意見提出
- 2025/05/07声明
現⾏の⽇本学術会議法を廃⽌し特殊法⼈として「⽇本学術会議」を新設する法案に反対する
多くの⺠主主義国家において、ナショナル・アカデミーは学問の⾃由を体現する組織です。⽇本でも⽇本国憲法第23条において学問の⾃由が定められ、1949 年に設⽴された⽇本学術会議はその理念を体現する組織とされてきました。しかしながら、2020 年に政府(内閣総理⼤⾂)による会員任命拒否事件が起きて以来、なし崩し的に組織改⾰を迫られ続けました。そして現在、現⾏の⽇本学術会議を廃⽌し、新たな特殊法⼈として作り替えるための法案(以下、「法⼈化法案」) が国会で審議されています。
⽇本学術会議は4⽉15⽇に開催された第194 回総会において、ナショナル・アカデミーとして組織がみたすべき五要件が保証されるべく、法⼈化法案の修正を要求する決議を⾏いました。その五要件とは、①学術的に国を代表する機関としての地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政⽀出による安定した財政基盤、④活動⾯での政府からの独⽴、⑤会員選考における⾃主性・独⽴性です。
また、この法⼈化法案に対しては、複数の学会、弁護⼠会、市⺠団体等から反対声明が相次いでいます。それにも関わらず、上記五要件を尊重した法案修正のための審議がなされる兆しがありません。このような状況で拙速に同法案を通そうとすれば、⽇本の⺠主主義にとっては⾮常に悪しき前例となるでしょう。
法⼈化法案には、⺠主主義国家のナショナル・アカデミーにふさわしくない内容が盛り込まれ ています。たとえば、内閣総理⼤⾂任命の監事⼆名による運営介⼊や、内閣府に設置された評価委員会による議事内容のチェックなどです。同様の仕組みは情報統制を前提とした国のアカデミーにしか⾒当たりません。
組織⾃治の要とも⾔える、会員選考の独⽴性も法案では保障されていません。ナショナル・アカデミーは会員が次期の会員を選ぶコオプテーションという仕組みをとるのが普通ですが、法案によると最初の六年のあいだ、内閣総理⼤⾂と会⻑の決めた特別な選考委員会が新組織の会員を選ぶことになります。そのあとも外部関係者から構成される選考助⾔委員を設けて常に助⾔を受けなければなりません。
更に、法案は⽇本学術会議が⽴脚する理念を踏みにじってもいます。現⾏の学術会議法前⽂にあった、同会議が「わが国の平和的復興、⼈類社会の福祉」に貢献するといった⾔葉が法案から は全て消えているのです。
学術会議は平和への誓いから⽣まれ、76年の歴史を背負った組織です。それをこのように拙速なやり⽅で、不⾃由かつ⽬的の不明確な組織へと作り替えてはなりません。私たちは⽇本学術会議法⼈化法案に反対し、その撤回を求めます。
2025年5⽉7⽇
東京⼤学教職員組合執⾏委員会有志- 2024/12/16声明
学費値上げ決定に対して改めて懸念と反対の意を表明する
東京大学は2025年度以降の大学学部入学者に対して学費の値上げを予定している。大学院入学者に対しては2029年度の修士課程入学学生から値上げを検討している。
東京大学教職員組合執行委員会としてはこのたびの学費値上げ決定に対して改めて懸念と反対の意を表明する。第一に懸念の背景について説明する。このたびの学費値上げ導入にまつわる意思決定は、国立大学法人化より前に大学執行部と大学の構成員とのあいだになされていた約束事の一部が実質上、無効扱いされる形で進展した。とりわけ、学生側と大学当局の間に「懇談」はあったが、基本的に事前「交渉」の機会が与えられなかったことは、教職員も含めた構成員による大学自治の今後を考える上で深い懸念を生じさせるものであった。
確かに学生と教職員との立場は同じではなく、現状では教職員の団体交渉権と法的に同等のものを学生が有するとは言いがたい。しかしながら、1969年1月10日に当時の加藤一郎総長代行と学生との間に締結された「七学部代表団との確認書」(以下「東大確認書」)を受けてなされた1969年2月9日の評議会決定報告文書によれば、「われわれは、各学部および各系の学生自治組織を公認する方針をとるとともに、これらの組織の交渉の要求には、誠意をもって応ずる」(東京大学総長代行 加藤一郎)とある(注)。すなわち、評議会構成員は学生自治組織と「交渉」する用意があることが明言されている。なぜ、この文言があるにもかかわらず学生自治組織はこの度の経緯において本部との「交渉」がかなわなかったのだろうか。
