米大物投資家、ハーバード大経営刷新を要求 免税剝奪も支持
【ニューヨーク=西邨紘子】米著名投資家のビル・アックマン氏は5日、米CNBCのインタビューでハーバード大学が「(民主党という)一方の党を支援する『政治的運動の団体』になってしまった」と批判し、大学の経営を担う理事会の刷新を求めた。トランプ大統領が主張する同大の免税資格剝奪についても「おそらく実現しないだろうが、正当な主張だ」と擁護した。
アックマン氏は、同大が「(リベラル寄りの)特定の考え方や言論のみを許し、(考えの合わない)多くの生徒や教員に沈黙を強いている」と主張した。また、トランプ政権の要求に、大学側は真っ向から対立せず「改善するべき点は認め、合意を模索するべきだった」と述べた。
同氏は特に、ハーバード大の運営に決定権を持つ同大の理事会を強く批判した。理事会が「新型コロナウイルス流行時の対応から基金運営に至るまで、失敗に失敗を重ねている」と主張し、理事会を率いるペニー・プリツカーシニアフェローの辞任と運営陣の刷新を求めた。
アックマン氏はユダヤ系実業家で、米大手ヘッジファンド、パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者。ハーバード大の卒業生で大口献金者だったが、23年10月以降、同大で活発化した反ユダヤ主義的活動に対し、大学の取り締まりが不十分として寄付を凍結した。
また、当時学長だったクローディン・ゲイ氏の辞任を求めるキャンペーンを立ち上げ、24年1月に辞任に追い込んだ。同年の米大統領選挙ではトランプ氏支持を表明した。
アックマン氏が名指しで批判するペニー・プリツカー氏は、シカゴの名門プリツカー一族出身。オバマ政権で商務長官を務めた。弟のJ・B・プリツカー氏は中西部イリノイ州知事で、民主党の有力者でもある。ハーバード大の運営を巡る米富豪対立としても注目されそうだ。
2025年1月20日(現地時間)にドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任。政権の行方など最新ニュースや解説を掲載します。