日本での事業ライセンスは“登録なし”
そんな違法性の高い会社が、日本で一体何を企んでいるのか――。懸念を抱いていた時、日本にもHuioneと同じ名前の会社がすでにあるとの情報が入ってきた。筆者は関連性を調べるため、登記された住所へ向かった。
東京都文京区にある、最寄駅から徒歩10分程度の住宅街にあるビル。壁に郵便受けがずらりと並び、そのほとんどが中国系の企業、もしくは個人名のようだった。
そのうちの1社が、Huioneと同名の会社だった。事前に登記情報を確認すると、会社設立日は2024年8月29日。事業の目的として14項目があげられ、「投資コンサルタント業」や「電子マネーの発行、販売及び電子決済サービスの提供」「不動産の開発」などがあった。
記載された取締役の中国人の氏名をネット検索してみると、過去にカンボジアに関係があったとされる記述も出てくる。本当にあのHuioneが日本に進出したのだろうか――。実際に話を聞くべく、入居するオフィスのドアを叩いてみたが、しばらくしても返答はなかった。
同社の公式テレグラムで担当者に問い合わせたところ、担当者は、日本で設立されたこの会社はHuioneグループと「関係がない」と説明した。日本で展開するサービスの詳細については、「間もなく発表する」という。
なお、Huioneの先の声明では、「すでに日本で事業ライセンスを取得した」と記載されていたが、金融庁にHuioneについて問い合わせると、3月31日時点で、電子マネーや暗号資産の取扱いで必要な事業者登録はいずれもされていなかった。
この声明文はその後、大幅に修正されている。現在は、「Huioneは国際化のプロセスを開始しており、日本、韓国、北米でのブロックチェーンサービスを徐々にアップグレードし、分散型ウォレットを通じて顧客により広範かつ高品質のサービスを提供している」というあいまいな表現にとどめている。