ローマ教皇にプレボスト枢機卿 初の米国出身 教皇名はレオ14世

バチカン=宋光祐
【動画】米国出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿がローマ教皇に選出された=ロイター
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 ローマ教皇庁(バチカン)は8日、フランシスコ教皇の死去に伴う秘密選挙「コンクラーベ」で、米国出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)を第267代教皇に選出した。教皇名はレオ14世を名乗る。米国出身者がローマ教皇に選ばれるのは初めて。

 プレボスト枢機卿は1955年、米国シカゴに生まれた。27歳を迎える頃に司祭となり、南米ペルーに派遣された。その後、米国に戻ることはあったが、司祭として約20年間をペルーで過ごすなど、米国の外に活動の中心を置いてきた。

 貧しい人や移民に寄り添う姿勢は、フランシスコ前教皇に通じるものがある。バチカンニュースの昨年10月のインタビューでは、「司教は自分の王国に座す小さな王子であってはならない」と発言。「自分が仕える人々に寄り添い、共に歩み、共に苦しむことが求められている」と述べた。

 2023年にはフランシスコ前教皇から司教省の長官に任命され、世界各国に散らばるローマ・カトリック教会の司教の選任や管理を担当する組織の責任者を務めてきた。バチカンニュースによると、昨年11月にローマで開かれた南米諸国とバチカンによる会議では、気候危機について「言葉から行動に移す時だ」と主張。フランシスコ前教皇と共通する問題意識をにじませた。

 前教皇の進めた多様性を重視する改革をめぐっては、同性カップルの「祝福」を受け入れないアフリカの司教らの意見に理解を示す一方、教義にかかわる重要な問題を議論する世界代表司教会議(シノドス)の取り組みを支持。今回の候補者の中では中道派とみられていた。

 これまでローマ・カトリック教会では、枢機卿たちの間に米国出身者を教皇に選ぶことに警戒感があるとされてきた。しかし、プレボスト氏はペルーを中心に南米を拠点としてきたことから、米国にとどまらない国際的な経験のある人物としてコンクラーベが始まるころから有力候補として名前が挙がるようになっていた。

 コンクラーベには投票権を持つ80歳未満の枢機卿133人が参加。ミケランジェロのフレスコ画「最後の審判」で有名なバチカンのシスティーナ礼拝堂を会場に投票に臨んだ。

 新しい教皇が決まった際には、システィーナ礼拝堂の煙突から教皇の選出を知らせる白い煙が上がり、サンピエトロ大聖堂の鐘が鳴らされた。大聖堂前の広場には、歴史的な瞬間を見届けようと煙突からの煙を待ち構える大勢の人たちが集まった。

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この記事を書いた人
宋光祐
パリ支局長
専門・関心分野
人権、多様性、格差、平和、外交
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    三牧聖子
    (同志社大学大学院教授=米国政治外交)
    2025年5月9日3時49分 投稿
    【視点】

    米トランプ大統領はフランシスコ教皇の死後、「私が教皇になりたい」と驚きの発言をし、自身の教皇AI画像を投稿して世界から猛反発を浴びた。しかし自分がなれない以上、米国人の教皇を望んでいただろう。トランプはすぐに祝意を示した。 しかしプレボス

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    大川千寿
    (神奈川大学法学部教授)
    2025年5月9日5時50分 投稿
    【視点】

    この記事の内容を理解するのに役立つと考え、新しい教皇レオ14世が、サン・ピエトロ大聖堂の中央バルコニーから行った最初の挨拶(イタリア語)に触れたいと思います。 教皇はまず、「あなたがたに平和があるように」という復活のキリストの最初の挨拶か

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