<考論>利害一致したが、遠い和平の道 印パ即時停戦合意 防衛大学校教授・伊藤融氏

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 ■防衛大学校教授(南アジア外交・安全保障)・伊藤融氏

 インドとパキスタンが即時停戦に合意したが、あくまで一時的なものだ。火種はくすぶるどころか上からふたをしたにすぎない。インドはパキスタンのテロリストの親族を殺害したことをアピールしており、不満を抱いた過激派組織などが報復に出て、再び衝突が起きる可能性は大いにある。

 2001~02年の衝突ではパキスタンの核による脅しは今よりも激しく、国際社会の危機感も強かった。英米を中心に強い圧力をかけ、パキスタンから「越境攻撃はこれ以上行わない」という約束を取り付け和平協議の再開にもつながった。

 しかし今回の停戦合意は、双方の利害が一致したにすぎない。パキスタンは経済が疲弊しているし、インドも戦闘機を撃墜されたという情報がある。「反撃をした」という自国民へのメンツを保った状態で早期に幕引きをはかりたかったところに、外交成果を上げたい米国が乗っかった形だ。

 和平交渉の再開には、パキスタンがテロ組織の根絶に乗り出すなど、インドが納得する提案をしない限りは難しく、道のりは遠い。(聞き手・山本逸生)

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