「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。
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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。
「病人のための祈り」の中に、次の言葉があります。
「神よ、御ひとり子はすべての人の弱さと貧しさをご自分の肩に背負われ、神秘に満ちた苦しみの価値を、わたしたちに示してくださいました。」
できれば、苦しみは避けたい。これは、私たちの自然な思いです。
この祈りはしかし、一つひとつの苦しみの中には神秘がある、と語ります。言い換えれば、意味があるということでしょうか。なぜこの苦しみが自分に、と煩悶します。その意味は、直ぐには分かりません。しかしきっと何かがあるのです。
そのことが信じられる時、私たちには、希望のしるしが見えてきます。そのために必要なこと――それが、忍耐です。
パウロは、私たちに次のような励ましの言葉を語ります。
「希望をもって喜び、苦難を耐え忍び、たゆまず祈りなさい」(ローマ12・12)。忍耐を通して与えられる希望、それを可能にするのが、祈りなのでしょう。
教皇フランシスコは、大勅書『希望は欺かない』の中で、苦しみと愛の関係について次のように語ります。「希望はまさしく愛から生まれ、十字架上で刺し貫かれたイエスのみ心からわき出る愛がその根本です」。
現代の私たちは、もちろんすべての人ではありませんが、あらゆる点で忍耐力が劣ってきているのではないか、とも思います。
社会人になって退職する人は、3年目が多いと聞きます。厚生労働省の調査によれば、新卒社員の約30%が3年以内に会社を辞めているそうです。結婚しても2~3年で離婚するケースが最も多く、5年未満の離婚率は約3割だとも聞きます。
「石の上にも3年」――この言葉は、風化してしまったのでしょうか。
「希望は欺かない」――改めてこの言葉を深く味わいたい、とそう思います。