日本で警戒心「高まってない」

現地取材をした後日、Huioneと同名の会社が入居するビルの中国人オーナーにも話を聞くことができた。

――入居している株式会社HUIONEとはどんな会社ですか?

「借主とは面識がなく、分かりません。オフィスに人が出入りしている様子もありません。今回取材が来たので問い合わせたところ、『カンボジアの企業とは関係がない』との説明を受けています」

――テナントには中国企業が多いようですが、どのように入居企業を集めているんですか?

「オフィスの借り手は、仲介業者や知人の紹介などを通じて募っていました。ビルのオーナーになったのが初めてで、入居企業の調査があまりできていませんでした。もっと気をつけなければいけないですね」

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在日華人コミュニティーに詳しいジャーナリストで、『潤日:日本へ大脱出する中国人富裕層を追う』著者の舛友雄大氏はこう語る。

「中国系資本のビルも、東京・大阪の中国人が多いエリアでは、それほど珍しくない風景になりつつある」

その上で、Huioneのような企業が日本に進出しているとすれば、それは、

「日本では東南アジアの中国系詐欺拠点に関連するマネロンについて、まだそこまで警戒心が高まっていないのが一因なのではないか」

と推測する。

さらに、前出の中国人ジャーナリストは、このように警鐘をならす。

「カンボジアを拠点とした中国系犯罪組織の幹部らはもともとシンガポールに住んでいましたが、2023年にシンガポールで大規模なマネロン事件の摘発があったことを受け、監視が厳しくなったことから、日本に移住するケースが増えているようです。日本はもっとこうした犯罪者に対して、警戒していく必要があります」

まだその実態は掴めないものの、Huioneのような世界的に違法性を指摘されている企業が、日本に忍び寄ってきているのは紛れもない事実だ。日本の規制当局やメディアは、こうした企業への監視の目を一層強めていく必要がある。

※著者への情報提供はⅩアカウント(@hatarisako)かメール(risakohata.job@gmail.com)にて。

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