都市伝説解体センターに感じたnot for meについて考える|ネタバレ感想(ネガティブ寄り)
3月に発売されて以降、SNSで名前を見ない日はほとんど無い都市伝説解体センターを遊んだ。発売前から大々的に広告が打たれていて、“インディーゲーム 2025年 おすすめ”と検索すればまずヒットするタイトルである。私もそういった検索で本作を見つけた口だ。発売前から本作の存在は知っており、インディーゲームやADVゲーム・推理ゲームが好きなのもあって発売を楽しみにしていた。発売記念のセールで購入し、時間を見つけて近々やろう!と計画を立てGWに一気にクリアした。
そしてインターネットで絶賛されている“衝撃のラスト”を見終わった後、一番に浮かんだ感想は「そんなわけなくない!?!?」だった。
この「そんなわけなくない!?!?」は、シナリオの辻褄があまりに合わなさ過ぎてこのラストになるわけなくない!?と、世間であんなに絶賛されてバズり散らかしてるゲームがこんなに合わないわけなくない!?の二つの意味を持っている。後者の感情は自分がおかしくなってしまったのかと困惑するあまりnoteに駆け込んで端から端まで感想を書いた記事を読み漁るほどだった(noteに自分と似た感覚の方がたくさんいて心から安心した。感想を残してくださってありがとうございます)。
私はゲーマーというほどではないが、まあまあゲームを遊んでいる側の人間だと思う。そしてどちらかといえば、ゲームに対する評価は甘い方だと思う。
ある程度の粗は面白ければそれでヨシ!!で目をつぶるし、ゲーム性に対して強いこだわりは無い。ゲーム性が良いに越したことはないし良ければ大幅な加点が入るけど、最悪まあまあ悪くてもそこまで減点にはならない。世間でいう賛否両論のゲームには七割くらいの確率で賛に寄り、三割くらいの確率で否に寄る。世間の大半が褒める、俗にいう「名作」「神ゲー」であればほぼ間違いなく面白かった!!!!と感じる単純な人間である。
だから世間が絶賛し、今日も今日とて公式アカウントの投稿が大バズしているようなゲームで賛否のうち否寄りの意見を抱くのは、今回が初めてといっていい経験だった。強いて言うならいろいろなゲームを勧めていただいたことがあるフォロワーさんが、「面白いのは面白かったけど世間的に絶賛されているほどじゃないと思った」とちらりとツイートされていたのを見て、もしかしたら多少引っかかる部分があるかもしれないなとは思っていた。当該フォロワーさんの何気ないツイートが無ければ私はクリア後に世間との剥離でもっとショックを受けていたかもしれない。
何はともあれ貴重な経験をしたと感じているので、以下の項目でネタバレを含みながら私が都市伝説解体センターにどうして賛否のうち否の意見を持ったのかを整理しようと思う。最初から最後まで“私がどう思ったか”の話をしているため、共感できなければ静かにブラウザバックしてほしい。ゲームを未プレイの方、本作に賛寄りの意見を持っている方はその点十二分に留意していただきたい。
1.都市伝説解体センターは面白くなかったのか?
