【必読記事:薬害を捏造する医師・弁護士たち】2025年4月14日 HPVワクチン薬害訴訟傍聴記録⑧
(画像はHPVワクチン薬害訴訟弁護団のホームページhttps://www.hpv-yakugai.net/より)
HPVワクチン薬害訴訟・今回の傍聴記録(ChatGPTによる要約)
鹿児島大学病院で“HPVワクチンによる脳血流障害”と診断された女性たちの脳SPECT画像を、大阪大学・畑澤元教授が法廷で確認した結果、全例「異常なし」と証言。鹿児島大学病院放射線科では異常なしと判断されていたにもかかわらず、神経内科が独自判断で「異常あり」と診断し、被ばくを伴う検査や免疫療法まで実施していたことが判明。
原告側弁護士の質問に対し、畑澤氏は「そもそも脳SPECTでは異常が見られない上に、脳SPECTはあくまで補助的な診断であり、新しい疾患の診断には不適切」と一貫した姿勢。未査読論文や信頼性の低い手法に基づく診断に強く疑問を呈した。
法廷では「赤く見える=異常か否か」などの基本的な理解に関する原告弁護団の混乱もあり、専門性に関して乏しいギャップが露呈。鹿児島大学病院の診断プロセスに大きな問題があることが、明確に示された回となった。
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以下、本文。
自分は多数の子宮頸がんの患者さんに関して、告知や治療やお看取りを行ってきた産婦人科専門医(医学博士)です。
日本のマスコミが決して報じないこの裁判の実態を、以前からツイートしています。
今回で傍聴記録は8回目です。
これまでのHPVワクチン薬害訴訟傍聴記録も、遡ってnoteで順次上げていきますので参考にしてください。
これまでで最も衝撃的な事実が明らかになりました。
“HPVワクチン後遺症”の診断を現在進行形で量産している唯一の大学病院である鹿児島大学病院。
しかしその診断の実態は、鹿児島大学病院放射線科が作成した読影レポートでは異常がないと判断されたにも関わらず、鹿児島大学病院神経内科が独自に脳血流の画像を異常だと判断していました。
新規疾患の存在を証明するための臨床研究としては、極めて非常識です。
最終的に鹿児島大学病院で
”HPVワクチンによる脳血流の異常”
と診断されてしまい、HPVワクチン薬害訴訟の原告となった女性たちの脳血流画像は、今回の法廷の証人である畑澤順先生(大阪大学医学部核医学診療科のもと教授・日本核医学学会前理事長)が確認した全例において、異常なしの診断。
にもかかわらず、鹿児島大学病院神経内科医たちの独自の判断により
”HPVワクチンによって脳血流障害が生じた被害女性”
に対して、鹿児島大学病院が被ばくを伴う検査や免疫吸着療法を施行していた事実が、法廷にて明らかになりました。
前回、畑澤順先生が証人として法廷に立った福岡地裁のレポートはこちら。
https://x.com/tanuk_ichi/status/1883897806471225818?s=46&t=aKCnQ_jX0p0aWhyp8OMJ0w
例によって法廷では録音録画が禁止されているので、自分のメモからの書き起こし。
なので、一字一句が正しい記載ではない点はご了承ください。
非常に長文です。
特に途中の中西弁護士登場から盛り上がりますが、結論だけを読んでも十分に衝撃的な結果かと思います。
今回は以前の畑澤順先生の証言に対して、原告側弁護士が反論する形で裁判が進行。
以下からは形式的に、畑澤先生は畑、原告弁護士は弁と記載します。
裁判傍聴の抽選は全員通過
法廷は9割ほどが埋まっており、そのほとんどが原告支援者の中高年世代
いつも通り、江戸川大学マス・コミュニケーション学科教授の隈本邦彦も登場
もとNHK記者であり、薬害オンブズパースン会議という団体のメンバー
日本各地で謎の反HPVワクチン講演会を開催している人物
畑
(深々と原告席へ一礼)
弁(若い女性弁護士・うつむき気味でやや不慣れそう)
証人がグラクソスミスクライン(GSK)から証言の依頼を受けたのはいつですか?
畑
2年前くらいです
弁
その前から平井論文を知っていましたか?
補足:帝京大学病院神経内科平井利明による未査読論文、脳SPECT検査でHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の存在を主張
以前の法廷で畑澤先生が論文の問題点を複数指摘し、科学的価値のない”ただの読みもの”と評価
畑
今回依頼されてから読みました
弁
荒田論文は?
補足:鹿児島大学病院神経内科荒田仁による未査読論文、脳SPECT検査でHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の存在を主張
以前の法廷で畑澤先生が論文の問題点を複数指摘し、科学的価値のない”ただの読みもの”と評価
畑
同様です
弁
脳SPECTに関する、この松平論文(静岡てんかんセンター松平敬史医師の論文、おそらく未査読)は?
畑
日々多くの論文を読んでいますので、今から読みます
少し時間を下さい
、、、、、読んだことはありません
弁
ではこちらの別の松平論文は読みましたか?
畑
また時間を下さい
、、、、、読んでません
しかし論文の方法などを見る限り、画像の専門家から見れば大きな問題のある論文です
この論文を読んでいるかいないかで、調書に変更はありません
弁
池田修一先生の脳SPECTに関する論文は?
補足:信州大学神経内科もと教授池田修一らによる未査読論文
池田修一はマスコミに対してHPVワクチンに関する不適切な研究発表を大々的に行い、厚労省と信州大学から厳重注意を受けたのちに開業医に転身
現在に至るまで、査読を受けたHPVワクチンに関する論文はゼロ
畑
核医学に関して方法論を含めて様々な問題がある
この論文をもとにして調書を作成するのは無理がある
GSK弁護士
それは“調書”ではなく”意見書”ですね
畑
失礼しました、そうです
弁
原告の脳SPECTは何例確認しましたか
畑
鹿児島大学病院の診断で異常があるとされた方のうち、提供を受けた3-4名の画像を確認しました
異常はありません
弁
その他の原告の脳SPECTは?
