中国ヘリの尖閣領空侵犯直後、空自戦闘機がスクランブル 海保と自衛隊の動きを可視化

不審機にスクランブル対応する航空自衛隊のF15戦闘機(資料写真・航空自衛隊提供)
不審機にスクランブル対応する航空自衛隊のF15戦闘機(資料写真・航空自衛隊提供)

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で5月3日、中国海警局の船からヘリコプターが飛び立ち日本の領空を侵犯した問題で、海上保安庁はヘリによる領空侵犯よりも前に現場周辺へ航空機を派遣し、また航空自衛隊は事後に素早く緊急発進(スクランブル)で対応していたことが10日、放送型自動従属監視(ADS-B)のデータから明らかになった。一方、中国海警局側はヘリの領空侵犯に連動して船が領海に侵入していたことも、船舶自動識別装置(AIS)の記録などから浮かび上がった。

海保と空自が連携して対応

防衛省と海保によると、中国のヘリは3日午後0時21分ごろから午後0時36分ごろにかけて領空を侵犯した。航空機の位置情報を提供するWEBサイト「フライトレーダー24」などのデータを基に産経新聞が分析したところ、領空侵犯よりも1時間以上前の午前10時53分46秒、第11管区海上保安部の中型ジェット「ファルコン2000」(ちゅらたか2号)が那覇基地(那覇市)を離陸。より尖閣諸島に近い下地島空港(宮古島市)周辺で、少なくとも領空侵犯直前の午後0時5分7秒まで上空を飛行していたことがわかった。

その後の飛行経路は不明だが、午後4時20分48秒に那覇基地に戻った。

海保関係者は、「海警船から飛行し領空侵犯したヘリには、海上警備として巡視船から退去警告を出した。その後は、防衛省と連携の枠組みに基づき対応が行われた」と話す。

空自那覇基地のF15J戦闘機(右)と地上部隊の隊員。スクランブルの命令から数分以内に離陸していく=2024年6月、那覇市(大竹直樹撮影)
空自那覇基地のF15J戦闘機(右)と地上部隊の隊員。スクランブルの命令から数分以内に離陸していく=2024年6月、那覇市(大竹直樹撮影)

一方、フライトレーダー24には、中国ヘリの領空侵犯が続いていた午後0時30分4秒、沖縄本島の南西沖に航空自衛隊のF15戦闘機とみられるコールサインなしの航空機が出現し、現場海域と那覇基地のおよそ中間地点に達するまでの13分間、西進するデータも記録されている。

中国のヘリは、スクランブルしたF15戦闘機が現場へ到着する前に海警船に着艦していたとみられるが、統合幕僚監部の広報担当者は、「(領空侵犯の時間帯に)間に合うか間に合わないかはスクランブルにおいて関係ない。対領空侵犯措置の要領に基づいて対応する」と話す。戦闘機以外にもさまざまな手段を講じるといい、航空自衛隊の関係者は「領空保全のためにやれることは全部やる」としている。

F15は午後2時32分6秒に尖閣諸島の魚釣島から約290キロ西の久米島(久米島町)沖で再びフライトレーダー24の記録に現れた。中国機の領空侵犯が終わった後も2時間ほど、警戒監視を行っていた可能性がある。

連動する領海侵入と領空侵犯

中国ヘリの領空侵犯は、中国海警船の領海侵入と連動していた。AISの情報を提供するサイト「ヴェセルファインダー」のデータや海保の発表によると、海警船4隻のうち、ヘリ搭載の「海警2303」が午後0時18分ごろ、また「海警2501」が20分ごろに日本の領海に侵入。21分ごろには「海警2204」の領海侵入と、ヘリによる領空侵犯が同時に発生した。27分ごろには、残る「海警2301」が領海に入った。

その後、36分ごろにヘリが領空を出ると、52分ごろに海警2204、58分ごろに海警2303が領海を退去した。海警2501は午後1時2分、海警2301は3分に相次いで領海から接続水域へ戻った。

海警2303は4月中旬に中国へ一時帰港した後、尖閣周辺に現れていた。しかし4月30日に再び中国浙江省台州市の沖約75キロ地点に戻り、尖閣へ折り返す特異な行動をとっていた。この時にヘリが搭載された可能性もある。

領空侵犯したヘリコプター(第11管区海上保安本部提供)
領空侵犯したヘリコプター(第11管区海上保安本部提供)

中国機による領空侵犯は戦闘機や無人機を含め、今回で4度目。尖閣諸島周辺では3度目となる。

防衛省統合幕僚監部はX(旧ツイッター)で、「5月2日〜6日、東シナ海において領空侵犯のおそれがあったため、空自西部航空方面隊の戦闘機が緊急発進し、対応しました」と発表した。3日の領空侵犯の前後にも中国機へのスクランブルが行われていたとみられ、日中の間で緊張が高まっている。(データアナリスト 西山諒)

<5月3日のタイムライン>

午前10時53分46秒 海保機ファルコン2000が那覇基地を離陸

午前11時27分ごろ 海保機ファルコン2000が下地島空港周辺に到着

午後0時5分7秒 海保機ファルコン2000はこの時間まで周回飛行、しばらくデータ途切れる

午後0時18分23秒〜34秒 民間機が尖閣諸島・魚釣島周辺の領空に入る

午後0時18分ごろ 海警2303が南小島南東の領海に侵入

午後0時21分ごろ 海警2303に搭載のヘリが領空侵犯

午後0時23分24秒〜24分45秒 民間機が領空を出る

午後0時30分4秒 F15戦闘機が沖縄本島南西沖に出現

午後0時36分ごろ 海警2303の甲板にヘリが戻り領空侵犯終了

午後0時43分20秒 F15戦闘機が現場と那覇の中間地点でデータから消える

午後0時58分ごろ 海警2303が南小島南東の領海から退去

午後2時32分6秒 F15戦闘機が久米島沖で再度出現、那覇方面へ東進

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