ネガティブ寄りの記事を書いているからには筆者はこのゲームが蛇蝎のごとく憎いのかと思われそうだが、決してそうではない。「都市伝説解体センターは面白くなかったのか?」と聞かれれば、私は「面白いところは沢山あった」と答える。
■演出とグラフィック
まず挙げられるのは演出とグラフィックだ。よく動き、沢山のスチルや差分が用意されていて、NPCほぼ全員に固有のグラフィックがある。シンプルにとんでもねえな!!と思った。
どの絵も大好きだが、個人的にはやっぱりあざみとジャスミンが車で移動している絵にひときわ思い入れがある。最終話では一緒に車に乗る人が富入さんに変わるのも、ジャスミンの不在・先輩が不在の中で決起するあざみ・富入さんのジャスミンと同じく志している正義の心が感じられて良い。
「特定」「解体」の演出が好きなのは言うまでもない。お決まりの流れだと分かっていながら、お決まりだからこそ、センター長のポーズにテンションが上がる。思春期にこの演出に出会っていたら絶対影響されていた自信がある。
話の終わりに主題歌が流れる演出もすごく好きだった。まるでアニメやドラマのような締めくくりは、アニメやドラマの次週の話を急かす心のままに次の話に手を伸ばす高揚感を掻き立てた。奇奇解体の使い方が(発売から少し経ってMVを投稿するSNS運用の手腕も含めて)とても上手だなと思う。
■キャラクター
本作のキャラクターは非常に魅力的だ。公式HPでキャラクターデザインを見ただけで、「面白そうだな」「遊んでみようかな」と幅広い層に思わせる力がある。センター長の廻屋渉のビジュアルなんかはオタク=ミンナ=スキナヤツヤンの塊である。
メインの3人だけでなく、サブキャラクターのキャラクターデザインも好きだ。美男美女揃いというわけではないが世界観に上手く溶け込み、物語の雰囲気を引き立てている。個人的には4話に登場する畠山さんと6話に登場する司書さんが好きだった。因習村のヤバい村人かと思ったら普通に良い人だったり、不愛想な職員かと思ったら大いにさりげなく正義の味方をしてくれる人だったり、見た目と第一印象と中身のギャップが良い味を出していると思う。
■SNSの悪意
解像度が高過ぎて人によっては嫌悪が上回りそうなSNS描写だったが、個人的には耐えられる範疇だったのと、作中で語られる大きな題材の一つに必要不可欠なものだと感じたので良かった点の一つとして挙げたい。物凄く身近だけど再現が難しい存在の一つを、よくぞここまで再現できたな……とプレイし始めた時には感動したし、今もなおあれやっぱり凄かったよな……と感動している。「女さん」という単語が出てきた時などはこのインターネットの汚さ全開の単語絶対出てくると思った~~~!と期待に応えてもらった気持ちにすらなった。ただこの単語自体は当然ながら一刻も早く使用者がこの世からいなくなってほしいと思っている。
■「都市伝説の解体」とは何か
物語を読み終わって特に面白かったなと思った点である。作中における「都市伝説の解体」は二つある。一つは毎話センター長が行う事件の推理だ。
都市伝説解体センターでは、毎話都市伝説の仕業と思わしき事件が発生する。その事件において、人為的に起こされた部分についてセンター長が真実を明らかにする。推理が終わった後、本物の怪異が起こしたような奇妙な出来事が起こる……というのが大体の流れだ。
結局都市伝説は実在するの?しないの?どっちなの?と感じる流れだが、私は最後まで物語を読み、「廻屋渉がしたかったのは、兄を殺した“人間の悪意”が引き起こした事件と、兄が愛した“本物のオカルト”が引き起こした現象を仕分けることだったのかもしれない」と感じた。作中で起こった出来事を例に挙げれば、
人間の悪意が引き起こした事件
→美桜を襲うベッド下の男、きのこの配信に映り込んだブラッディ・メアリー、ジャスミンやリナが体調を崩した呪い等
本物のオカルトが引き起こした現象
→四谷みわ子の父親が呼び出したブラッディ・メアリー、眉崎を襲った呪い、蛭塚村の蔵であざみが出くわした蛇の幻覚
といった仕分けになる。趣味嗜好の話になるが、都市伝説を題材にした作品で都市伝説が実在していると(勝手に)うれしくなるので、人間の悪意が引き起こす事件とは別に都市伝説も実在するよ、ととれる描写は意図的なものであってほしいな……と願っている。そういう考えなので6話で眉崎がピンピンしていた時は呪われてろよそこは!!!!!!とキレた。
もう一つ、作中に出てくる「都市伝説の解体」がグレートリセットだ。
作中では「都市伝説は人の噂から生まれるため、人の噂が集まるSNSを調査すれば都市伝説の手がかりが得られる」としてSNS調査が行われる。こうして“都市伝説”と“SNS”というありそうで無かった組み合わせの繋がりを実現したところは本作の良いなと思う点の一つである。
そして都市伝説を形作る噂が潜んでいるSNSには、発信者が匿名だからこそ振りまかれる悪意が存在している。その悪意の醜さをプレイヤーはSNS調査によって身をもって実感するし、SNSの悪意によって殺された如月努の本来の人間性を捜査によって知る。