畑
提供されていないので確認していません
弁
証人は患者を実際に診察していますか?
畑
大阪大学病院放射線科では、産婦人科や内科などから依頼を受けて画像検査・診断を行います
検査の必要性・有用性を協議することもあります
大阪大学病院ではHPVワクチンの後遺症診断で依頼を受けた例は1例もありません
弁
証人は、脳SPECTは脳血管障害・認知症・てんかんに対して施行する検査だと主張していますね
畑
90%はそうです
弁
脳SPECTとアルツハイマーに関する論文を書きましたか?
畑
2012年ですね
3D-SSP(統計的画像解析法)の使用法に問題がある論文が多く、正常人のデータベースも不十分
その不十分なデータベースを使用して、異常がないにもかかわらず異常だと判断している医師がいる
カメラでの撮影条件が一定でなく、そのためにZ scoreが高くなったり低くなったりというエラーが生じる
そういった臨床の場での問題を指摘する必要がありました
長くなりましたが、これでよろしいでしょうか?
弁
はい、いいえで答えられる質問には、はい、いいえでお答えください
放射線科医はどのように3D-SSPを使いますか?
畑
主にアルツハイマー型認知症で使用します
原画像の処理を行うために使用するが、あくまで補助診断です
原画像を優先して診断すべきです
繰り返し述べていますが、3D-SSPだけを見て判断してはいけません
弁
証人の論文では、3D-SSPは臨床的に有用性が高い、と述べていますね?
畑
はい、そうです
ただし様々な条件をクリアしてなければなりません
対象とする特定の疾患、主にアルツハイマー型認知症では有用性が高いことが世界的に判明しています
弁
3D-SSPはあくまで正常と比較して用いるのですか?
畑
そうです
平均的な血流量やそのばらつきを見ます
ある特定の疾患では、異常の有無の基準に用います
白髪の原告側男性弁護士(のちに何度も登場、乞うご期待)が大きな声で割り込む
つまり、質問への回答は「はい」ですね!
畑(無視して継続)
健常人の数・年齢・性別などを測定した上で、解析を行う必要があります
白髪の原告側男性弁護士
つまり!「はい」ですね!
畑
ご質問がきちんと数・年齢・性別などを勘案しているのであれば、回答は「はい」になります
別の控えめな原告側男性弁護士
時間がないので、はい、いいえ、のどちらかで答えて頂けると、、、
畑
可能な限り正確に述べる必要があるかと思いまして。
それなら「はい」です
弁
次にデータベースに関する証人の論文についてお聞きします
畑
2012年には多数の論文でノーマルデータベースに問題がありました
撮影するカメラの機種が異なる画像が、データベースに混在していることもあり、これを問題視してきました
撮影の条件には一定の基準が必要です
シャッタースピードも統一されていなければ、エラーが混在してしまう
そういう論文です
控えめな原告側男性弁護士
あのー、これ以上の説明はもう結構ですので、、、、
弁
現在ではデータベースの問題は?
畑
大阪大学病院では自施設でそういった問題をクリアしたデータベースを構築しています
他の大学病院がどうなっているかまでは分かりません
弁
データベースを使用していれば、ある程度は正しい結果が得られるのでは?
畑
典型的な誤った考えです
アルツハイマー型認知症においては、世界的に有用性が認められている
ただ、精神疾患や未知の疾患に使用するのは不適切
大阪大学病院ではそんなことはしないし、他の医療機関でも普通はそのような不適切な使用はしていません
弁
特定の疾患だけでなく、脳の機能を評価する際に3D-SSPを使用することもある
ここにはそう記載されています
畑
読みますね、、、、
はい、そのように書いています
ただし前提として、臨床試験や倫理委員会などを通して評価することが必要です
それを経て有用性が確認できれば、診断に有用と言うことが可能です
弁
証人は脳SPECTの教科書執筆にかかわっていますね?
そこでアルツハイマー型認知症以外にも、脳SPECTを用いてますね?
畑
はい
弁
前頭葉型認知症にも有用で、アルツハイマー型認知症との鑑別にも有用ですか?
畑
はい、そうです
アルツハイマー型認知症、前頭葉型認知症、移行型や混合型の認知症、それぞれ20-30%ずつありますが、有用な検査です
ただし移行し得るので、必ずしも判断が変化しないわけではありません
弁
ハンチントン病では脳SPECTで尾状核・前頭葉の血流低下がありますね?
畑
はい、ただし非常にまれな疾患であり、自分も実際に診断したことはありません
弁
ハンチントン病が非常にまれならば、どのように診断しますか?
畑
その場合は診断基準など、、、(メモが追い付かず、書き取りできず)
弁
脳炎などのまれな疾患や新規の疾患の場合には、脳SPECTは使用しますか?
畑
既に知られている疾患の診断に、あえて脳SPECTを使うことはないです
新規の疾患を疑っても、その診断のために行う検査でもないです
弁
質問の回答は「はい」でよろしいでしょうか
畑
もう一回質問を伺えますか?
白髪の原告側男性弁護士
「はい」と答えて頂ければいいんです!
