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クジラ類の大量漂着や深海魚が打ちあがると

大型の鯨類の集団漂着、特に大量漂着や、リュウグウノツカイなど深海魚の出現があると、これも地震への関連性が指摘される場合がある。しかし、いずれも近年、科学的に否定されている。

東海大学の織原義明准教授らの研究チームは2018年、国内で鯨類の2頭以上打ち上げ等48事例中、30日以内に200km以内でM6以上の地震は2回のみで、集団座礁と地震発生に相関なし、「前兆を捉えていないとまでは言い切れないが、集団座礁を防災に役立てるのは難しい」としている。

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同様に、深海魚の出現については、同研究チームが、1928年から2011年3月11日まで、リュウグウノツカイやサケガシラなど深海魚の出現場所(336事例)の半径100km圏内が震源となったマグニチュード6.0以上の地震(221事例)が30日以内に起きているかを分析した。その結果、該当する事例は1例(2007年7月16日の新潟県中越沖地震)のみであり、「深海魚の出現は大地震の前兆」は迷信であると結論付けた。

筆者も、2022年の1年間に、同様の深海魚の出現と地震発生の関連性を検証した。その結果、対象となる深海魚は23例報告、マグニチュード6.0以上の地震は13例(参考まで、震度5弱以上の地震11例も)あったが、深海魚の出現から30日以内に、半径100km以内で対象となる地震は発生しなかった。

そのほか、2023年1月には大阪湾でマッコウクジラが迷い込み死亡した事例は、「淀ちゃん」と命名され記憶に残っている方もあるだろうが、その後大阪湾付近で大きな地震発生はない。2023年の鯨類の単独漂着は少なくとも国内で6例あったが、漂着後30日以内に、半径100km以内でM6以上の地震は発生しなかったとみられる。

なお、地震前に動物や地下水の異常がある場合など前兆とされる現象は「宏観異常現象」と呼ばれている。全く否定されるものではないと思われるが、それだからこそ、慎重にデータを集め、異常な行動などの記録と、地震発生について検証していくことが必要だろう。科学を敵視せず、科学的な検証を行ってほしい。

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