静岡 強制わいせつなどの罪 掛川市病院医師に懲役7年6か月
掛川市の病院で診療を装い、当時10代の少女4人にわいせつな行為をしたなどとして強制わいせつなどの罪に問われた小児科の医師の裁判で、静岡地方裁判所浜松支部は懲役7年6か月の判決を言い渡しました。
掛川市の「中東遠総合医療センター」で小児科の診療部長を務める塩澤亮輔被告(44)は、2017年から5年半の間に、小児科を受診した当時10代の少女4人に対し胸を触るなどの行為をした上、その状況を携帯電話で撮影したなどとして、強制わいせつと準強制わいせつ、児童ポルノ禁止法違反の罪に問われました。
これまでの裁判で、被告は起訴された内容を認めた上で「側湾症の経過を確認するためだった」と主張していました。
一方、検察は「被害者の未熟さや信頼につけ込んだ常習的で極めて卑劣な犯行だ」として懲役14年を求刑していました。
9日の判決で静岡地方裁判所浜松支部の來司直美裁判長は「医療行為としての正当性や必要性は認められない」とした上で、「被害者や親が信頼を置く医師の立場を利用して、わいせつ行為を常習的に繰り返した極めて卑劣で悪質な犯行で、被害者の精神的苦痛は大きい。さらに、真摯な反省の態度は見られない」と指摘しました。
一方で、「被害弁償を支払い、今後は医師として活動する見込みはなく、同じ犯行に及ぶ機会はないといえる」として、懲役7年6か月の判決を言い渡しました。
今回の事件の被害者の1人の母親が2度と同じような被害者を生んでほしくないとNHKの取材に応じました。
被害者の1人の母親は塩澤被告のもとに娘を「側湾症」の診療として、月1回、3年から4年ほど、通わせていたといいます。
診療は、母親もいる部屋でカーテンを隔てて行われていたため、直接その様子を確認することはできませんでした。
しかし、ある日、突然、警察官が自宅を訪ねてきて娘が被害者であることを告げられます。
被告を信頼していた母親は驚いたと言います。
(母親)
「相談したいことがあっても全部相談ごとを聞いてくれて、本当に優しい先生でした。今も信じられない。まさかそんなことをしてたとは」
母親の頭をよぎったのは、警察官が来る少し前の診療でカーテンのすき間から服を脱いでいる状態の娘をたまたま見たときの光景でした。
(母親)
「警察に話ししちゃうとどういう風になるのかというか、大事になっちゃうと思い警察には言えなくて。その時はもうつらかったですね。守ってあげられなかったというか」
娘は、自分がされていたことが「診療」ではなく性被害だったと知ったあと、体調が悪くなり、ごはんが食べられなくなったり、学校に行けなかったりする日が続きました。
今回の事件は、看護師が不在の診察室で起きていて、母親は、病院側の態勢も検討してほしいと訴えています。
(母親)
「(これ以上)被害者をだしてほしくないので、これからは、必ず看護師さんをつけていただきたいという思いがすごくあります。被害をこれから出さないよう反省してほしいです」
裁判の傍聴に訪れていた被害者の母親は判決のあと、改めて取材に応じ、「量刑が思っていたよりも軽く、正直ショックです。被告は自分がしてしまったことの重さに自覚を持ってほしい」と話していました。
被害者側の弁護を担当する酒井・根木法律事務所の西尾知世弁護士は、今回の事件について、「医師と患者という対等とは言えない関係でわいせつ行為を行っていて、卑劣な行為で医療に対する冒とくだと考えています」と指摘しています。
中東遠総合医療センターは、今回の事件を受けて、診察室は職員通路側のカーテンやドアを開けて他者の目が届くようにし、閉じる必要がある場合は看護師など第三者を同席させるなどの対策をとっていると説明しています。
判決を受け、中東遠総合医療センターの宮地正彦企業長兼院長はコメントを発表し、「医療に携わる者として決してあってはならない事態であり、大変遺憾に思っています。被害を受けられた方々、ご家族の皆さまには心より深くおわび申し上げます。二度とこのような事態を起こさないよう病院を挙げて取り組んでいますが、あらためて第三者委員会を立ち上げて、対応を検証していく予定です。有罪判決を受けた医師については、判決内容を精査のうえ、本人への事実確認を実施し、厳正に処分します」としています。