悪質まとめサイト「ツイッター速報〜BreakingNews」の運営者を暴いてみた 企業が関与の疑い浮上
まとめサイト乱立の背景──ネトウヨ系サイトの運営実態を調査
インターネット上には広告収入目当てとみられる「まとめサイト」が数多く存在する。ネットニュースや5chの内容を転載し、扇情的な見出しでクリックさせてPVを稼ぐという手口だ。
多くのサイトは運営元を記載していない場合が多い。また、ネトウヨの方が釣りやすいためか、こういうサイトは右寄りの内容が目立つ。
「保守速報」から「政治知新」まで──サイトの変遷
今は亡き安倍晋三が首相時代にFacebookでシェアしたこともある「保守速報」は現在、大阪市のヘイトスピーチ防止条例に基づき、運営者の栗田香の名前が公表された。それでもサイトはしぶとく存続している。
同様のネトウヨ系まとめサイト「アノニマスポスト」は2018年、ネット上の有志によって、兵庫県丹波市の中年男性が関与している可能性があると突き止められた。その後、アノニマスポスト関係者とみられる人物がフィリピンを拠点に運営しているという声明が出された。最近、あまり姿を見かけないと思ったら、現在は「拡散新聞」と名を変えて存続していた。
やはりネトウヨ系で「netgeek」というまとめサイトもあった。こちらは2018年に名誉毀損で訴訟を起こされ、その過程で運営者の大内彰訓の名前が登記情報から判明。名誉毀損の裁判でも敗訴し、現在は政治色の消えたサイトとして一応存続している。
さらにネトウヨ系まとめサイト「政治知新」は2019年、ネット上の有志の手でサイトの登録者が自民党神奈川県議の弟という疑惑が浮上。しかし、この県議はネットメディアBuzzFeedの取材にシラを切り通したようで、BuzzFeedの記事はなんとも中途半端な内容となっている。政治知新はいまだにしぶとくネトウヨ記事を配信し続けている。
新興サイトの問題点──デマ拡散の温床
そして現在でも『Share News Japan」「Total News World」「ツイッター速報〜BreakingNews」など、運営元不明のまとめサイトが次々と現れている。これらは主に5chの内容をコピペして記事にしているが、いい加減な内容のためデマや誹謗中傷の拡散に加担している例も多い。
「ツイッター速報〜BreakingNews」の運営者に迫る
そこで今回は「ツイッター速報〜BreakingNews」の運営元を調べてみた。ちなみに「ツイッター速報」というまとめサイトは2種類存在しており、中身も似たようなもんだが、今回はより悪質性の高い末尾に「〜BreakingNews」と入っている方をターゲットとする。
この「ツイッター速報〜BreakingNews」のウェブサイトには運営者の情報はない。またプライバシーポリシーとして「記事タイトル等には全体の流れ、内容をお伝えする為に、ネット上の情報をそのまま記載する場合があります。誤った情報などはユーザーからの指摘、記事内で訂正コメント等を取り上げ、記事全体で一連の内容をお伝えするようにしていますが、SNSでシェアして頂く場合は、誤解を与えないよう、各自コメントなど付け加えて補足をした上でお願い致します」という何とも無責任な記載がある。
まずは「WhoIs」を使ってサイトのドメイン情報を調べると、やはりサイト登録者の名前は表示されないようになっているが、登録日が2020年1月10日となっていた。
ここで「ツイッター速報〜BreakingNews」のXアカウントには2016年11月からTwitterを利用していると表示されているため、サイトを作る前は何をやっていたのかという疑問が出てくる。
そこで2019年12月以前の投稿を調べると、まるで個人アカウントのように他のユーザーとリプライのやり取りをしているのが判明。内容から沖縄在住者ではないかという仮説が立てられる。
そして2019年3月10日に「琉球新報Styleに掲載されました!」「キャンプの参加者募集中です。」「 ご希望の方は下記、弊社ホームページからお申込みください。」というポストを発見。
琉球新報の記事には英語教育事業を展開する沖縄県内の企業「ドット◯リューションズ」(一部伏せ字)が紹介されており、社長と副社長の写真も掲載されている。
少なくとも2019年3月には「ツイッター速報〜BreakingNews」のアカウントは、このドット◯リューションズが所有していた可能性は高そうだ。だが、ドット◯リューションズのアカウントが何者かに乗っ取られ、まとめサイトに変わってしまったという可能性も否定できない。
そこで現在の「ツイッター速報〜BreakingNews」のサイト内を調べると、下記のようなURLの階層を発見した。
http://tweetsoku.com/author/tkishaba/
URLの一部が、ドット◯リューションズ社長の珍しい苗字と名前の頭文字「tkishaba」と一致する。また、ドット◯リューションズFacebookに載っている連絡先メールアドレスの一部にも「tkishaba」の文字は使われている。
https://www.facebook.com/dote.solutions
少なくとも、何らかの形で沖縄県内のドット◯リューションズが運営に関与しているという疑いは強まった。この「ツイッター速報〜BreakingNews」は夜間でも稼働しているため、組織運営の可能性が高い。
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