指示を出すため、足早に、自らの部隊へと戻っていった。
その、頼もしい桜の後ろ姿を見送り、赤井輝子は、隣の北条早雲と、そっと視線を合わせ、静かに頷き合うと、彼女もまた、自らの部隊へと、戻っていった。
* * *
天文十五年(1586年)一月。
伊賀上野城に布陣していた源頼光隊とトモミク隊は、伊勢内陸部の攻略を開始。その最初の目標として、天然の要害を利用して築かれた、堅固な山城である長野城(ながのじょう)を目指し、進軍を開始した。
進軍を開始して、間もなくのこと。斥候からの早馬が、頼光のもとへ駆け込んできた。
「申し上げます! 織田軍、少数ながら、こちらへ向かってまいります!」
「なに、その数は!」
「はっ! およそ、二千あまりの部隊かと! しかし……どうやら、それを率いておるのは、織田信長本人である、との由にございます!」
「なんと! 信長自らが、たかが二千程度の兵で、我らに戦いを挑んでくると申すか!?」
頼光は、眉を顰めた。
「そのような寡兵で、単独で、我ら大軍に挑んできたとて、勝てるはずがなかろう。…何か、罠でも仕掛けてあるのか……。いや、いずれにせよ、まずはこれを迎え撃つしかあるまい」
「ただちにトモミク殿にも、迎撃の態勢を整えるよう、急ぎ伝えよ!」
「かしこまりました!」
頼光は、信長隊は、おそらく大和方面から回り込み、トモミク隊の背後から攻撃を仕掛けてくるであろう、と予想していた。だが、信長の動きは、またしてもその予想を裏切るものであった。信長隊は、頼光隊の、全く予期していなかった側面から、突如として攻撃を仕掛けてきたのである。
「ふん! さすがは信長よな。そう簡単には、こちらの思うようにはさせてくれぬか」
頼光は、舌打ちした。
「全軍! 部隊を後退させながら、徐々に、信長隊の正面へと、矛先を向けよ!」
頼光殿隊は、部隊を巧みに反転させながら、徐々に後退。信長隊による側面攻撃の効果を削ぎながら、やがて、正面と正面から激突する態勢へと、持ち込むことに成功した。
そうなれば、もはや、両軍の兵力差が、そのまま戦況へと、如実に反映される。
後方からは、トモミク隊が、頼光隊を援護すべく、信長隊の背後を突くため、全速力で、こちらへ向かって行軍してきているはずだ。
「今じゃ! 頃合い良し! 全軍、突撃!」
トモミク隊が到着するまでもない。頼光隊が、一つに塊となって突撃すると、寡兵の信長隊は、ひとたまりもなく壊滅した。
頼光は、しかし、合点がいかない、といった様子であった。
「…世良田殿。今の、信長の攻撃は、いったい、何がしたかったのであろうな。あのような少数の部隊で、何の策もなく、ただ気概のみで突っ込んできたとて、我ら大軍に勝てるわけがなかろうに」
「…頼光様」
副将の世良田元信が答える。
「あるいは……さすがの信長も、もはや打つ手がなく、追い詰められておる、ということなのかもしれませぬ。
戦っても、到底勝てない。しかし、かといって、このまま何もしなければ、伊勢を失うことになる。進むも地獄、退くも地獄……。
それが、今の、あの無謀とも思える攻撃に、現れておったように、拙者には思われました。
我が軍を、このまま素通りさせてしまえば、この先の伊勢諸城が、どうなるか。それもまた、彼には、よう分かっておるはずなのでしょう」
「…確かに。もし、わしが、今の信長の立場であったなら……」
頼光殿は、思案した。
「伊勢を失うことも、そして越前を失うことも、どちらも致命的な痛手じゃ。どちらか一方の街道だけは、死守しておきたい、と考えるであろうな。特に、この伊勢は、尾張、美濃、そして近江をも、南から窺うことができる、戦略的な要衝。わしも、もし逆の立場であれば、たとえ玉砕を覚悟してでも、この伊勢への街道を、死守すべく、戦いを挑んでいたやもしれぬ」
「はい。今の我が軍は、圧倒的に有利な状況にある、と考えるべきかと存じます」
世良田は言った。
