日本学術会議を特殊法人化する政府提出法案を審議した7日の衆院内閣委員会では、東京都内で4月14~16日に開かれた学術会議総会で「この法律が通ることで、これまでとは違う人が入ってくる」と懸念を示した一部会員の発言が問題視された。
学術会議は「特定思想で固めるか」
自民党の平沼正二郎衆院議員らによれば、この会員は総会で「文系には政府にすり寄る、かなり右に立っている人が確実にいる。そういう人たちがここに入ってくる。そういう状態を許していいのか考える必要がある」と述べたという。
平沼氏は「素直に解釈すると右の人に入ってほしくないととらえられる」と述べ、会員が推薦した候補者を首相が形式的に任命する方式で行われる従来の会員選考について「一定の政治的考えを持つ人を排除し、特定の思想で会員を固めていたとの疑念が生じる」と指摘した。
その上で今回の法案に基づく会員選考について、「異なる考えを持つ者を排除する選考を行えず、幅広い形で平等な選考が行われるのか」と政府側に尋ねた。
政府担当者も発言に「えっ」
内閣府の笹川武官房審議官は「そういうことに資するための法案だ」と述べた上で、会員選考について「実質的な絞り込みを2回行い、過程を公開する。専門グループが選んだ候補がそのままスルーして会員になるわけではない。委員会や総会で実質的に絞り込まれる」と強調した。
笹川氏も問題の発言をオンライン中継で聞いていたといい、「『えっ』と思った。ただ実際はどうか分からない」と述べた。政治的な考えに応じて会員候補が排除されていたかどうかは不明だとした。
問題の発言については、自民の黄川田仁志衆院議員も7日午前の同委で質した。
参考人の梶田隆章前学術会議会長は「政治的な傾向がどうこうということについて、まったく議論したことがない」と述べるにとどめた。