幼稚園の話の続き
ところで、わりとませてたのかなあ。女の子のことをいつも意識してました。記憶にあるのは、髪の毛が茶髪というよりも赤毛の子がいてその子のことがすごく気になってました。幼稚園のなにかの集会で体育館みたいなところにみんなが集まった時に、列の後ろの方でその子と話して?(会話になっていたかは謎)たりしてた記憶がある。あとは、何となく仲良くなったりする子が何人かいました。
そんなふうだったけど、どこかに優しい気持ちはあったのかも知れない。いや、どちらかといえば下心があったような気がする。だって、子供のころから少しえっちなところがあって、女の子には関心があったもん。
そんな風だから女の子が関われば、断ればいいものを断れず、悲劇を生むことになるのです。
ある日、幼稚園の帰りに先生からバスターミナルで年少の女の子をちゃんと目的のバス停で降りるまで、面倒を見てほしいと頼まれたことがありました。僕と同じ方面のバスに乗って帰るから、下りるバス停を間違えないようにみてあげてねとのことです。
ところが、僕はその子と一緒に急行バスに乗せられてしまったのです。彼女が降りるバス停は急行は止まるけど、僕の降りなきゃならないバス停は普通バスしか止まらない。そんな事情を先生が知ることもなく。僕が「急行はダメ!」っていう間もなく、バスは出発してしまいました。
乗ったらもう、運命の歯車はもう止まらない。
僕には、その子をちゃんと決められたバス停で降りるまで見届けなければならない。だから、バスが走っている最中はその子の傍でずっと見守ってました。その子のことを小さくてかわいいなあなんて思いながらも、何もしゃべらずにいました。やがて、目的のバス停に着いてその子をちゃんと見送りました。
それからが大変。バスはどんどん僕が降りるべきバス停に近づいていくけど、どうしたらいいのか考えが浮かばない。僕はおバカちゃんだから、どうすればいい?なんて全く思いつきません。
とうとう、自分が降りなくちゃならないバス停を通り過ぎてしまいました。
ここは、もう小さい子供がとれる最後の手段、バス停で降りられなかったことを理由に大泣きし始めました。そうしたら、しめたもの、車掌さん(この時代ではまだワンマンカ―なんてなかった)が僕の定期を見くれて、降りられなかったことに気づいてくれて通り過ぎた次のバス停で止まってくれました。
それで、車掌さんは僕が無事帰れるように、反対方向へ行く道路の反対のバス停で、一緒に次のバスを待ってくれたのです。ようやく、バスが来ました。その車掌さんが、ちょうど来たバスの車掌さんに説明してくれて、僕が降りるべきバス停で降ろしてもらえることになりました。
良かった。
でも、その間それまで乗っていたバスをどれくらい止めてしまったのか、さっぱりわかりません。間違いなく、他のお客さんにはいい迷惑だったと思う。ごめんなさい。
世の中はまだ寛容性があったのだと思います。