東京大学が今後も過去の評議会決定を無視できるとなると、教職員と大学のあいだにある様々な取り決めにも類が及びうる。それこそが組合としても非常に懸念するところであるし、東京大学に所属する全ての人々に関わる重大な懸念事項と言える。ゆえにこのことについてはいずれ本部からの正式な回答を求めたい。第二に反対の背景について説明する。日本国は2012年より、長期的な視野に立って高等教育における「無償教育の漸進的な導入」を推進する政策を採用している。これは、国際連合により1966年に採択された経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約/A規約)(International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights)の第13条(c)等の適用留保を同年に撤回したためである。このことを踏まえると、東京大学も長期的には「無償教育の漸進的な導入」施策のなかに組み込まれていると捉えるのが自然であり、それに抗う形での学費値上げには相応の理由付けが必要なはずである。それにもかかわらず東京大学はこの点に関して特段に触れることなく学費値上げを推進し、将来的には更なる値上げをすることも選択肢から排除していない。説明のないまま、社会権規約に逆行した方針を示されても賛同することはできない。なお、過去における東京大学の学費値上げは全て2012年より前のものであり、当時は社会権規約の適用自体が留保された状態であったため政策との矛盾をかかえていなかったことも申し添えておく。
大学執行部からは「長期的にみてよい学修環境を作り上げるため」に学費を値上げするとの説明がなされている。そこで念頭に置かれがちなのは高額の授業料で学生によりよい高等教育を「受益者負担」のサービスとして届けるアメリカの私立大学のようなモデルである(ちなみにアメリカは上述の社会権規約を批准していない国である)。
しかしながら東京大学は国立大学である。そして、戦後民主主義とともに1948年に各地に設置された国立大学は、各地になるべく平等に高等教育を届けるという使命を負っていたはずである。この理念は2003年の国立大学法人法にも引き継がれており、教職員一同も、そのような組織に所属する者としての矜恃とともに日々の業務をこなしている。急な路線変更は到底容認しうるものではない。
我々は、東京大学に日本で一番古い国立大学として、その設置のときの使命に立ち戻るよう呼びかけたい。具体的には、学生・教職員を含む構成員全員との対話・交渉に立ち戻り、不透明な意思決定過程にもとづく拙速な学費値上げを思いとどまるよう要求する。
2024年12月16日
東京大学教職員組合執行委員会注:評議会における確認書審議結果については次に引用あり。『東京大学理学部弘報』第1巻、第3号、昭和44年2月15日、4頁[2024年12月15日閲覧]。
- 2023/11/13共同声明
わたしたちは国立大学への「運営方針会議」の設置に反対し、国立大学法人法の改正案の廃案を求めます
岸田政権は、10月31日に「国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。この法案では、「一定規模」以上の国立大学に「運営方針会議」を設定すると定めた上で、この合議体に中期目標・中期計画の決定権、予算・決算の決定権、学長に改善を要求する権限を付与すると規定しています。しかも、この運営方針委員の選考にあたって文科大臣の「承認」を必要とすると定めています。このような制度改正は、日本学術会議会員の任命拒否問題に通じるものであり、文科大臣が運営方針会議を通じて大学を支配する仕組みと評せざるをえません。
学内における最高意思決定機関としての「運営方針会議」の構想は、これまで国際卓越研究大学を対象とした「ガバナンス改革」の一環として審議されてきたものです。それにもかかわらず、国際卓越研究大学の最終候補とされた東北大学のほか、東京大、名古屋大と岐阜大を運営する東海国立大学機構、京都大、大阪大にその設置が政令により義務づけられると報道されています。国際卓越研究大学の申請に先立って公表されるべき内容が、なぜ今になって公表されたのか、なぜ国際卓越研究大学限定とされたはずの「改革」が、「落選」したはずの大学にも求められることになったのか。「一定規模」以上の大学に求める根拠は何であり、どのようにその判断を行ったのか。いずれも理解することは困難です。
今回の法案では、国立大学法人による債券発行や土地貸付けを容易にする「規制緩和」も行っています。土地貸付けについてはこれまで大学の「公共性や公益性をそこなうおそれ」を考えて認可制としてきましたが、今後は届出制でよいということです。基盤的経費の不足を補うために土地貸付けを奨励するかのような規定が、大学においてもっとも重要な教育・研究環境を損なってしまう事態が懸念されます。また債券を発行して利払いが困難になった時に教職員の労働条件の改悪、学生の授業料値上げという形でしわ寄せがもたらされる事態も懸念されます。かりにそのような事態に陥ったとしても、学内の構成員が運営方針会議委員を解任できるような仕組みは用意されていません。
わたしたちは、あまりにも強引な岸田政権の大学管理政策を断じて容認することはできません。学内の教職員はもとより、日本の大学の行く末に関心をもつすべての方々にともに廃案を求める声をあげることを求めます。
2023年11月10日
東京大学教職員組合
岐阜大学職員組合
名古屋大学職員組合
京都大学職員組合
大阪大学教職員組合- 2023/08/02団体交渉
2023 年度夏季一時金団体交渉の確認書手交と意見書の提出について
7月5日 水 夏季一時金及び就業規則に関して、大学本部との団体交渉を実施しました。