如月歩が計画したグレートリセットとは、個人情報をすべて晒し上げて匿名のSNSに顔と名前をつけていくことだった。SNSが匿名でなくなれば、兄を殺したような顔の見えない悪意は生まれない。発信源がどこか分からない噂が無くなれば、都市伝説も生まれない。兄を殺した大衆の悪意に復讐し、兄が愛したオカルトの一つである都市伝説を無くすことが、グレートリセットという名の“都市伝説の解体”だったのだと思う。一連の妹による兄を殺した存在への復讐劇は、廻屋渉と福来あざみという別人格を持っていた如月歩の心情に思いを馳せたくなるところまで含めて好きな描写だ。
ここからはネガティブな意見が非常に多くなるので、繰り返しになりますが、都市伝説解体センターを心から楽しんだ人は読まない方がいいです。
2.都市伝説解体センターは〇〇ではない
先述したとおり、私は「都市伝説解体センターは面白くなかったのか?」と聞かれれば、「面白いところは沢山あった」と答える。それはつまり、「面白くないところもあった」ということだ。
しかし私が感じた「面白くないところ」は実のところそんなに多くない。大オチが待ち構えている最終話以外の1~5話も何だかんだ楽しかったし、誰でもクリアできる造りのクリック作業もさして面倒とは思わなかった。プレイ当時、自分なりに真相の予想を立てながらノリノリで最終話を迎えた。
楽しさにストップがかかったのは、「廻屋渉と福来あざみは同一人物である」という衝撃のラストが明かされた瞬間だ。初めはその衝撃の大きさに脳が痺れ上がったが、すぐに「いや、それはあり得なくない?」と冷静になってしまった。
何百回と指摘されている点だと思うが、弱冠25歳にして警視正のジャスミンが「都市伝説解体センターを調査した結果容疑から外した」と明言しているのに、センターの内部に入ったことがないなんておかしい。都市伝説を解体する時、「私の声が皆さんに聞こえるよう電話を繋いでください」とセンター長があざみに言っていたのに、センター長が電話の向こうにいないと誰も気づかないわけがない。要するにシナリオの整合性がとれていない点が引っかかった。
追記:センター長ってスピーカーフォンで話してたんじゃないの!?と思っていたところの描写は、「皆さんに私の推理が伝わるようにしてください」と言っているため「伝わるように(スマホのスピーカーをONに)してください」ではなく「伝わるように(口頭で説明)してください」ととるのが正しいらしい。これは読解力が無かった私が悪い。
ラストの衝撃に乗り切れないままエンディングを迎えたあと、まず思ったのは「誰もが驚く衝撃のラストのためにある程度の粗は犠牲にしたんだな」ということだった。私はこの話を「面白かったけど整合性がとれてないのが気になった」と捉えたけど、絶賛している多くの人たちは「整合性がとれてないところもあるけど面白かった」と捉えたのだろうと考えた。まあ人それぞれだよね、残念ながら私には合わなかったな、と思って終わっていった。
だけど、何となく感じた“合わなかった”理由を整理しながら考えていくうちに、整合性がとれてないミステリーADVゲームって、何……?と思ってしまった。カレーが無いカレーライスと同義だと思わなくもない。それはもはやただの白飯である。
世間一般が揶揄するように、どんなミステリーのトリックでも完璧に実現可能なものはきっとほとんどない。ネットミームとして名高い「やることが多い……!」状態に陥っている有森は何とかやることをやりきったが、恐らく普通の人間には無理だ。
だけど、実現不可能なトリックが実現できたと思わせるためにできる限りの理屈をつけ、できる限りの整合性がとれるようシナリオを組み、それでも残った「それはあり得ないだろ」という読者の理性を物語のパワーで押し切るのがミステリーだと私は思っている。都市伝説解体センターの結末は、あの衝撃のラストをもってしてもなお、私の中では「それはあり得ないだろ」を押し流すための理屈や整合性が足りていなかったのだろう。ミステリーADVゲームを謳う本作は、私の基準では“ミステリー”たり得なかった。だから本作の面白さの大半を占めるラストのオチに乗り切れず、点数をつけるなら60点かな……という評価にとどまった。反対に、理屈が合ってない部分や整合性がとれていない部分を衝撃のラストのパワーで押し切られた人もきっと沢山いる。ここは本当に他人によりけりだと思うし、それだけのパワーがあの結末にはあったと言われれば、私もそれはそうと納得する。
更に都市伝説解体センターは、「ゲームを普段遊ばない人のために難易度を易しくした」と公式から話されている。だから都市伝説解体センターには選択肢による分岐も無いし、ゲームオーバーも無い。
都市伝説解体センター
— 墓場文庫 🪦 都市伝説解体センター 🪬 和階堂真の事件簿 🚬 (@hakababunko) April 25, 2025
🔥GW初セール開催!【10%OFF】
Switch / Steam (※PS5はありません🙇)
🎁セール記念キャンペーン!
