高齢者支援で契約に“倫理上の問題” 函館の社会福祉士を処分

本人の意思が十分確認できない複数の高齢者と財産の管理を代行する契約を結んだのは倫理上の問題があるとして、北海道社会福祉士会が函館市の社会福祉士を内部の規定に基づいて懲戒処分していたことが関係者への取材でわかりました。
身寄りのない高齢者などを支援するこうしたサービスをめぐっては、全国的にトラブルが相次いでいて、道社会福祉士会は「権利の侵害につながりかねない行為だ」としています。

関係者によりますと、3年前、道社会福祉士会に所属する函館市の社会福祉士は、末期がんの70代の男性と財産の管理などを代行する「任意代理契約」を結び、死後に男性の預金から病院に入院費を支払うなどしていたということです。

会のガイドラインでは、トラブルになるのを避けるため契約者本人に判断能力があることを確認してから契約することとされていますが、内部の調査で男性は契約した当日に死亡していて、その時点で判断能力が確認できたことを示すデータはなかったということです。

ほかにも確認が不十分なまま契約を結んだケースがあり、倫理上の問題があるとして道社会福祉士会はこの社会福祉士を内部の規定に基づいて戒告の懲戒処分にしたということです。

こうした高齢者支援をめぐっては全国的にトラブルが相次いでいて、去年6月には国が指針をまとめ、事業者に対し、利用者の意思を丁寧に確認したうえで契約することや、本人の判断能力が低下した場合は、成年後見制度を活用することなどを求めています。

道社会福祉士会は「詳細は答えられない」としたうえで、「任意代理契約は第三者のチェック機能がなく判断能力がない中でも契約を結ぶことができてしまうことから、利用者の権利侵害につながりかねない行為である。規則に基づき適切な対応を行っている」としています。

【専門家「サービスの質を標準化を」】
社会福祉学が専門の同志社大学の永田祐教授は「身寄りのない高齢者の支援は、公的な施策がなく法的な枠組みもない状態だ。今、民間の事業者は玉石混交で勝手にそれぞれの考えでやっている」と指摘したうえで、「民間の事業者をきちんと監督するためにも、監督官庁を作ったり法令を整備したりしてサービスの質を標準化していくことが求められる」と話しています。

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