1:
起きろテメェら、開戦の時間だ。
2:名無しの冒険者
開戦だと?
3:名無しの冒険者
ま、さか……
4:名無しの冒険者
俺はこの日を三千年待った
5:名無しの冒険者
いや老衰してるやないかい
6:名無しの冒険者
という事はイッチ、遂に……!
7:
今日、海の王獣を屠る。
8:名無しの冒険者
キター!!
9:名無しの冒険者
FOOOOOOOOOOーーー!!!
10:名無しの冒険者
ずっとスタンばってました!!
11:名無しの冒険者
カッケェェェ!!イッチ、輝いてるぞおおぉぉぉ!!!
12:名無しの冒険者
はい!はい!その前にイッチのスペック!!
13:名無しの冒険者
いやもう前回から目も当てられなかったんやけど、第一級になったんやろ?今回は発展アビリティの安価無かったけど
14:
今回はヘラに念押しされたから安価却下。
【精癒】【剣士】【連攻】があったが、それは選ばなかった。ステイタスの上がりもまあ、ランクアップしてから一ヶ月やったし、こんなもんやろ。
ノーグ Lv.5
力 I70
耐久 H141
器用 I99
敏捷 H160
魔力 H171
【天眼E】
【耐異常F】
【耐冷D】
【魔導G】
【並列思考I】
『魔法』
【アプソール・コフィン】
・二段階階位付与魔法
・一段階『凍てつく残響よ渦を巻け』
・二段階『燻りし焔をその手に慄け、氷界の果てに疾く失せよ』
【リア・スノーライズ】
・領域魔法
・指定した存在に氷付与魔法を付与
・極寒、氷結範囲に幻像使用権限獲得
・極寒、氷結範囲から魔素の回収、精神力還元
『それは尊き冬の幻想、今は閉ざされし幻雪の箱庭、流れて駆けゆく数多の精、黄昏に吹雪く厳冬の風、打ち震えよ、我が声に耳を傾け力を貸せ、黄昏の空を飛翔し渡り、白銀の大地を踏み締め走れ、悠久の時を経て、懐かしき冬が目を醒ます、届かぬ天を地に落とし、今こそ我等に栄光を、箱庭は開かれた、偉大なる冬の世界へようこそ』
『スキル』
【
・■■■■■■■■■
・神威に対する拒絶権
【
・
・疾走時、精神力を消費し『敏捷』の上昇
・発動時、加速限界の制限無視
【
・発展アビリティ【耐冷】の獲得
・環境極寒時、ステイタスの高補正
【
・一定以上の憤怒時発動可能
・精神力二倍消費による魔法の詠唱破棄
・怒りの丈より出力上昇
【
・魔法発動中、精神力超消費にて冷気隷属
・隷属範囲及び練度はLv.に依存
15:名無しの冒険者
うん、まあ……
16:名無しの冒険者
そこに関してはもう何も言わないぜイッチ
17:名無しの冒険者
改めてドン引きする数値やけどな
18:
女帝に死ぬほど扱かれたからこんなもんやろ。あとはレイド戦が初めてだし、中衛で前後衛に魔素回収を割り振るからめっちゃ頭使うって事で【並列思考】が選ばれた。まあ指揮官が手に出来るようなスキルやけど、魔法同時使用でスキルまで使うとヤバいからとりまこうなった。
19:名無しの冒険者
でも、フィンはそんなアビリティ持ってないで
20:
アレは別。
あらゆる局面を記憶し、最適解を導いては最適化する。スキル有無の話じゃなく、単純な
21:名無しの冒険者
そう考えるとフィンって化け物やなぁ
22:名無しの冒険者
まあ、小人族やし小賢しいのは当然と言えるやろうけど
23:名無しの冒険者
で?リヴァイアサン討伐の作戦は?
24:名無しの冒険者
少なからず蛇のようなモンスターとしか知らん。
25:名無しの冒険者
骨から察するに相当でかいんやろ?
26:
分かっている情報やと全長五十メートル。
魔法減衰の装甲、超広域範囲の
27:名無しの冒険者
なんやそのチート生物
28:名無しの冒険者
ぼくのかんがえたさいきょうのラスボスに出てくるような奴やん
29:名無しの冒険者
てことは、注意すべきは外殻か?