本ポストのRP数に応じて、墓場文庫が画像を公開します!ずるい!
📢特に普段ゲームをしない方、
配信を見るだけな方に遊んで欲しい…!
👇URL・特典は続きで pic.twitter.com/pQVVLGZQTL
初めは「ゲームを普段遊ばない人のためだから」と思い特に何も感じていなかった難易度の易しさが、このミステリーADVゲームを謳うゲームは“ミステリー”ではなかったという考えにたどり着いた途端に引っかかった。
ADVゲームの定義は色々あるだろうが、「状況に応じてプレイヤーの行動を選択し、それによって更に変化した状況に応じて行動を選択する……といった流れを繰り返して物語を進めるゲーム」だと私は認識している。本作は誰でもクリアできるようにゲームオーバーが無い。選択肢による分岐も無い。プレイヤーの選択は物語に何らの影響も与えない。それは私にとって、もはや“ADVゲーム”ではない。
都市伝説解体センターは、普段ゲームを遊ばない人にも本作を遊んでもらうため難易度を易しくしている。実際にその考えは成功して、普段こういった類のゲームを遊ばない層も本作をプレイしているのが分かる。ゲームに慣れている人にとってはクリックするだけの単調な作業でも、ゲームを普段遊ばない人にはこの作業が限界だし、ダメージを負ったり間違えたりゲームオーバーになることが耐え難いストレスになる人もきっといるのだ。実際、私が(インターネット上はともかく)現実で交友関係のある人たちは「ゲームを遊ぶ人」より「ゲームを遊ばない人」の方が圧倒的に多いから、その感覚は理解できる。普段ゲームを遊ばない人たちを含めた沢山の人に、どんでん返しの衝撃的なラストを見てほしかったというのが目的だったのだとしたら、その目的は達成されている。
「細かい粗や気になる点はあるけど、ラストがとにかく衝撃的でキャラクターと物語が良かったから都市伝説解体センターが好き」という意見を沢山見た。こういった意見を私は否定しない。先述したように、私も都市伝説解体センターで面白いと感じる点は沢山あった。
ならばどうして賛否のうち否寄りの意見になったかといえば、
衝撃的なラストやキャラクターや物語の雰囲気に惹かれ、多くの人が流したのであろう「細かい粗」や「気になる点」は、私にとっては本作を“ミステリーADVゲーム”たらしめるために欠いてはならない要素だったから
だったのだと思う。私にとってこの作品はミステリーではなくゲームではないから、ミステリーとして・ゲームとしての評価点が一切入らない。だからキャラクターや物語のミステリー以外の部分や演出やグラフィックで加点が入り60点。これだけの要素で60点も稼げるのは相当すごいとも思う。
これはあくまで私の中の基準での話だ。人によって”ミステリー”に求める基準や”ゲーム”に求める基準は違う。少なくとも、都市伝説解体センターが主なターゲット層とした「普段こういったタイプのゲームを遊ばない人」にとって、本作は間違い無くミステリーADVゲームだったのだろう。
勿論「普段ミステリーやADVゲームを楽しんでいる人は皆都市伝説解体センターを良いと思わないはずだ」とは思わない。登場するキャラクターの属性が好みに刺さり、その分衝撃のラストが刺さった人もいるだろう。物語の題材が良かったから最終的に高評価、という人もいると思う。ミステリーが物凄く大好きで、都市伝説解体センターは間違い無くミステリー作品だと思う人もきっといる。再三になるが、どんな作品をミステリーだと思うかの基準や、ADVゲームの定義は、人によって異なっている。更に言えば、自分が遊んでいるものがミステリーADVゲームでなくても面白ければそれでいいという人だっていても全くおかしくない。
都市伝説解体センターが発売されて以来、本作をこれまで発売された名作推理ゲームやADVゲームと並べて語るツイートを沢山見た。そしてそれに怒るnoteの記事が沢山あった。これも仕方の無いことだと思う。一方にとっては都市伝説解体センターは他の作品と同様に”ミステリー”と”ADVゲーム"の基準を満たした作品であり、一方にとっては他の作品と違って”ミステリー”と”ADVゲーム"の基準を満たした作品ではないのだから。
「これはミステリーじゃない」「これはゲームじゃない」といった意見を見ると、多くの人はまた面倒臭いオタクや老害が逆張りで何か言ってるなと思うだろう。私もあまり好んで使う言い回しではないし、大好きな作品をそう評価されて悲しくなったこともある。