畑
質問が限定的過ぎます
誤解があってはならないので、説明が必要です
別の女性弁護士
時間の節約のために協力をお願いします
裁判長
申し訳ありませんが、可能な限り簡潔にお願いします
畑
分かりました
弁
脳SPECTで所見が乏しい疾患もありますね
2017年の報告では、橋本脳症では脳SPECTで64%は正常と判断されると
畑
最近知りました
ただし頻度や割合に関して述べる際には、感度・特異度を合わせて判断する必要がある
その論文では、病気でない人の所見がどうかの記載がなく不適切な論文です
傍聴席から、そんなのどうでもいいじゃん!、とヤジが入る
弁
ムラマツ先生が抗NMDA受容体脳炎や橋本脳炎において、3D-SSPを用いた解析を行って、特徴的な所見を報告しています
畑
その報告もノーマルデータベースの記載が不十分であり、世界的なコンセンサスもありません
信頼性が高い報告とは言えません
弁
しかしこの論文は”ユーロピアンニューロロジー”の査読論文です
医学界で評価された論文ですね?
畑
その解釈は正しくありません
査読のプロセスが不透明で、他の研究者による論文引用もされていない
医学界の中で評価されるには、そういった積み重ねが必要です
橋本脳症の知見としては確立していない
あくまでそのプロセスにあると判断します
弁
アルツハイマー型認知症やてんかんでは長い歴史の中で脳SPECTの意義が確立している、ということですね
畑
そうです
弁
患者の脳機能を確認するためにも脳SPECTは行われるのでは?
畑
そういった研究には研究チームやプロトコルを揃える必要がある
あくまで研究目的で、精査したうえで知見として確立します
新規の疾患を疑ったから試しに検査をしてみよう、という手法は非常によろしくありません
例えば脳波に異常などがあるから、その裏付けとして脳SPECTを行うのはあり得ます
しかし脳波などに異常がないにもかかわらず、とりあえず施行するような検査ではありません
弁
保険診療では脳SPECTや脳シンチグラフィーは、脳炎・脳症が保険適用とされています
有効性が認められた検査ではありませんか?
畑
誤った解釈です
保険適用だから脳炎・脳症を疑ったら脳SPECTを施行する、というのは誤りです
統合失調症やうつ病や解離性障害などでも保険適用ですが、脳SPECTは行いません
科学的な意義が不明だからです
保険適用の話をするならば、脳死でも脳SPECTは保険適用です
しかし脳死患者に脳SPECTは行いません
そういったことは10年以上前に議論されて、既に決着がついています
保険の適応疾患をそのように解釈すること自体が誤りです
あくまで診療報酬が支払われるかどうかという話です
弁
それはあくまで先生のお考えですよね
分かりました
次は土田先生による報告です
新型コロナ後遺症のブレインフォグに対して、脳SPECTを221人に対して行ったところ、その全例で脳血流が低下していました
この報告を知っていますか?
畑
初めて聞きました
そもそもブレインフォグの定義などは医学的には確立していません
弁
新型コロナに関して、、、、、、(10秒ほど言葉に詰まり、書面を目で追う)
新型コロナ後遺症の診断において脳SPECTは広く利用されている、ということでよろしいでしょうか?
畑
えーと、新型コロナのワクチン後遺症でしょうか?
弁
ワクチンではなく、新型コロナ後遺症へ脳SPECTは行われていますか?
畑
一般的にはありません
傍聴席から:いやー、あるでしょうよ!
ここまでで午前中の尋問が終了
90分間の昼休憩へ
傍聴席からは、高嶋先生の診断を否定したくてしょうがないんだろうなぁ、誠実さが足りないよ、などの声
補足:高嶋博 鹿児島大学神経内科教授
HPVワクチン接種後神経障害を提唱して脳SPECTで多数の患者を診断するも、その謎の疾患に関して未だに査読論文はゼロ
前半はまだ落ち着いた展開だが、後半はハチャメチャが押し寄せてくる
ワクワクを100倍にして読んでほしい
特に白髪の原告側の男性弁護士に注目
法廷再開5分前
係員が傍聴の注意点を説明するが、中高年世代の原告支援者の雑談がうるさすぎて聞こえない
あの界隈って非常識な大人が多いんだよね
思春期からずーっと、”支援者”たちに囲い込まれてきた”被害女性”たちが、本当に気の毒です
質問を行う原告弁護士が交代
既に何度も登場している白髪の男性弁護士へ(中西弁護士、以下中西と表記)
この裁判において、常に笑いと涙を提供してくれる有能な弁護士である
ぜひ、カプコンの名作ゲーム『逆転裁判』に登場してほしい
中西
まずですね、質問には、はいかいいえ、でお答えください
回答しているうちに、質問が何だったかよく分からなくなる場面もありましたよね
時間もありませんので
製薬会社弁護士
ご存じのように専門性が高い領域なので、はい、いいえ、だけでは答えられないこともあります
前提条件などを確認する必要があります
裁判長
証人はできれば簡潔にお願いします
ただ、それが難しいこともあることは理解しています
一方で原告は、質問の導入で”記載があるかどうか”を証人に確認するのは不要かと思います
中西
平井論文に関して証人は”読み物に過ぎない”と言いました。
覚えていますか?
補足:帝京大学病院神経内科平井利明による未査読論文、脳SPECT検査でHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の存在を主張
以前の法廷で畑澤先生が論文の問題点を複数指摘し、科学的価値のない”ただの読みもの”と評価
畑
はい、そうです
査読を経た原著論文ではありません
中西
著者らはその論文の中で、脳SPECTによってマウスの脳炎を示した平井・黒岩論文を注釈して引用しています
これは2016年の日本自律神経学会の雑誌”自律神経”において、査読を受けています
これを読んでいますか?
畑
はい、読んでいます
査読があっても、きわめてレベルの低い論文です
中西
査読を経た論文を引用しているのに”よみものに過ぎない”と評するのは、アンフェアです
畑
もともと提示された論文は、査読を経ていないただの読み物です
引用された論文も読みましたが、通常の査読を通るレベルに達していない
解析は不十分で、採択されるには、、、
中西
(畑澤先生の証言を遮って)
いや、そんなことはないでしょう
それ以上は必要ない
製薬会社弁護士
異議あり、必要です
裁判長
続けてください
畑
この論文が採択されるまで、8日間という異例の短さです
私は査読誌の編集長を務めてきましたが、査読者の選定などを含めて、通常は早くても2週間は必要です
そしてこの論文は、核医学の専門家の査読を通っていません
中西
端的に答えてほしいんですよね!
