地下銀行ネットワークが普及

Huioneはオンラインでのサービスだけではなく、カンボジア国内に9つの実店舗も展開しており、店頭ではこれまで銀行業務や暗号資産取引に関するサービスを提供してきた。カンボジアにあるにもかかわらず、サービス自体は主に中国人向けに行われている。

現地在住の中国人ジャーナリストが語る。

「Huioneは他の銀行と比べて簡単な手続きで口座開設ができるので、旅行者を含めて多くの中国人が利用していました」

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Huioneの事業がカンボジアで急拡大した背景には、ここ数年で中華系の犯罪組織がカンボジアに進出し、オンライン詐欺の拠点が急増していることがあるとみられる。カンボジアは公的機関で汚職が蔓延していて、法制度もまだ十分に整備されておらず、犯罪がしやすい環境が整っている。

そうした中で、カンボジアでは華人による「地下銀行」のネットワークも広く普及。市中にある表向きは普通の両替所に見える店舗が、地下銀行の役割を果たしていることも珍しくない。それがたとえ、犯罪で得た不正な資金であったとしても、政府による金融監督システムの外で、中国・カンボジア間の資金移動をすることができる。そうした地下銀行市場をけん引してきたのが、Huioneだといえる。

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