今年のノーベル化学賞に選ばれた「ゲノム編集」。革命的な技術のもとになった「CRISPR(クリスパー)」と呼ばれるDNA配列を世界で最初に報告したのは、九州大の石野良純教授(63)だった。スウェーデン王立科学アカデミーがゲノム編集を解説した文書にも論文が引用された。発見の経緯やノーベル賞の予想を語ったインタビュー記事を再掲します。(2017年1月、東京新聞に掲載)
◆奇妙な配列に革新の種
生物の遺伝子を自由に書き換えるゲノム編集の新しい手法が開発され、生命科学に革命が起こりつつある。この発明のもととなったのが30年前に見つかった「クリスパー」と呼ばれる奇妙なDNAだ。発見者の石野良純・九州大教授にゲノム編集について聞いた。(永井理)
-クリスパーとはなんでしょうか。
すごく変わったDNAの配列です。DNAの暗号の中に「…CGGTTT…CGGTTT…CGGTTT…」のように、同じ文字の列が何度も繰り返し現れるのです。
-なぜ見つかったのですか。
大腸菌の性質を調べるためにDNAを解読していました。すると、その一部に繰り返し現れる配列を見つけたのです。そんな変わったDNAは見たこともない。「何かあるぞ」と感じました。そこで論文に「役割は分からないが、奇妙なDNA配列を見つけた」と書きました。1987年のことです。
◆1日15時間作業でも1つの遺伝子に数カ月
-配列の役割などは調べなかったのですか。
当時のDNA解読は手作業でした。1日15時間ほど作業しても、1つの遺伝子を読むのに数カ月かかった。今のように情報がなくてデータベース(DB)もない。だから調べようにも手掛かりゼロ。まったく分からなかったのです。
-クリスパーの役割が分かったのは。
1990年代になると、いい装置ができてDNA解読がとても簡単になりました。酵母や細菌類から人間まで次々にDNAが解読された。多くの生物のDNAの情報がたまり、配列が簡単に調べられるDBもつくられました。
あるとき調べていた海外の研究者が気付いたのです。クリスパーの配列の中に、ウイルスなど外敵のDNA配列の一部が混じっている、と。クリスパーは外敵を見分けるためにウイルスなどの遺伝子を記録する仕組み、つまり免疫に関係するD...
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