30:名無しの冒険者
甲殻系のモンスターの特性もあれば耐久戦になりそうやな。
31:
千年の歴史の中で【ヘラ・ファミリア】は二回討伐を逃してる。
原因はまさにそれや。耐久戦になったらリヴァイアサンは海に逃げる。逃げ道を封鎖しなきゃアカン。前は網にかける事をして陸に引き上げたんやけど、網の耐久性が足りんくて逃げたらしい。
32:名無しの冒険者
そらそうやろ
33:名無しの冒険者
いや、むしろそれ以外に方法が無いのか
34:名無しの冒険者
今回はイッチがいるって事は
35:
そう、ある場所まで誘導したら海を凍らせて
36:名無しの冒険者
超絶脳筋
37:名無しの冒険者
馬鹿かよ
38:名無しの冒険者
魔法に物言わせた作戦、脳筋や
39:名無しの冒険者
イッチ、お前偏差値低いやろ
40:
これ考えたの女帝ですが?
41:名無しの冒険者
アッ
42:名無しの冒険者
オワタ
43:名無しの冒険者
【悲報】スレ民終了のお知らせ
44:名無しの冒険者
さ、さぁイッチ!頑張るんやで(震え声)
★★★★★
「こ、これで本当に大丈夫なんですか?」
「仕方ねぇだろ、人数は最小限。大部隊は海の王獣に対して号砲待機中だ」
決戦場所はメレン。
現在は【ポセイドン・ファミリア】が本拠地としている場所であり、海辺には誰も寄り付かない事で有名だ。ダンジョンの穴からモンスターが出る事で、海は地獄と化し、並大抵の人間は海の中では餌と同義。飛び込めば最後血肉は残らない。
そんな中、リヴァイアサンが居ると思われる地点の遥か先までボートを漕いでいく二人の姿。ノーグと最近幹部に昇格したエルフの魔法剣士リリナ。
「だ、大丈夫なんでしょうか。私達二人で」
「問題ねえよ。ポセイドン達の
ポセイドンの眷属がリヴァイアサン討伐の為に危険を冒してまで仕込みをしてくれたのだ。使うのは最終手段になるが、損はないだろう。
「お前なら出来るよ。俺が保証する」
「!」
Lv.5での昇格はアルフィア以来だ。
例外であるノーグを除けば、実力で幹部入りを果たしたと言っても過言ではない。幹部は全員何処かしら尖っているスキルや魔法を兼ね備えている。リリナもその一人だ。
「私、頑張ります!」
「ちょっ、大声出すな!?」
波が一瞬強く揺れた事に二人とも真顔になってゆっくりとボートを漕ぐ。何せリヴァイアサンは二人の下の海中に眠っているのだから。此処でバレたら即死である中で、二人ともため息を吐いて安堵する。リリナが小声で謝った。
「よし配置に付いた。リリナ、やってくれ」
「はい!」
杖をノーグに向け、詠唱を開始する。
「【──起きろ憤怒の怪物共よ】」
リリナ・ウィーシェルは【ヘラ・ファミリア】の中で珍しい魔法スロット三つを埋めたエルフ。エルフである
「【燃ゆる故郷、鏖殺の宴、無力を呪え残灰の骸】」
最初から一つの魔法と一つの呪詛を持つ復讐心を燃やすエルフ。絶望から発現したとされるその性能は破格と言える。
「【ああ憎い、人が憎い、空が憎い、運命が憎い、焦がす憎悪を糧に薪を焚べよ】」
かつて、ラキアの侵攻に使われたクロッゾの魔剣。故郷が焼かれ、その憎しみから発現した呪詛魔法は今となっては殆ど使われなくなったが、今回は使用を命じられ、ノーグの手助けとして側に置いた。
リリナは人間が嫌いだった。
故郷を奪った人間が許せなかった。最初こそ、ノーグを見かけたらきっと嫌いになると思っていた。だが、纏う雰囲気から嫌悪感が湧かなかった。それが後に精霊から授かった力だと知り、精霊に認められた人間として興味を持った。
「【楔を解き放て、憤怒のままに吠え狂い、灰燼と帰せ】」
今となっては、ノーグに想いを寄せ、復讐心は薄れているが、この魔法が起動されればその復讐心は目を覚ます。故郷を守れなかった後悔と無念、怒りのままに暴れて復讐したかった渇望を呪詛に詠唱は紡がれる。
「【私は私を許さない】」
小さな
「【グリヴェント・イラ】」
紡がれた歌と共に出現した漆黒の魔力がノーグへと向かった。そしてノーグの身体に侵食すると、その魔力から身体が拒絶反応を起こし、身体が震え、発汗が止まらない。そして、それと同時にノーグの内側から溢れ出す激しい魔力。掻きむしりたくなる衝動をリリナが手を抑えて止める。