前回、証人は査読論文ではなく”読み物だ”と主張していたでしょう
製薬会社弁護士
誤誘導です
証人が”読み物”と言ったのは査読を受けていない平井論文の方です
中西(ヒートアップして)
じゃあ、アンフェアだと私は感じたんです!
それは言わせてもらいます
次に、脳SPECTを判断するには専門家が必要だと言っていましたね?
畑
はい
中西
平井論文の共著者の内山眞幸、慈恵医大放射線部所属
知っていますか?
畑
知っています
専門家の一人ですが、専門は呼吸器の悪性腫瘍です
脳SPECTの専門家ではありません
それは強調させていただきたい
中西
日本核医学学会が発足・推進させた会の役員
内山眞幸
そうですね?
畑
はい、私が理事長としてこの会を発足しました
中西
では、内山医師は核医学の専門家でしょう
畑
はい、内山先生は核医学領域では脳神経ではなく呼吸器の専門家です
(ここからの展開は、さらにカオスに突入)
中西
改めて平井論文です
脳SPECTの論文作成に当たって放射線部の協力を得る必要がありますね
平井論文の共著者には平瀬技師、太田技師という方もいて、この方々は他にも論文を書いています
畑
放射線技師の役割を誤解されているかもしれません
検査の条件を整える専門家ではあります
撮影された画像の診断を行う役割はありません
技師が論文を書いたり論文に名前が記載されているからと言って、その論文の正しさを担保するものではありません
中西
技師が論文に関わっていれば、信頼度が高いのでは?
畑
技師は放射線画像の撮影を、責任をもって行う職種です
平井論文からは、統計画像解析の信頼性は読み取れません
中西
平井論文には放射線部と技師に対して、協力して下さった、と謝辞が記載されています
なので、検査の信頼がおけるのではありませんか?
畑
謝辞を述べるのは論文の作法であり、謝辞があることと論文の信頼性は無関係です
中西
それはあくまで証人の感想に過ぎませんよね
次は先ほどの雑誌“自律神経”の論文です
これには東大病院の黒川清先生も関わっています、日本学術会議の
知っていますか?
畑
知っているが、会ったことはありません
中西
本研究の目的は脳SPECT・内分泌・脳波などと中枢神経疾患の関連を見つけること
そう記載されていますね
畑
はい
中西
提唱されているHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の診断基準を提示します
他覚的所見として、脳SPECTでの異常、これが挙げられていますね
畑
私はその医師たちのように脳SPECTの所見だけで診断することはありません
客観的に診るためには、科学的エビデンスに基づいた正しい手法を使うべきです
多数の画像診断をしてきた専門家としての経験上、脳SPECTから結論を導くのは不可能です
中西
科学的エビデンスと言っていますが、このような蓄積がエビデンスが確立する過程なのでは?
畑
既に言いましたが、HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)という研究の過程や手法に問題があれば、それには意義はありません
脳SPECTはあくまで特定の疾患の補助診断に用いられるべき検査であり、新規の疾患を疑ったから撮影してみるという検査ではありません
HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)に関して脳SPECTを使用することで、有意義なエビデンスが得られるような研究デザインがなされていません
誤った結論が導かれてしまうことを危惧しています
中西(明らかにイライラいている)
次は教科書からの記載です
3D-SSPを使用して健常者と有病者の脳血流を比較することで、異常を検出できる
そう書かれていますね!
畑
本の一部分だけを抜粋しても、、、
中西
(話を遮って)書かれていますね!!
畑
この部分だけではなく、全体を読んで判断する必要があります
中西
実臨床では特定の疾患に対して脳SPECTを行うことがあり、3D-SSPを用いることもある
それには倫理委員会などを通す必要がある、午前中はそのように言っていましたね?
畑
午前中は答える時間が無さ過ぎました
臨床研究では、例えばアルツハイマー型認知症と診断された方に対して、経時的に観察したうえで治療を行い、脳血流が変動するかを確認しています
既に診断がついている既知の疾患に対して用いる検査であり、新規の特定の診断を行うために用いる検査ではありません
中西
脳血流の異常を脳SPECTで見つけて、それを知見として積み上げる
そういった方法を用いても良いのではありませんか?
畑
それはきちんとした研究として、倫理委員会を経てプロトコールを作成し、、、
中西(怒鳴り声で割って入る)
だから〇〇(聞き取れず)とはですね!
畑(無視して進める)
実臨床の場ではそのような手続きを踏んだ上で脳血流を見ています
中西
平井論文では、脳梁や脳の広い範囲での血流低下が認められると記載されていますね
畑
はい、記載はあります
ここで別の若い女性弁護士へ交代
明らかに慣れていない様子で、発言に詰まって固まったり、言い間違いなどが多い
ここからは、赤い・青いについて謎の論争が始まる、、、
弁
視床基準を用いると、画像では赤い部分が多いように見えます
これは異常ではないのでしょうか?
畑
そう判断するのは間違いです
というのは、、、
中西
(話に割り込んで)赤く見えるか見えないかを聞いているんだ!
ワイの心の声(いやそうではなく、女性弁護士は赤く見える部分が異常かどうかを聞いてたやろ、、、マジでやばい弁護士やな)
製薬会社弁護士
異議あり
不適切な質問です
赤いのは確かに赤いですが、赤いかどうかを証人に確認する意義は何ですか?
弁
では、赤いように見える、それで回答はよろしいでしょうか?
畑
赤く見えることの解釈は別として、赤いか赤ではないかといえば、赤が正しいです
弁
では赤いところは相対的高灌流であり、血流低下がある
それは違うのでしょうか?
