小学校5年から始めた新聞配達も5年以上もやっていると色んな事が起こる。
冬は特にきつかった。
たすき掛けの新聞を抱えて歩いて回るのです。氷点下20度くらいのときもあれば、猛吹雪の時もある。猛吹雪は暴風雨よりは、ましだったかな。雨だとホントにびしょ濡れになっちゃうし新聞も濡れちゃうから、濡れた新聞では読者に申し訳ない。
豪雪地帯だから、一晩のうちに積雪で歩ける道路が無くなることがよくあった。幹線道路は除雪されるからいいけど脇道は、もう雪の山。まだ、子供だからちょっとでも降れば腰まで雪に漬かっちゃう。100m進むのに数分かかることも珍しくない。体力も使う。
配達に出かける前は、重装備で出発する。長靴はいいとして、普通に長靴を履いていたら雪が靴の中に入るから、脚絆をして雪が長靴の中に入らないようにして雪の中を道なき道を歩く。気を付けないと側溝にはまることもある。ちょっと危険。
大雪の時は、普段の倍以上の2時間以上配達に時間がかかった。
そうなると、配達終わって帰ってきたらすぐに学校へ行かなくちゃならない。まだ、朝ごはん食べてないのに。しんどい。
結局は、学校に遅刻しちゃうんだから、朝食を食べてから行けばいいんだけどね。それが、学校は意外と大雪でも休みにならなかった。新聞配達が終わるころになると除雪がある程度進むのとある程度時間がたつと起きて周囲の家の人が雪かきを始めているから、学校へ行く頃には大抵歩けるようになってた。
雪の中を腰までつかって歩くのがどんなに大変かというと、北海道の雪はいわゆるパウダースノーだから、足を前に進めようにもどんどん雪の中に沈んでいく。雪の中にどんどん埋もれていくようなもの、だから歩いても歩いても前へ中々進まないんです。
もちろん配達区域は幹線道路から外れているから除雪車なんて入らない。
さらに田舎だから、家から次の家まで長い距離がある。その雪の中を漕ぎながら(泳いでいる感もある)配達に回る。1軒おわると次の家まではいつくばっていく。それの繰り返し。根性がないとできません。だって、前進するのは誰も歩いていないまっさらな雪の中、振り返れば自分が雪の中を這っていったようなあとが残っているだけ。足跡なんて残りません。
そうやって、強い体が出来上がっていくのです。今も、足腰は丈夫ですよ。
残念なのは、寒さに弱いこと。内地の寒さは身に染みるのです。雪の中は何故か不思議と温かみがあるのです。猛吹雪で雪が顔に吹きが吹き付けられても平気。でも、冷たい空気に触れるのは苦手みたい。
八甲田山じゃないけど一人で雪中行軍してました。