コラム

2024.06.28
発達障害について

準備が遅い、宿題ができない、忘れ物が多い…もしかしてこれも発達特性?

子どもが学校生活で困難を感じることは珍しくありません。
準備が遅い、宿題ができない、忘れ物が多いといった問題は、多くの保護者様にとっても悩みの種です。

しかし、これらの問題は単なる「怠け」や「不注意」ではなく、発達特性によるものである可能性もあります。
今回は、子どものこれらの行動が発達特性によるものかもしれないという視点から、その理解と対応について考えてみましょう。

【準備が遅い】

朝の支度や学校の準備が遅い子どもは、時間の管理や計画の立て方に課題を抱えていることがあります。
これは発達特性の一つであるADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉症スペクトラム)に関連している場合があります。

①時間の感覚がつかめない
ADHDの子どもは、時間の感覚がつかめず、支度に時間がかかることがよくあります。
時間を見積もるのが難しいため、何をどれだけの時間でおこなうべきかがわからないのです。

②計画を立てるのが難しい
ASDの子どもは、一連の行動を順序立てておこなうのが難しい傾向があります。
そのため支度の手順がわからず、何をすべきか混乱してしまうことが多いのです。

〈対応策〉
視覚的なタイムスケジュールを作成し、何をいつおこなうかを具体的に示します。
時計やタイマーを使って時間を視覚的に確認させることも効果的です。
ほかにも、支度リストを作り、チェックリスト形式で一つ一つ確認しながら進めることで改善する場合があります。

【宿題ができない】

宿題ができない子どもは、集中力や注意力に偏りがあるかもしれません。
これもADHDや学習障害(LD)に関連することが多いです。

①集中力の持続が難しい
ADHDの子どもは、宿題に集中し続けることが難しく、すぐに気が散ってしまうことがあります。
長時間同じ課題に取り組むのが苦痛になりがちです。

②情報の処理が遅い
学習障害のある子どもは、情報を処理する速度が遅く、課題を終わらせるのに時間がかかります。
板書ができないなど、読み書きに困難を感じることもあります。

〈対応策〉
短時間の休憩を挟みながら宿題に取り組むようにします。
個別のサポートをつけ、難しい課題を分解して少しずつ取り組む方法が有効です。
特別支援教育のサポートも検討しましょう。

【忘れ物が多い】

忘れ物が多い子どもは、記憶や注意の持続に困難があるかもしれません。
これもADHDや実行機能の問題に関連している場合があります。

①注意力が散漫
ADHDの子どもは、必要な物を忘れることが頻繁にあります。
注意力が散漫で、持ち物のチェックを忘れることが多いのです。

②物の管理が難しい
実行機能に問題がある子どもは、物を管理することが難しく、忘れ物が多くなります。
整理整頓が苦手で、どこに何があるか把握できないことが多いです。

〈対応策〉
チェックリストを作成し、毎日持ち物を確認する習慣をつけます。
また、定位置を決める習慣をつけ、物を決まった場所に置くように指導します。
例えば、ランドセルや教科書、筆箱などの置き場所を決めておくことが効果的です。

【発達特性の理解と支援の重要性】

これらの行動が発達特性によるものである場合、子どもたちは、自分の行動がコントロールできず、困難を感じていることが多いです。
周りの大人はその特性を理解し、その子に合ったサポートを提供することが求められます。
批判や叱責ではなく、共感と理解をもって接することが特に大切です。

【具体的なサポート方法】

①専門家への相談
発達特性が疑われる場合、まずは身近な発達専門家に相談してみましょう。
診断がつかない程度の特性(グレーゾーン)の場合でも、発達支援や教育プログラムにつなげられる場合があります。

②家庭と学校の連携
家庭と学校が連携して、子どもの特性に応じたサポートを提供することが重要です。
この程度で連絡していいものかと悩まれるかもしれませんが、子どもが気づかれない所で困難を感じている場合もあります。
不安に思うことがあったら学校に相談し、定期的な情報共有と協力をしていくことが、子どもの成長を支える鍵となります。

まとめ

子どもがあまりにも準備が遅い、宿題ができない、忘れ物が多いと感じる場合、それは単なる怠けや不注意ではなく、発達特性によるものである可能性があります。
もちろん、低学年のうちは指示どおりにできないことはよくありますが、程度が一般的ではないと感じる場合は一度専門家に相談してみてもいいかもしれません。

周りの大人が子どもの行動に対して共感と理解をもって接し、具体的なサポートを提供することで、子どもたちはよりよい学校生活を送ることができます。
発達特性に対する理解を深め、子どもたちが安心して成長できる環境を整えていきましょう。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

無料体験レッスン お問い合わせ / 資料請求