「織田が、再び力を吹き返す前に、早々に、この伊勢を平定してしまう、という、先の頼朝様の、そして秀長様のご決断は、まことに正しかったのだと、今、改めて存じます。
拙者も、かつてのような、限られた拠点に籠り、ただひたすら、敵の波状攻撃を受け続ける、といった戦いは、正直、もう、こりごりでございますゆえ」
「ふむ。世良田殿の申される通りじゃのう」
頼光は、頷いた。
「しかし、それにしても、我が軍の参謀殿(秀長)は、実によくやってくれておるわい。こらえるべき時と、そして、攻めるべき時とを、まことに、良くわきまえておる。そして、それを受け、上洛という、大いなる決断をしてくださった、頼朝殿もまた、実に見事なお方よ」
「はっ! まことに、頼光様の、仰せの通りにございます!」
世良田も、力強く応えた。
「よし! 全軍、これより、長野城へ向け、進軍を再開する!」
頼光の檄が、再び、伊賀の山野に響き渡った。
* * *
その頃、北条早雲隊と赤井輝子隊は、伊勢関(いせぜき)を越え、亀山城(かめやまじょう)へと差し掛かろうとしていた。
そこへ、本来であれば、長野城の防衛にあたっているはずの、荒木村重(あらきむらしげ)隊が、突如として山を下り、早雲隊の後方から、攻撃を仕掛けてきたのである。
「…早雲殿。どうやら、敵は、我らの背後を突いてきたようですな。追い払いますか?」
いつになく慎重な口ぶりの赤井輝子であった。
「ふむ……。あの程度の部隊、追い払うこと自体は、造作もないことじゃ。ただ……」
早雲は、少し眉を顰めた。
「斥候の報せによれば、あれは、摂津の荒木村重の部隊に、間違いないようじゃ。そして、実はな、輝子殿。我が軍の外交僧である前田玄以殿が、かねてより、その荒木村重に対し、調略を仕掛けておってな。交渉は、かなり順調に進んでおる、と、そう聞いておるのだ。
荒木村重殿は、摂津国一帯、有岡城や高槻城といった重要拠点を領する、なかなかの実力者。もし、彼が、我らに降(くだ)ってくれるのであれば、京の都に接する、西側の広大な地域が、労せずして、頼朝殿の領地となる。これは、大きい。
ううむ……。もし、彼が、すでにこちらへ下ることを決めておるのであれば、みすみす、ここで攻撃を仕掛けて、無駄な血を流したくはない。じゃが……」
早雲は、腕を組んだ。
「まずは、しばらく、先方の出方を見てみるしかあるまいな……」
だが、早雲の、その淡い期待は、すぐさま打ち砕かれた。 新たな伝令が駆け込んできたのである。
「申し上げます! 荒木村重隊、我が軍の後方へ、突撃をかけてまいりました!」
「…そうか。本気で、攻めて来おったか……。やむを得まい」
早雲は、決断した。
「桜殿! こちらも、これより突撃をかける! ここに至っては、我らもまた、本気で返すのが、武士の礼儀というものよ!」
「はいっ! かしこまりました!」
桜は、力強く応えた。
源桜は、自ら馬に乗り、麾下の部隊に号令を下した。
「全軍! このわたくしに続いてください! ただ今より、荒木村重隊へ向け、突撃を開始します!」
桜率いる騎馬隊の突撃と、それを援護する赤井輝子隊の、猛烈な鉄砲射撃。その連携攻撃の前に、数で劣る荒木村重隊は、抗する術もなく、短時間のうちに壊滅した。
荒木村重を撃退した後、早雲隊と輝子隊は、亀山城を包囲した。
城を守るべき守備兵も、もはやほとんど残っておらず、また、援軍も期待できない状況を悟った亀山城は、直ちに降伏の使者を送り、城を明け渡した。
* * *
北条早雲と赤井輝子が、亀山城を攻略した、まさにその頃。
源頼光隊とトモミク隊もまた、険しい山道を行軍し、ついに、伊勢内陸部の要衝・長野城下へと、たどり着いていた。
「…ふむ。天然の要害に築かれた、なかなかの堅城よな」
頼光は、眼前の長野城を見上げながら、隣のトモミクに語りかけた。
「もし、城内に、まとまった兵力が籠っておれば、攻略には、さぞかし難儀したであろう。ましてや、援軍が期待できるような状況であれば、決して、こうも易々とは、開城せぬ城であろうな」
「頼光様」
