加藤陽子氏はなぜ、連合軍将兵ではなく、範囲を狭めて、ドイツ軍と日本軍の捕虜になった米軍将兵を比較したのだろうか。あの残虐なドイツ以上に日本は残虐だった、と言いたければ、その差がいちばん際立つものを選べばよいということだろうか。
ドイツ軍の捕虜になったロシア兵はどれぐらい死んでいるかというと、330万~350万人、死亡率は60%であり、この数字をもちだせば、「ドイツ軍の捕虜の扱いのひどさは突出していた」となる。
インドにあった民間人収容所では日本人が1割死亡しているが、これをドイツ軍の米将兵捕虜の死亡率と比較すると、「英国の民間人捕虜の扱いのひどさは突出していた」とも言えるだろう。