畑
説明が必要です
視床が正常という前提が必要であり、3D-SSPでは正常な部位を基準とします
なのでこの手法で3D-SSPを用いるというのは、そもそもやってはならないのです
GSK弁護士
原告弁護士は相対的低灌流を相対的高灌流と誤って発言したと思われます
弁
失礼しました
ご指摘の通りです
畑
3D-SSPは1つの元データを、全脳平均・視床・小脳・橋の4か所の基準で確認する必要があります
弁
視床基準だけで異常が見られた場合
これをもって異常と判断してもよいのではないでしょうか?
畑
誤りです
脳SPECTでは視床基準のみ異常が見られた場合、エラーを見ているだけと判断すべきです
中西(期待を裏切らない再登場)
はい!わかりました!
証人はもう結構です
製薬会社弁護人&裁判長
証言を遮らないで下さい!
畑
100%のケースでこれが正しいわけではないですが、視床を正常と仮定すべき
この画像をもって異常と判断することは誤りです
中西
私は納得ができないがね
多くのHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)患者でのZ map分析では、相対的低灌流域が見られている
ここに記載のある患者は異常と言えるのでは?
畑
そもそもそこに記載されている
“減弱像のZ map”
という言葉の意味が不明であり、私は使ったこともなければ聞いたこともない
むしろこの意味を私に教えてください
中西
方法、に書いていますけどね
この全脳基準でも、19名のHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)患者では特定の領域で有意な灌流量低下が見られています
これも見たことがない?
畑
この論文のデータベースの使用法そのものが不適切
ノーマルデータベースを用いて患者1人1人をそれぞれ解析して、ここに異常、ここにも異常と挙げている
通常のエビデンスのある手法とは著しく異なるので、この解析では何の推論もできません
中西
それこそが科学的データの集積では?
畑
誤ったデータを集積させても、それはむしろ有害です
というのは、、、
中西
!!!(怒鳴って話を中断させる)
製薬会社弁護士
明らかに話の途中で遮るのは不適切です
中西
話が長すぎる!
製薬会社弁護士
いや、明らかに、、、
裁判長
いえ、この点に関してはもう大丈夫です
それに証人の話の長さは、午前中よりも改善していますし(会場・畑澤先生を含めて笑)
中西
別の専門家が出したデータに対して、それが有害になるというのは言い過ぎでは?
畑
誤った方法で誤った結論を導くのは有害です
その論文の話ではなくとも、これは科学の一般論です
先ほどの明らかに慣れていない女性弁護士へ交代
弁
再び荒田論文に関して伺います。
証人はこの論文の問題点として、カラースケールがない点や、原画像を確認すると異常とは言えないと証言していますね?
補足:鹿児島大学病院神経内科荒田仁による未査読論文、脳SPECT検査でHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の存在を主張
以前の法廷で畑澤先生が論文の問題点を複数指摘し、科学的価値のない”ただの読みもの”と評価
畑
はい、そうです
弁
「臨床医・RI技師のための脳SPECTパーフェクトガイド」
この教科書を作成しましたね?
畑
作成しましたが、詳細な内容までは覚えていません
弁
右内頚動脈血栓の術前術後のカラースケールを見ると、赤に近ければ血流が上昇し、青に近ければ血流は低下している
それでよいですね?
畑
カラースケールには種類があります
これは治療前後の比較をしていますが、一概に赤だから血流増加で青だから血流低下ではない
色分けは目的に応じて使います
あくまでもこの画像は脳血管障害による大きな血流差を見ています
弁
次は単純ヘルペス脳炎の項目です
こちらはモノクロ画像ですが間違いないですか?
畑
これは白黒だと、、、分かりにくいですね、、
弁
証人は意見書ではこの項を引用していますが、、、、(明らかに困惑)
畑
ずいぶん前のことなので、はっきりとは、、、、(お互いに困惑)
弁
ここではコントラストを比較しており、カラースケールはないですね
畑
教科書のこの部分ではそうですが、実際の診断時にはカラースケールも用います
弁
荒田論文が投稿された雑誌”臨床核医学”の投稿規定には、カラースケールの有無はありませんね
製薬会社弁護士
異議あり
論文が投稿された時期に、その投稿規定があったか不明です
裁判長
証人は当時の投稿規定を知っていますか?
畑
はい、知っています
この雑誌の投稿規定には、投稿された論文に事務局が手を入れることが許されています
普通の医学雑誌ではありえないことであり、そういうジャーナルだろ理解しています
私の投稿にも手を加えられていたことがあります
裁判長
規定の時期は分かりますか?
畑
分かりません
長期間かと
弁
ご自身の文献で、てんかんの発作時と間欠時の脳SPECT画像を使用していますが、カラースケールは使用していませんね
畑
脳の左右の血流差を見ている文献ですが、カラースケールを使用する必要がなかったからです
目的に応じて使用します
弁
では発作時と間欠時をどのように判断していますか?
畑
まずは原画像で判断します
そしてこの文献は原著論文ではなく、画像を広く知ってもらうために書いた文献です
目的が異なります
ここで10分間の休憩
原告支援者たちからは、、、
・なんかよくわからない
・薬害を起こしたのに誠実さが足りない
・オンラインでまたカワバタ先生(?)に教えてもらいましょう、いつもすごくわかりやすく教えてくれるの
毎回毎回、原告支援者たちは休み時間のたびに「よく分からない」と連呼しているが、それでも傍聴に来るのは偉いですね
非科学的で煽情的な反HPVワクチン報道を繰り返してきたマスコミも、少しはその姿勢を見習ったら???
慣れていない感じの女性弁護士で継続
弁
検査時の部分容積効果についてうかがいます
大雑把に言えば、赤・青で血流量を判断してもよいのですか?