トモミクが、静かに答える。
「その、長野城への援軍でございますが……。斥候の報告によりますと、周辺には、いくつかの織田方の部隊が布陣してはおるものの、やはり、もはや、この伊勢国には、まとまった兵力は、残ってはいない模様にございます。どの部隊も、多くとも数千規模の小勢。今の、我らと正面から戦うこと自体が、もはや無謀と言えましょう……」
その声には、どこか、哀れみのような響きが、含まれているように、頼光殿には感じられた。
三雲成持(みくもしげもち)、細野藤敦(ほそのふじあつ)、庄林一心(しょうばやしいっしん)といった、織田家に属する伊勢の国人衆たちが、それぞれ部隊を率いて、長野城下に布陣してはいた。だが、どの部隊も、多くとも二千から四千程度の規模に過ぎない。
トモミクは、敵とは言え、この、圧倒的な戦力差の中で、ただ一方的に、敵兵を殲滅しながら進軍を続ける、ということ自体に、もはや嫌気がさしているかのようであった。
実際に、頼光隊とトモミク隊が、攻撃を開始すると、長野城下に布陣していた、これらの伊勢衆の部隊は、ほとんど抵抗らしい抵抗もできず、あっという間に壊滅していった。
伊勢国内に残存する、ほぼ全ての織田方の部隊が、この長野城下で、頼光隊とトモミク隊によって撃破された。
これにより、伊勢湾沿岸を進む、北条早雲殿隊と赤井輝子隊は、もはや大きな抵抗を受けることなく、次々と沿岸の城々を攻略。松ヶ島城(まつがしまじょう)、鳥羽城(とばじょう)といった拠点を制圧し、ついには安濃津城(あのつじょう)までも包囲すると、城方は、戦わずしてこれを開城した。
一方、内陸を進む頼光殿隊とトモミク隊も、援軍が全て撃退されたのを目の当たりにした長野城を包囲すると、こちらも間もなく、城は開城した。
* * *
伊勢国内の、主だった織田方の拠点は、ほぼ制圧した。既に出陣してから、半年以上が過ぎようとしていたが、源頼光は、部隊に休息を与えることなく、さらに南下し、伊勢国司・北畠(きたばたけ)家の旧居城である、霧山御所(きりやまごしょ)へ向け、進軍を指示した。
「伊勢湾沿いの松ヶ島城も鳥羽城も、今の早雲殿と輝子殿であれば、もはや時間の問題であろう。我らは、このまま霧山御所へと向かう!
今こそ、この伊勢国から、織田の勢力を、完全に掃討する時ぞ! 休むのは、その後で良い! このまま、一気に進むぞ!」
頼光隊とトモミク隊が、霧山御所へ向け、進軍を続けている最中、斥候から、新たな連絡が入った。
「申し上げます! 霧山御所の城下にて、織田信長本人と思われる部隊、およそ四千あまりが、迎撃の態勢を整え、布陣しておるとの由にございます!」
頼光は、馬を走らせながら、隣を進む副将・世良田元信に、声をかけた。
「…ふん。あの信長という男は、まるで忍者のようじゃな。
先の音羽城で、我らに攻撃を仕掛け、その後、輝子殿の追撃を振り切ったかと思えば、今度は、清水山城の義経殿にも攻撃を仕掛け、そして、つい先日には、伊賀の地で、我らと再び交戦した。そして今度は、またしても、この伊勢の霧山にて、我らの目の前に現れる、とは……
世良田殿の申される通り、今の信長は、もはや必死なのであろうな。この霧山御所が、今や、伊勢における、奴らにとっての最後の砦。もはや、手をこまねいて、ただ見ているわけにも、いかぬか……」
「はい。おそらくは、霧山御所は、信長としては、まさに背水の陣で臨む、最後の決戦場と覚悟しておるのでしょう」
世良田は答えた。
「ですが、頼光様。我らが力を合わせれば、恐るるに足りませぬ。ここは、我らが力を、改めて思い知らせてやりましょうぞ」
「そうじゃな!」
頼光は頷いた。
「信長隊を捕捉次第、全軍、ただちに突撃をかける! トモミク殿には、側面からの援護射撃をお願いいたしたい!」
「かしこまりました!」
頼光隊とトモミク隊は、やがて霧山御所の城下へと差し掛かり、そこで待ち受ける織田信長隊と、交戦状態となった。