【物価高騰対策】
今回の団体交渉では、冒頭、特に昨今の急激な消費者物価の高騰により、通常の賃上げではとても追いつかない状態となっており、救済措置として対前年度比で実質賃金の目減りの無いように維持することを要請しました。
【夏季一時金】
東職は以前より、差別支給の撤廃、勤勉手当ではなく期末手当の充実を要求してきました。しかし、本部からは今後も勤務実績に応じて対応したいとの回答でした。 「優良」という新たな区分が増え、約半分の教職員が「優良」以上となる実態を踏まえて、制度見直しの必要性を訴えました。また、勤勉手当の支給率の配分結果を示すことも要求しました。
【不合理な待遇格差の是正】
短時間勤務有期雇用職員の処遇について、未だに差が生じていることの改善に努めるよう、引き続き要求しました。特に住宅手当・扶養手当について、本部は一律不支給とする姿勢を崩しておらず、対象教職員の実態を調査するよう重ねて要求していきます。また、ここ数年変化のない短時間勤務職員の時間給についても、昨今の急激な物価の高騰に対応できるよう時間給UP を求めていきます。
【昇任・昇格】
技術職員は年齢構成で40 代後半~50 代前半の人数が多く、該当する技術職員の昇任・昇格が遅れている点について特に問いただしました。本部からは、年齢構成だけが理由で不利益が生じているのではないとの回答でした。組合からは、時限的に定員の枠をなくすことを提案し、技術職員が置かれている制度上の問題などを伝えました。
【有期雇用教職員の雇用】
いわゆる「10 年特例」のため、令和5 年3 月末を過ぎると無期転換権が生じる教職員に対する無期転換阻止を目的とする雇止めなどが、部局単位でいまだに行われている実態を訴え、本部として適切に対応することを求めました。また、教員が55 歳時点で任期制に移行させられるというような、新たな問題が生じていることも本部側に伝えました。
〇 団体交渉の全体を通して、具体的な合意に至ることはなかったのですが、短時間勤務職員の待遇改善や技術職員制度に関する懸念などについて、理事からは理解を示す発言もありました。
しかし、理事は数年で東大を離れてしまいますので、理事が交代しても問題をきちんと引き継いでもらい、私たち教職員にとってより良い職場環境・処遇改善に向けて、労使双方が知恵を出し合って解決できるよう交渉を継続していくことが重要だと考えます。- 2020/10/2声明
菅首相に対し、日本学術会議による推薦とおりの任命を求める
本日付の朝日新聞等によれば、10月1日に開催された日本学術会議総会で、
・会議が新会員として推薦した105名のうち、6名が菅首相によって任命されなかったこと、
・こうした事態は初めてであり、その件について政府から理由の説明は一切ないこと、
・会員からは政府への批判が相次いだこと、
などが報道されている。
日本学術会議は、全分野の科学者を国内外に代表する機関であり、その役割は政府に対する政策提言をはじめ、国際的な活動等があり、何よりも政府から独立して職務を行う「特別の機関」として1949年に設立されている。
今回、新会員6名が任命されなかったことは、その独立性が脅かされることを意味し、政府による介入と言われても仕方ない事態である。
また、国内全分野の科学者を国内外に代表する学術機関への人事を通じた事実上の介入は、日本国憲法が保障する「学問の自由」への明白な侵害でもある。
私たちは、学問研究の自由を守るべき最前線にいる大学の教職員組合として、菅首相により学術会議の新会員6名が任命されなかったことに対して、強く抗議し、推薦とおりに任命することを求める。
以上
2020年10月2日
東京大学教職員組合 執行委員会- 2019/10/31声明
「軍事研究に関する東京大学教職員組合(東職)声明」(2017年5月)を改めて掲げる
防衛省による「安全保障技術研究推進制度」2次募集が行われている(締切11月13日)。この制度は、防衛装備品などの開発につながる基礎研究を進めるための防衛省による研究助成制度で、昨年度に比べ応募件数が大幅に減少したことから、初の2次募集を実施している。
これまで「防衛省の研究助成には応募しない」としてきた国立天文台は、一転して防衛省の助成制度が使えるよう、方針転換を検討していると報じられた(東京新聞9月10日付)。ただし、その後の対応に関しては、いまだ伝えられていない。
防衛省の研究制度に対しては、2017年に日本学術会議が「軍事研究は行わない」とした過去2回の声明を継承すると発表しており、また今年3月には日本天文学会でも「安全や平和を脅かすことにつながる研究は行わない」とする声明を出している。
国立天文台は、東京大学の天文台として出発し、発展・拡充してきた歴史を持つ。それゆえ我々としても、その動向は注視せざるを得ない。
そこで、2017年に発表した下記の声明「大学での軍事研究に反対し、真に人類の平和と福祉に貢献する東大を」をあらためて高く掲げ、国立天文台及び東京大学に対し、将来にわたり軍事研究を行わないよう強く求める。同時に東職は、そのために力を尽くす所存である。
2019年10月31日
東京大学教職員組合 執行委員会