~調査妨害?企業がキーパーソンの聴取を拒否、労基署は黙認~
2010年、私が精神疾患を発症し、労災を申請するに至った背景には、日立産業制御ソリューションズにおける過酷な労働環境と、職場の著しい配慮欠如がありました。そして、その実態を明らかにするために行われたのが、日立労働基準監督署による関係者への聴取です。
ところが、この調査には致命的な欠陥がありました。
それは、プロジェクトリーダーである原賢治氏(当時主任技師)への聴取が一切行われていなかった という点です。しかも、その理由は「調査時に原氏がすでに退職しており、会社が個人情報を理由に住所の開示を拒んだから」とされています。
おかしくはありませんか?
企業にとって、プロジェクトの責任者である原氏こそが、業務の進行状況や労働の実態を最も詳しく説明できるキーパーソンであることは明らかです。それにもかかわらず、会社は「個人情報だから」という理由でその所在を秘匿し、労基署はそれに従い、調査を打ち切りました。
果たしてそれが、労災調査として公平・中立な姿勢と言えるでしょうか?
企業側が、都合の悪い証言がなされることを恐れて、あえて協力を拒んだのではないか。そう疑われても仕方がない対応です。そして労基署もまた、そのような企業の姿勢に対して一切の是正措置を取らず、調査の質を著しく損なう結果を招いたのです。
労働者の命と健康を守るべき行政機関が、企業側の都合に迎合し、真相解明を放棄した ― これは単なる怠慢ではなく、制度全体の信頼を揺るがす重大な問題です。
この調査の不備は、私個人の問題を超えて、すべての働く人の未来にかかわる「社会的課題」です。
どうかこの実態を、多くの人に知っていただきたいと願っています。