だが、もはや、ここまでの兵力差が生まれてしまっては、いかなる戦術を巡らせようとも、勝敗の行方を左右するまでには至らない。
頼朝軍は、これまでの戦いにおいて、兵の被害を極力抑えることを常に心掛けながらも、その装備、そして兵たちの習熟度も、着実に向上させてきていた。一方の織田軍は、度重なる敗北、殲滅や潰走を繰り返しながらも、その都度、新たな兵を徴集しては、残存兵力で攻撃を仕掛けてくる、という状況が続いていた。
その差が、ここに至って、ついに決定的なものとなり、頼朝軍の圧倒的な戦果として、現れ始めていたのである。
頼光隊による、正面からの、凄まじい騎馬突撃。そして、側面からの、トモミク隊による、正確無比な鉄砲斉射。その連携攻撃の前に、決死の覚悟で臨んだはずの信長隊もまた、壊滅した。
「よし! ただちに霧山御所を包囲し、降伏を勧告せよ!」
頼光が命じた。
しかし、霧山御所は、他の城とは異なり、城兵たちの抵抗は、なおも激しく、すぐには開城しようとはしない。
そこへ、大和方面から、佐久間信盛(さくまのぶもり)率いる織田軍の援軍部隊が、険しい山道を越え、突如として現れ、霧山御所を包囲する頼光隊とトモミク隊に対し、猛然と攻撃を仕掛けてきた。
しかし、これもまた、トモミク隊の圧倒的な鉄砲斉射の前に、勇猛で鳴る佐久間信盛隊も、なすすべなく潰走した。
これで、完全に援軍の望みも絶たれ、霧山御所の守備兵たちは、ついに開城を決意した。
* * *
開城した、山頂の霧山御所を見上げながら、頼光は、ようやく安堵の息をつき、傍らの世良田元信に、話しかけた。
「…ふぅ。これで、もう、さすがに、帰城して、兵たちを休ませてやれるであろうか。我が隊の者たちは、此度の伊勢平定戦、まことに、よう頑張ってくれた。皆を労う、盛大な宴を、開いてやりたいものよのう」
「はっ! さすがは頼光様! 是非とも、そのようにいたしましょう!」
世良田も、笑顔で応えた。
「…実際には、誰よりも疲れて、うまい酒を浴びたいのは、この、わし自身なのじゃがな」
頼光は、冗談めかして笑った。
「ところで、世良田殿。思えば、あの信長が、安土城を落とされた後、半ば自暴自棄になって、無理に音羽城へと進軍してきた、あの時が、あるいは、大きな分かれ目であったのかもしれぬな。そうは、思われぬか。
もし、あの時、織田軍が、逸(はや)る気持ちを抑え、ひたすら防御に徹し、国力を回復させ、我らが上洛を阻止することのみに、全兵力を注いでおったなら……今、我らが見ておる、この景色も、あるいは、全く異なったものとなっていたやもしれぬ。
我らが、こうして、尾張、美濃、近江のみならず、伊勢、伊賀、そして、もしかしたら越前までも、その手中に収めた上で、上洛を果たすのとでは、京の朝廷とて、その扱いが、大きく異なってくるであろう。あの、音羽城を巡る、一連の戦いにおいて、我らと織田軍との間に、決定的な力の差がついた。わしは、そのように見ておるが」
「はい。頼光様の申される通りかと、拙者も考えております」
世良田は、頷いた。
「あの信長も、近江まで頼朝軍に攻め込まれ、そして安土城までも落とされたことで、さすがに焦ったのでしょう。
あれは、もはや、先手を打った、というよりは、ただ焦って、無謀な攻撃を仕掛けただけ……拙者の目には、そのように映りました。
また、それだけではありますまい。おそらくは、相次ぐ敗戦と、有力な股肱(ここう)の重臣たちが、次々と当家へ離反していったことで、信長自身、もはや、自らが陣頭に立ち、刀を振るって戦果を見せねば、残った家臣たちの、さらなる離反をも、止められなくなっていたのでありましょう。
拙者が、かつて存じ上げておった頃の信長は、決して、自らが先陣を切って、敵中へ突っ込むような、そのような大将では、ございませんでしたゆえ……」
「…ふむ。世良田殿。やはり、人の心を動かすには、結局のところ、言葉だけでなく、『力』もまた、必要である、ということかな」
頼光は、静かに呟いた。