だけど、そういった経験があってなお、私は上記の理由から都市伝説解体センターを「この『ミステリーADVゲーム』を謳う作品は、私にとって『ミステリーADVゲーム』ではなかった。だから点数をつけるなら60点で、賛否どちらかといえば否の側に立つ」と結論づける。
3.世間との剥離
どうしてここまで世間の評価と自分の評価がズレているのだろうと不思議に思い、私は都市伝説解体センターを遊ぶプレイヤー層を考えた。プレイヤー層は主に「普段ゲームを遊ばない人」と「普段からゲームを遊ぶ人」に分かれている。本作は前者の割合が他の作品より非常に高い。
こういったプレイヤー層が全員ゲームを遊んだとして、最終的に「これはミステリーでないのでは」「これはADVゲームではないのでは」といった粗を気にしないor衝撃のラストで概ねチャラにできる人とそうでない人なら、前者が圧倒的に多くなるのは道理だな、と思った。普段ゲームを遊ばない人はほとんどが前者に入るだろうし、普段からゲームを遊ぶ人もものの考えや好みによって前者に入る。粗が気になった人は自然と少数派になる。自分と趣味が近しいコミュニティに属していると気づきにくいが、世の中はミステリーを日常的に好む人とそうでない人なら後者の方が多いし、ゲームを日常的に好む人とそうでない人なら後者の方が多い。これが他のミステリーADVゲームと同じく、「普段からゲームを遊ぶ人」だけがプレイヤー層だったとしたら、全体的な評価は現状よりも賛否両論寄りになったのではないかと思う。
本当に的確なターゲット層にマーケティングをした作品だったな、と感じる。その点は手放しに褒めたいくらい凄い。実際に本作には多くのファンがついていて、傍目に見て大成功を治めている。
ただ、ごく個人的な感情を書くのならば、ミステリーやゲームを好んでいる人ほど”刺さる”確率が低くなっていく作品が、傑作ミステリーADVゲームとして褒め称えられている状況は寂しいと思う。また、それに伴い明らかになった、ゲームを普段遊ばない人に好評なミステリーADVゲームを作るための現状の最適解が、人によってはゲームともアドベンチャーともミステリーともつかない作品を生み出すことだったというのは、なんだかすごく寂しいなと思う。
おまけ
クリアしてから一晩明けた今でも「クリアした人なら誰でもヒント無しでわかるパスワード」は「如月歩」じゃなくて…………作中でも大詰めへのパスワードで使われていた・如月歩が大衆に忘れられるのを許せなかった「上野天誅事件」だろ…………!!!!!!というどこの誰にもぶつけられないうえ共感されにくいだろう怒りがあります。
コメント
2賛側の人間ではありますが少し気になった部分がありコメントさせて頂きました。(否側の意見を否定したい訳では無いです。)
初めは解体時のセンター長の電話が整合性の粗として認識されていた事に関して
そこは粗では無くて......!と思いコメントさせて頂こうと思っていましたが、追記で書かれているのを拝見しましたので
誤解というか認識の違いというかその辺が解消されていて少し安堵しました。
(個人的に栄子さんがパパ活斡旋していると明かされる時のセリフ表記があざみになっている事がセンター長の言葉を伝えていると分かりやすい部分かなと思います。)
そしておまけの合言葉に関して
自分もそうですが如月歩という人物の出現に全て持っていかれたという部分もあると思いますが、
本編内(オープニングから最終話解体部分まで)で一切出てこない、文字通り『最後まで遊んでクリアした人にしか分からない名前』なのでたくさんの人が使われているのだと思っています。
上野天誅事件も大事な言葉ではありますが、『初出が3話』という『クリアした人"にしか"分からない』という部分に当てはまらないと思いました。
長文失礼しました......。
クリア済みでシナリオの勢いを評価しつつもなんとなく胸に残るものがあった人です
マジでそんなわけなくない?となる気持ちがすごいわかります。もちろん勢いも良くて話としてこういう作りにしたかったんだなという気持ちにもなりましたが、その感想は整合性をある程度諦めた上の感想なので、この記事に書いてあることに終始頷いてました。ちなみに解体センター自体は普通に好きです、でも引っかかる……。
一番気になるのはジャスミンと管理人が出会ったシーンです。あれは一体なんだったんだ……?