「グッ、ギィァ、これキツッ…!」
「抑えてください!まだ……!」
リリナが発動した【グリヴェント・イラ】は『憤慨』の呪詛。ありとあらゆる存在に対しての殺戮衝動を剝き出しにする『狂猛の魔眼』とは違い、
クロッゾの魔剣で故郷を焼かれ、怒りと共に魔法を発動する森の狂戦士。対象は自分か他者の一人のみ、リリナが自分にかければ最後、魔法戦だけならリヴェリアの持つ
「女帝の…サインは!?」
「まだ……!」
激昂を抑えるノーグに合図と呼べる鐘の音が鳴り響く。
「来た!ノーグさん!」
普通の人間なら暴走し、
だが……
「…【
ノーグにとってこれほどに相性のいい呪詛は存在しない。一定以上の憤怒を強制的に抱かせる事で魔法の詠唱破棄と効果の増幅。そして魔法発動による冷気の隷属により、黒い焔は掲げた右手へと収束していく。
熱の燃焼。マイナスの世界は際限なく上げられる温度とは違い限度が存在する。絶対零度である−273.15度より下には下げられない。
だが、新しいスキル【
今は真冬、海の上では気温は−3度。
既に冷たい極寒の空間である以上、領域魔法の恩恵を最大限に賜わる事が出来る。理論上無限に回復する精神力に馬鹿みたいに消費してまで増幅した魔法の効果をたった一点に圧縮する。
絶対零度にまで下げられた冷気と焔が圧縮され、それは海に放り投げられた。
「──『黒星』」
瞬間、海一面が一瞬にして白銀の世界と化した。
圧縮した黒い焔の爆破に海の熱は一瞬にして奪われ、凍結する。あらゆるモンスターは凍結し、身動きも取れずに死に至る。
そして、眠っていたリヴァイアサンごと海が凍結。時間が経てば凍ったまま死に至る事も考えたが、楽観視した期待は当然の如く裏切られた。
「……っ、やっぱ、無理か…!」
氷海が揺れた。
あれだけの出力の魔法でさえリヴァイアサンを殺すに至らない。凍り付いて動きを止める所か、氷の中で暴れて氷海が割れ始める。リヴァイアサンが海へと戻ろうと踠いている中で、ノーグは視線をリヴァイアサンから沿岸にいる四人に向ける。
此処までは想定範囲内。この程度で殺せるとは思っていない。
「女帝、副団長、紅さん、レシア!!」
第二段階に移行する。
予め四人にかけておいた領域魔法の付与。それもスキルによって出力が上がり、付与された焔の色は
『リヴァイアサンの誘導?』
『ええ、リヴァイアサンと戦うなら沿岸で戦う事は必須』
リヴァイアサンと海辺で戦うのは自殺行為だ。
故に沖までリヴァイアサンを引き摺り出さなければならない。
第一段階はリヴァイアサンの一時的な足止め。
第二段階はリヴァイアサンを閉じ込める『生け簀』作り。
『リヴァイアサンは脅威に敏感、不意打ち後は逃げられる。だから敢えて
『という事は、沿岸まで誘導する死路を作らなきゃいけないのか』
『ええ、貴方がリヴァイアサンを一時的に動きを止めて、破られた時の抜け道にリヴァイアサンを誘導、道を作ったらすかさず凍らせて
『俺めっちゃ大変じゃん……』
ゲンナリするほどの大仕事に顔を引き攣らせながらも、ステイタスが軒並み高い四人が藍色の焔を纏って走り、海を凍らせる事で、リヴァイアサンを閉じ込める為の『生け簀』が完成する。
だが……
「っっ!?退避!!」
予定調和を砕くかのように、『黒星』の凍結範囲からリヴァイアサンの顎が開かれた。それを見た六人は即座に射線から離脱する。そして次の瞬間、
「うおおおおおっ!?」
「熱っ!?」
氷が崩壊する。
深層の竜の巣を連想するような火力、階層主を思い出すような咆哮と共に、あり得ない密度の魔力が込められた熱線に目を見開いた。
ベヒーモスがどんな者でも殺す猛毒のモンスターであるならば、リヴァイアサンはどんな者すら消滅させる矛とあらゆる者を嘲笑うような強靭な盾を兼ね備えている古のモンスター。
それがこの一つ。
圧倒的な熱量を収束させた矛。
「リヴァイアサンの破壊光線……!」