「…残念ながら、頼光様。少なくとも、この戦国の世においては、拙者は、そのように考えております」
世良田は答えた。
「頼朝様が、これから京へ上洛され、朝廷に対し、惣無事令の発布を、お認めいただくためにも。そして、天下の多くの武家たちが、その号令に、素直に従うためにも。やはり、我らには、それを裏付けるだけの、『圧倒的な力』が、なくてはなりませぬ。
頼朝様も、そのことを、誰よりも良くお分かりの上で、此度の、上洛をご決意なされたのだと、拙者は、そう拝察しております。…本当は、天下がどう、というよりも、ただ、今の、この軍団の存続、そして、家臣や民たちの安寧のみを、考えておられる道を、模索したい、と、以前、そう仰っておられました。
『天下静謐』の、その難しさは、頼朝様ご自身が、その身をもって、誰よりもご存知のはず。しかし、それでも、苦境にある友軍を見捨てることもできず、そして、あの、良くは分からぬ、『未来の世のため』という、重き使命のために、此度の、この困難なご決断を、なされたのでございましょう。
であれば、拙者は、どこまでも、頼朝様をお支えしたく、この身、最善を尽くしたいと、そう考えておりまする」
「…同感じゃ、世良田殿」
頼光は、深く頷いた。
「かの頼朝殿は、わしの、可愛き孫たちの、その、さらに遥か先の、孫の世代にあたる、ということになるらしいが……。それにしても、まこと、得難い御方よ。あの、重き役目は、とても、この、わしなどに、務まるものではないわい」
「はっ!」
世良田は、力強く応えた。だが、ふと、何かを思い出したように、声を潜めた。
「……しかし、頼光殿。…あの、武田勝頼殿が、あれほどの信義に背きながらも、上杉景虎殿に攻めかかった、という、そのお気持ち……。実を申せば、拙者には、少しばかり、理解できるような気も、いたしまする……」
「……ふむ。もともと、この武家というものは、力こそが、強さこそが、正義である、という側面も、確かにある」
頼光は、静かに答えた。
「それでも……それでも、頼朝様が目指しておられる、その『滅ぼさず、守る』という、新しい世の形を、我らの力で、どうにか、叶えて差し上げたいものじゃな」
天文十五年(1586年)五月。頼朝軍は、電撃的な速さで、伊勢国を、ほぼ完全に平定したのであった。
* * *
那加城の本丸、茶室。
頼朝は、妻である篠が点てた茶を、静かに口にしながら、各地から、続々と届けられる戦況報告の書状に、目を通していた。
そこへ、筆頭家老の羽柴秀長が、文字通り、慌てた様子で、茶室へと走り込んできた。
「頼朝様! 大変でございます! まことに、大変なことになりましたぞ!」
「…む。秀長か。落ち着け。いったい、何事じゃ。一大事か」
「はっ! まさに、一大事でございます!」
秀長は、興奮を隠しきれない様子で報告した。
「摂津の、荒木村重が、ついに、織田に対し、反旗を翻し、我らへ寝返りました! つまり、我らに味方する、との打診が、正式にございました!」
「…なに? 寝返った、とは……。てっきり、我らに味方することを、拒絶されたのかと思うたわ」
頼朝は、拍子抜けしたように言った。
「いえいえ! その、逆でございます! 織田家を完全に見限り、これよりは、我ら頼朝軍の、忠実なる味方となる、との、正式な申し入れにございます!」
篠が見かねて、父を窘(たしな)めた。
「もう、父上! 『大変だ』『一大事だ』などと、先に申されますと、てっきり、我らにとって、何か良くない事が起きたのかと、思ってしまうではございませんか。どうか、もう少し、落ち着いてくださいませ」
「あ、いや、これは申し訳ない……」
秀長は、頭を掻いた。
「しかし、頼朝様! これで、京への道筋どころか、その先の、山城国までも、我ら、そして友軍の領土によって、東西両方面から、完全に囲む形となりましたぞ!」
秀長の興奮は、まだ収まらない。
「また、伊勢国も、先の戦で、無事に平定され、さらに、北の越前国も、間もなく義経様によって平定される、との報告も受けております!