畑
そうですが常に変動しています
体温など同様と考えていただければ
弁
健常者でも青く見えてしまいますか?
畑
1秒ごとに揺らぎが生じます
大脳皮質には1秒で80ccの血流があります
脳SPECTの画像では解像能力に差が生じます
なので、”画像で血流が低下しているように見える”からと言って実際に血流が低下しているとは限りません
弁
実際に血流が低下している場合には、脳SPECTではどのようになりますか?
畑
その場合、脳SPECTではもっと明らかに低下しているように見えます
大脳皮質の薄い部分では、適切な画像ソフトウェアを使うという方法もあります
弁
より青ければ、血流低下はあると判断できるということですね?
畑
一般的にはそうです
弁
この画像では?
畑
異常に低下しているように見えているだけです
実際にはあったとしても数%の差なので、その画像を見て異常だと判断する方が危険です
弁
紙ではなくディスプレイで見ても、そうなのでしょうか?
畑
そうです
信号の強度をより正確に確認するために、白黒の画像を用います
カラーの場合はわずかな差でも大きな差に見えてしまうことがある点に、注意が必要です
弁
この論文では血流低下は評価できないのでしょうか?
畑
正しく診断するには、多数の正常・異常の画像パターンが頭に入っていなければなりません
この方の脳血流は正常です
弁
シルビウス裂の血流に異常が指摘されている、免疫吸着療法の前後の脳SPECT画像です
解剖学的標準化を行っていればシルビウス裂の評価は可能ですね?
畑
シルビウス裂は位置や大きさの個人差が大きく、脳SPECT・3D-SSPではエラー信号が生じやすい
異常や正常の判断基準から外す必要があります
原画像を確認して判断すべきです
弁
橋本脳症の3D-SSP画像です
ここがシルビウス裂でしょうか?
畑
そうです
弁
解剖学的標準化を行えば、シルビウス裂の評価ができるのではありませんか?
畑
申し上げたように、もともと個人差が大きい部位であり、さらに加齢によってその差は増大します
弁
しかし画像を見ると、血流が低下していると解釈できるのではありませんか?
畑
誤っています
この画像ではシルビウス裂だけではなく、側頭葉先端・前頭葉下部にも信号が見られます
エラーが出ている状態です
この場合も、原画像を確認したうえで推論されるべきです
弁
荒田論文では免疫吸着療法を行う根拠として、シルビウス裂での信号増幅を挙げています
以前の法廷で、証人はこれを批判していますね?
畑
批判ではなく、画像を評価するにあたって正確な手法を用いることを勧めているのです
弁
解剖学的標準化を行えば、3D-SSPで評価は可能だと思うのですが、、、
畑
違います
画像撮影時の頭の位置、あごの位置などの差によって、同じ患者でも3D-SSPの結果は異なります
なので、免疫吸着療法の前後で3D-SSPを用いて評価することそのものが不適切です
原画像を見て判断すべきです
弁
マーカーなどを設置すれば、大丈夫なのではありませんか?
畑
20分間程度の検査でも、微妙な動きやずれは生じます
そのため、検査の前後でも異なった画像になります
弁
証人は正常データベースの年齢との不一致を問題にしていますが、年齢が一致していれば3D-SSPを用いてもよいのでしょうか?
畑
同じ人物であっても、治療前後の評価に3D-SSPを用いることそのものが不適切です
原画像を比較する必要があります
エラーが生じている3D-SSPのみを使用して判断することは、正しくありません
弁
治療効果を判断するためのサブトラクションは、てんかん発作に有用でしょうか?
畑
はい
原画像にそのように用いることで、てんかん発作の部位、焦点を判断するのに有用です
弁
原告27番の画像です
鹿児島大学病院で脳SPECT・3D-SSPによって脳血流に異常があるとされています
原画像を確認しましたか?
畑
ここに提示されているのはあくまで原画像の一部です
もっと細かいのが原画像です
その原画像は全て確認しました
ここで提示されているのは、ごくごく一部の画像に過ぎません
(いつものことだが、ここで傍聴席の原告支援者には睡眠に突入している人々が散見。いびきがうるさいおっさんもいる。勘弁してくれ。あんたら真面目に原告女性たちを応援する気、本当にあるん?)
弁
脳血流SPECTでは、必ず原画像が必要ですか?
畑
3D-SSPは補助診断にすぎません
あくまで原画像の所見を優先します
弁
右後頭葉・側頭葉の血流低下はありませんか?
(鹿児島大学病院で脳の血流異常と診断された原告の画像に対して)
畑
はい、まちがいありません
弁
鹿児島大学病院の報告では、RI検査の結果でも軽度の左右差ありとのことですが?
畑
どのようなプロセスでそのような判断に至ったのかが分かりません
弁
報告書は見ましたか?
畑
血流異常があると鹿児島大学病院で判断されて、鹿児島大学病院から提供されたすべての画像を確認しました
全例において異常はありませんでした
弁
鹿児島大学病院で異常があると読影した医師は、解剖学的標準化を行っていましたか?
畑
記載がないのでわかりません
弁
鹿児島大学病院では解剖学的標準化を考慮したのでしょうか?無視したのでしょうか?
畑
わかりません
ただ、解剖学的標準化を行われなかった結果で出てくることの多い典型的なエラーに見えます
弁
HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)に関しての池田修一論文ですが、読みましたか?