圧倒的な魔力が収束した万物を破壊するリヴァイアサンの光線。その射程は驚異の約400メトラ。海から破壊光線をメレンに向けて放つ厄災の矛。海から顔を出す事もなく、地上に影響を与えられるそれはハッキリ言って規格外。まともに戦おうと思えば、リヴァイアサンにとっては
何より光線の熱波に氷が溶け始める。
バキバキバキッ!!と割れる氷海、誘導する為に生み出した『生け簀』の一部が崩れ始める。これが崩れたら前提が崩れる。逃げ場を無くす為の作戦が瓦解する。
「こ、の……大人しくしやがれええぇぇぇ!!!!」
ノーグは両手に収束した『黒星』二発を再び海へとぶち込んだ。崩れた『生け簀』をカバーするように凍結範囲が更に広まり、再びリヴァイアサンの動きを封じる。だが、リヴァイアサンはそれを避けるように砕いた氷から海へと這い擦り出た。凍結する焔から逃げるようにリヴァイアサンは沿岸まで逃げるように泳いでいく。
「でかしたノーグ!リヴァイアサンを誘導出来てる!!」
「追いかけるっすよ!!」
「無茶言うな……!?俺めっちゃキツイんだけど……!」
「の、ノーグさん!その、ファイトです!」
「もっと気の利いた言葉を言え…!!雑か!?」
消費精神力が倍となり、『黒星』を二発。
「全く」
「うおっ…!」
「拙が中衛まで運ぶ。その後は自分でどうにかしてくれ」
「ありがと…紅さん……!」
「それとよくやった。値千金の判断だ」
米俵のように抱えられながらも魔素を回収し、自身の回復から四人の付与までを続けるのは流石に疲弊する。呪詛も完全に解いている訳ではない。今は前衛に必要な火力を送るために呪詛は継続だ。
寧ろ、結構な精神力を呪詛に注ぎ込んでまだ辛うじてとはいえ理性があるノーグにリリナは驚愕している。
「魔導師部隊、構えなさい!」
第二段階は成功、第三段階は魔法を待機させた魔導師達の一斉掃射。リヴァイアサンが沿岸へと顔を出した瞬間、魔導師達の魔法を一斉に炸裂させる。
だが、リヴァイアサンもわざわざ攻撃を食らうために突っ込みはしない。海中で顎を開き、魔力を収束させる。
「二発目の破壊光線が来る!!」
「メナ!!」
女帝の叫びと共に魔導師の前に立ち、メナは杖を構えて詠唱を始める。
「【才知の祝福、天理の杖、我が手の上に魔は統べる】」
メナはこの世界最高位の治癒士であると共に、治癒士でありながら魔法剣士としての実力を持つ。彼女が後衛にいる限り、冥府へと誘う死神は消え、前衛である場合は
「【コーネリアス・ロア】」
リヴァイアサンから放たれた破壊光線に対し、メナが広げた
「すっげ……」
破壊光線が一つの球体に衝突すると、光線が
メナが持つ第二魔法【コーネリアス・ロア】の効果は
実際に彼女は49階層の階層主である
「っ……ヤバッ、保たない!」
だが、リヴァイアサンの破壊光線に込められた魔力は並みではない。放たれ続ける光線に一つずつ球体が消失していく。三、四、五と最後の球体に差し掛かるその時、
「【
音という防御無視の鐘楼の鐘がリヴァイアサンに直撃した。リヴァイアサンの外殻の魔法耐性は属性に対しては相性がいいが、『音』だけは相性が最悪だ。何せリヴァイアサンの探知は音で判断する為、その器官を閉じる事が出来ない。破壊光線が途切れ、嫌がるように咆哮する。
「五月蝿い断末魔だ。【
アルフィアの魔法が海中のリヴァイアサンに直撃。
そして遂に痺れを切らしたかのように海の王獣は海から地上へと顔を出した。
それは蛇と呼ぶには余りにも異質。青と黒の二色が混合した外殻、それを支える密度の高い筋力を兼ね備えた肢体、双眼から放たれる殺気とビシビシと伝わる魔力の塊。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
海の王獣、リヴァイアサン。
天に向かい咆哮する。今日此処で、此処にいる全てを殲滅する雄叫びを上げる。リヴァイアサンは此処にいる全ての存在を敵と見做し、殲滅する対象として認識した。それに対して【ヘラ・ファミリア】の開戦の挨拶はただ一つ。
「放てっ!!!」
全ては思い描いていた構図の中、リヴァイアサン討伐の開戦の号砲は、魔導師達の一斉掃射によって鳴らされた。