つまり、この短期間のうちに、我らは、伊勢、近江、摂津、そして越前までも、その勢力下に治めることとなり、今や、押しも押されもせぬ、大大名となったのでございます! これで、頼朝様が目指される、京への上洛の道は、もはや、ほぼ完全に、整いました!」
「……そうか。まことに、大義であった」
頼朝は、静かに頷いた。
「皆の、これまでの働きには、いつもながら、頭が下がる思いじゃ。
…あとは、京の朝廷が、どう出るか、じゃな。我らが上洛した際に、彼らが、我らが掲げる『惣無事令』の発布に、素直に賛同してくれれば、良いのだが……
…美濃、尾張、近江、伊勢、伊賀、そして摂津、さらには越前。これだけの国々を、今や、我らが支配しておるとなれば、他の、いかなる大大名をもしのぐ、強大な力を、手に入れたことには、なろう。だが、それが、あまりにも『圧倒的な力』であると、見なされてしまい、逆に、朝廷が、我らの力を抑え込むために、他の大名たちへ、我らへの対抗を呼びかける、などという事態にならねば良いが……」
「頼朝様。まずは、ともあれ、上洛を果たしましょう」
秀長は言った。
「朝廷との工作にあたっておる、大村殿も、近々、必ずや、良い報せを持って、殿のもとへ参られるはずでございますゆえ」
「…そうじゃのう」
頼朝は、頷いた。
「まずは、上洛し、帝(みかど)であられる、正親町(おおぎまち)天皇陛下に、直接、謁見をお願い申し上げるとしよう」
「…それよりも、まずは、此度の、皆の働きを、十分に労いたいものじゃ。秀長には、また負担をかけることになるが、それぞれの働きに見合った、十分な恩賞、そして、新たな領土の配分を、早急に考えて欲しい。
もし、秀長、そなたの目から見て、今後、この軍団を支える上で、仕事を手伝ってくれるような、有能な者がおれば、誰であっても、遠慮無く、わしに推挙するが良い」
「はっ! 恐れ入ります!」
秀長は、深く頭を下げた。だが、すぐに顔を上げ、少しだけ、ためらうように続けた。
「…それでは、頼朝様。一点だけ、遠慮無く、申し上げても、よろしゅうございますでしょうか」
「うむ、申してみよ」
「…領土が、こうも急激に広がったがゆえに、この拙者一人では、もはや、各領主との日々のやり取りや、山積する政務への対応に、忙殺されてしまい、これまでのように、頼朝様のすぐお傍らにて、直接、お支えすることが、難しくなりそうでございます。
そこで、でございます。今、赤井輝子殿の副将を務めておられる、あの太田牛一殿を、今後は、殿の、すぐお傍近くに、置かれてみては、いかがかと、愚考いたしまする」
「ほう、太田牛一殿を、か」
「はい。頼朝様も、すでにご存知のように、太田牛一殿は、殿が、この時代に存在されなかった、”本来の”歴史の流れの中において、織田信長様、豊臣秀吉様、そして、最終的に天下を取られたという徳川家康様と、三代にわたる天下人の、その傍らに、常に仕え、そして、その治世のあり様を、史書として、後世にまで伝えられた、という、類まれなる経験と、深い見識をお持ちの御方。
今は、殿が、その『時の流れ』を、大きく変えられましたが、それでも、太田殿の持つ、その比類なきご見識は、これから、殿が目指される、新たなる世を築き上げる上で、必ずや、大きな助けとなるものと、この秀長、確信しておりまする」
「…秀長。そなたの、その心遣いは、いつもながら、まことにありがたい」
頼朝は、静かに頷いた。
「そなたには、これから、ますます大きな苦労をかけることになろうが……領民、そして家臣たちのことは、そなたに、頼らせてもらいたい。
…そして、太田牛一殿の件。わしが、そなたの進言に、反対する理由など、どこにもない。ありがたく、その進言、受け入れよう」
「はっ! ありがとうございまする!」
秀長は、再び、深く頭を下げた。
頼朝は、茶室の窓から見える、この時代の、見慣れた景色を目にしながら、ふと、考えていた。
(…今、自分が、この時代で起こしている、この大きな変化……。それは、果たして、自分が存在しなかった、本来の時代の流れと比べて、いったい何が、どのように変わったのであろうか……。そして、それは、本当に『良きこと』なのであろうか……)
(秀長の言う通り、あの太田牛一という男であれば、あるいは、その答えに繋がる、何らかの知見を、与えてくれるやもしれぬな……)
(…もはや、後には引き返せぬところまで、来てしまった……)
頼朝は、改めて、己の覚悟を確かめるように、心の中で呟いた。
(であるならば、このまま、己が信じる道を進む。それしか、選択肢は、残されてはおらぬのだ……)
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