補足:信州大学神経内科もと教授池田修一らによる未査読論文
池田修一はマスコミに対してHPVワクチンに関する不適切な研究発表を大々的に行い、厚労省と信州大学から厳重注意を受けたのちに開業医に転身
現在に至るまで、査読を受けたHPVワクチンに関する論文はゼロ
畑
はい、画像分野に関しては
それ以外の領域は私は専門家ではないので
弁
池田修一医師はHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)と診断された163人をもとに、診断基準を作成しました
診断基準を確認します
補足:信州大学神経内科もと教授池田修一
池田修一はマスコミに対してHPVワクチンに関する不適切な研究発表を大々的に行い、厚労省と信州大学から厳重注意を受けたのちに開業医に転身
現在に至るまで、査読を受けたHPVワクチンに関する論文はゼロ
① 前提条件
HPVワクチン予防接種後(期間は限定しない)
HPVワクチン接種前には明らかな異常がない
② 症状
広範な痛み、関節痛、全身疲労感、起立性障害、月経異常など合計10項目
③ 他覚的所見
脳SPECT検査を含む合計6項目
脳SPECTが含まれていますね
畑
全く理解ができない!(この法廷で唯一、畑澤先生が語気を荒くした瞬間)
脳SPECTを加えるべきではない
この診断基準がどのような根拠をもって作られたのか、エビデンスがないです
弁
HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の確定診断には脳SPECTも使用される、そう記載されていますね
畑
はい
ただ脳SPECTを使用する根拠はありません
“脳SPECTの異常”の定義も定められていません
大変、深い憂慮を感じております
弁
脳SPECTだけでは、判断できないのでしょうか?
畑
池田修一医師や、それに属するグループがなぜこのような基準を作ったのかが分かりません
補足:信州大学神経内科もと教授池田修一
池田修一はマスコミに対してHPVワクチンに関する不適切な研究発表を大々的に行い、厚労省と信州大学から厳重注意を受けたのちに開業医に転身
現在に至るまで、査読を受けたHPVワクチンに関する論文はゼロ
私は核医学のことならわかります
脳SPECTが本当に有用ならまだよいのですが、かなり無理があります
医学の世界で到底受け入れられる主張ではありません
ここで最終弁論へ向けて10分間の休憩
寝ていた支援者たちも目が覚めた模様
・のらりくらり言っててよく分からない
・あーあ、イライラするわ
などの愚痴が聞こえる
この方々が理解できる日は、永久に来ないでしょうね
ここからはGSK弁護士が畑澤先生に質問し、これまでの内容を補完する形になる
製薬会社弁護士
証人が全く分からないと、途中で話に出た”減弱像Z map分析”に関してです
英語だとdecrease viewのことで、Z scoreは2を基準とされているようです
畑
それなら分かります
血流低下部位を判断するために用いられます
製薬会社弁護士
それを踏まえて、今回の3D-SSPではどうでしょうか?
畑
これだけでは血流低下を判断できません
製薬会社弁護士
ノーマルデータベースとHANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)患者を比較した場合に、違いはありますか?
畑
ノーマルデータベースを作成するには、対照群として多数の健常者が必要になります
また、同じカメラ、撮像パラメーター、フィルターなどの条件を統一する必要があります
それができていなければ、3D-SSPやZスコアはいくらでも変化してしまいます
今回の論文ではそれができていません
製薬会社弁護士
今回の論文では、他の病院での19人分のデータも併せていますが
畑
ゼネラルエレクトリック社のカメラでノーマルデータベースが作成されていますが、そこに併せられた19人分の他院のデータに関しては、撮影条件が不明です
製薬会社弁護士
鹿児島大学病院で脳血流に異常があると診断された原告27番を含めると、3人か4人分のデータの提供を受けましたね
結果はどうでしたか?また、鹿児島大学病院放射線科の作成したレポートは見ましたか?
畑
まずは鹿児島大学病院放射線科の読影レポートを確認せずに、原画像を含めて読影しました
全例で異常は見られず、正常な脳の画像と判断しました
その後に鹿児島大学放射線科の読影レポートを確認しました
鹿児島大学放射線科も異常なし、と診断していました
異常の可能性も疑われるという旨の記載がされているレポートもありましたが、私が確認したところ異常はありませんでした
製薬会社弁護士
検査においては感度と特異度が重要とお話しされていましたね
畑
感度というのは、ある病気の検出を行う指標です
特異度というのは、実際には病気ではない人を判断する指標です
100人中50人が病人、50人が健常者という集団があったとします
ある検査を行ったところ、この全員に陽性反応がでた場合には感度100%で特異度0%になります
精度は50%です
病気でない人も、病気であると判断してしまう検査になってしまいます
検査では感度・特異度はともに高いことが望ましいです
製薬会社弁護士
感度100%、特異度0%の検査があったとして、それには意義はありますか?
畑
コイントスと同じです
検査に意義はありません
もし院内で他の診療科の医師からそういった意義のない検査を依頼された場合、私たちは断ります
検査の意義を説明して、再考を促します
製薬会社弁護士
証人は、今も脳SPECTの診断を行っていますか?
畑
私は1970年から放射線科の医師として多数の画像を診てきました
2019年に大阪大学病院の教授職を退官したのちにも、今も大阪大学病院で勤務をして医療現場で診断業務を行っています
本当なら、本日月曜日も勤務日なのですが(笑)
画像診断はこの裁判での中心的な問題の一つです
新しい科学技術が開発されて、それが医療現場に応用されてきました
3D-SSPもその一つです
日本人である箕島聡先生がアメリカに渡って開発し、世界に広まった技術です
認知症、特にアルツハイマー型認知症において非常に有用な検査です
ただしあくまで補助診断なので、その利用においては原画像を確認することが重要です
専門家へ相談せずに誤った使用を行えば、誤った結果が導かれてしまいます
エビデンスの積み重ねの失敗につながります
中西(久々の登場、やったぜ)
今回の論文でのDecreased viewに関してですが、脳SPECTの撮像条件や他院を併せて19例のデータは、診断にあたって満足できる数でしょうか?
畑
2016年の大西論文では、ノーマルデータベースは多ければ多いほど望ましいと判断されています
20例以上が望ましいのですが、19例であれば数だけなら絶対にダメというほどではありません
男女が混ざっているので、精度の限界はあります
中西
ノーマルデータベースを作成するにも、健常者に放射線を浴びせる必要があります
なのでどうしても制約はあります
それはご存じですか?
畑
はい
日本では健常者と判断された上で、データベースに登録をしていただいたのは5例です
その困難さはよく分かります
それを考慮した上で、解析には十分に注意すべきです
画像を見て、異常に見えたから異常にする、というやり方は好ましくありません
中西
こちらが提示した論文では、HPVワクチンを接種していないノーマルデータベースを作成している
それに、撮影にあたっての薬剤の投与量や撮影条件も詳しく記載されていますがね?
畑
専門家から見れば、何も書いていないに等しいと言えます
カメラの機種や感度やフィルターや組織減弱係数など
これらは核医学の論文では必ず記載されるように、2012年から公表されています
この法廷で提示された研究には再現性がありません
科学的エビデンスとは、再現性の積み重ねが必要です
そういったデータとはいいがたい
中西
私は、この論文の記載は詳しいと思うんだけどね
製薬会社弁護士
異議があります
あなたの個人的感想は聞いていません
中西(だったか、後半で出てきた女性弁護士か記憶が曖昧)
最後に質問です
ハンチントン病の脳SPECTでの感度・特異度はご存じですか?
畑
この場でハンチントン病の脳SPECTの感度・特異度を思い出して、答えることはできません
向かって右の裁判官が初めて口を開く(以下、右と略)
既知の疾患では、例えば脳血管障害・認知症・てんかんでは、脳SPECTでの感度・特異度は判明していますか
畑
しています
右
新しい疾患が疑われた際に、脳SPECTでは感度・特異度をどのようにして出すのでしょうか
畑
初めのころは感度も特異度も分かりません
脳血管障害に関しては、MRIでの血流低下を確認して、その後に補助的に脳SPECTを施行する過程で確立したデータが得られるようになりました
てんかんでは約10%に難治性てんかんがあり、病巣を特定して手術を施行する過程でデータが確立してきました
IDG-PET検査を含めたその後の追試を得て、現在に至る過程で感度や特異度は判明していきます
新しい疾患への検査というのは、多くの病院で実施されてから、ガイドラインが確立していきます
ここで傍聴席の中年男性から唐突に
「おう、ひっくりかえしてやるよ!」との声
治安が悪いですね
右
脳炎や脳症の診断に脳SPECTが適切ではない理由は、感度・特異度が不明だからですか?
畑
そういった疾患は極めて稀であり、症状が多様です
少数の症例報告などはあっても、エビデンスとはいいがたいです
医学の世界でのコンセンサスが確立するのを待つしかなく、感度や特異度は現状では不明です
閉廷
(畑澤先生は開廷時と同様に、深々と原告席に一礼して退席)
以下:以前記載した傍聴感想文に加筆・修正
これが今回のHPVワクチン薬害訴訟です。メモが追い付かない、理解できていないなどの点もありますが、ほぼ全容といってもよいかとは思います。
ある程度以上の理解力がある方ならば、このHPVワクチン薬害訴訟と弁護団の実態も伝わったかと思います。
医者から見れば、開いた口が塞がらないレベルの茶番に見えるでしょう。
この薬害弁護団を正義の味方として祭り上げてきたマスコミの方々も、まさかここまでとは思っていなかったのではないでしょうか。
マスコミ報道だけを鵜吞みにしていた一般の方々は、騙されたと思うかもしれません。
しかし、これがこの裁判の実態です。
HPVワクチン接種後に体調を崩した少女たちに向けてマスコミが旗を振って、結果的にこの裁判へと導いたのです。その責任は甚大ですが、反省や謝罪を表明したマスコミは皆無です。
もちろん厚労省にも大きな問題があります。
鹿児島大学病院や、信州大学病院の責任は、紛れもなく甚大です。
自分が直接お話を伺ったところ畑澤先生も憤慨していましたが、特に鹿児島大学病院のガバナンスには間違いなく大きな問題があります。
現在、日本中の産婦人科外来では数多くの日本人女性が子宮頸がん・前がん病変と診断されて通院されています。そのうち、若い世代の女性たちは本来HPVワクチンを適切に接種していれば、そんな事態を避けられた可能性が極めて高いという事実も判明しています。
この裁判は2016年から開始され、既に10年間が経過しています。それぞれの地方裁判所の判決が出るのは2027-2030年ですが、タミフル薬害訴訟のように最高裁までいくならばまだまだ長期に渡ります。
原告やその関係者の方々も、一度はフラットな目線で上記の記録を参考にして頂いてもよいかとは思います。
超長文でしたが、ここまでお読みいただいてありがとうございます。
これは日本の数多くの女性たちの健康や命に直結する問題です。
一人でも多くの方やマスコミの方々が、この問題に関心を持つ契機になれば幸いです。
最後に、今回の法廷終了時に原告支援者たちがの呟きを紹介して、今回の傍聴記録を終了します。
マスコミや鹿児島大学病院やHPVワクチン薬害訴訟弁護団などによって訴訟に巻き込まれてしまった女性たちに対して、このような発言や考え方をする事が本当に適切なのかを、再考する必要があると思います。
“確かにSPECTではワクチン後遺症の判断ができないことは分かったよ。でも、エビデンスエビデンスって言うけどさ、ワクチンを打ったらこうなっちゃったという事実がすべてなんだよ。だから国や製薬会社はワクチン後遺症を認めて、治療方法を開発する姿勢を見せないと誠実じゃないよ。”
なおこの記事は、自分が自腹で交通費・宿泊費などを負担し、丸一日を傍聴に費やし、8時間ほどかけて書き起こしました。
ここまでお読みになって良記事だと感じた方は、投げ銭も頂ければ非常に嬉しいです。
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