サッカー・ファンだけではない。全てのドイツ国民が泣いている。同国チーム代表GK、ロベルト・エンケ選手(32)が10日夜、ブレーメン発ハノーバー行き列車に飛び込み自殺した。その悲報が伝わると、多くの国民は「信じられない」と絶句した。南アフリカのW杯代表キーパーとして期待されていた矢先だったからだ。
エンケ選手の自殺が伝わると、所属するハノーバー96のファンたちがサッカー場前に駆けつけ、ローソクや花を供え、11日には約3万5000人のファンが追悼集会に参加したという。
悲報の翌日、エンケ選手のテレサ夫人は記者会見で「彼はうつ病に悩まされていた。入院治療が必要といわれた時、彼は拒否した。自分の病が公になることを恐れていたからだ」という。
同選手と一緒にゲームに出ていた同僚選手も彼が極度のうつ病に悩まされていたことを知っていた者はほとんどいなかった。
独代表チームのマネージャー、オリバー・ビアホフ氏は「言葉が出てこない。同時に、エンケの世界を表面上でしか分らず、その内面世界の苦悩まで理解できなかったという意味で、自分には無力感がある」と述べている。
エンケ選手は遺書の中で、家族を含む関係者に自分の死を詫びている。自殺は突発的なものではなく、周到に準備された後の行為だったことが明らかになっている。
エンケ選手のうつ病が深刻となった背景には、3年前の最愛の一人娘の死(不治の心臓病)があったという。今年5月、エンケ夫妻は養子をもらったばかりだ(自分の病気が分れば、親としての養子権を失うのではないか、といった恐れを持っていたという)。
サッカー界だけではない。現代のプロのスポーツ界では、所属クラブやファンからだけではなく、スポンサーからも選手の上に大きな期待と圧力がかかる。ライバル間との戦いは熾烈だ。そのような中で、ドービングや麻薬類に手を出す選手が出てくるという。
エンケ選手の場合、心の病だ。天才的選手と期待され、FCバイエルン・ミュンヘンに一時期所属していたS・ダイスラー選手も定期的に襲ううつ病と戦いを繰り返し、2年前、選手生活を断念した。ただし、ダイスラー選手は現役時代、「自分はうつ病に悩まされている」と明らかにしていた。
エンケ選手はプロのサッカー選手として成功してきた。ドイツ代表として来年開催のW杯行きも確実だった。動物愛護や心臓病の子供への支援には積極的に取り組んできた。あるスポーツ紙は「他人の支援には積極的だったが、自身へ差し出されていた救いの手には見向きもしなかった」と評し、その死を惜しんでいる。
エンケ選手の自殺が伝わると、所属するハノーバー96のファンたちがサッカー場前に駆けつけ、ローソクや花を供え、11日には約3万5000人のファンが追悼集会に参加したという。
悲報の翌日、エンケ選手のテレサ夫人は記者会見で「彼はうつ病に悩まされていた。入院治療が必要といわれた時、彼は拒否した。自分の病が公になることを恐れていたからだ」という。
同選手と一緒にゲームに出ていた同僚選手も彼が極度のうつ病に悩まされていたことを知っていた者はほとんどいなかった。
独代表チームのマネージャー、オリバー・ビアホフ氏は「言葉が出てこない。同時に、エンケの世界を表面上でしか分らず、その内面世界の苦悩まで理解できなかったという意味で、自分には無力感がある」と述べている。
エンケ選手は遺書の中で、家族を含む関係者に自分の死を詫びている。自殺は突発的なものではなく、周到に準備された後の行為だったことが明らかになっている。
エンケ選手のうつ病が深刻となった背景には、3年前の最愛の一人娘の死(不治の心臓病)があったという。今年5月、エンケ夫妻は養子をもらったばかりだ(自分の病気が分れば、親としての養子権を失うのではないか、といった恐れを持っていたという)。
サッカー界だけではない。現代のプロのスポーツ界では、所属クラブやファンからだけではなく、スポンサーからも選手の上に大きな期待と圧力がかかる。ライバル間との戦いは熾烈だ。そのような中で、ドービングや麻薬類に手を出す選手が出てくるという。
エンケ選手の場合、心の病だ。天才的選手と期待され、FCバイエルン・ミュンヘンに一時期所属していたS・ダイスラー選手も定期的に襲ううつ病と戦いを繰り返し、2年前、選手生活を断念した。ただし、ダイスラー選手は現役時代、「自分はうつ病に悩まされている」と明らかにしていた。
エンケ選手はプロのサッカー選手として成功してきた。ドイツ代表として来年開催のW杯行きも確実だった。動物愛護や心臓病の子供への支援には積極的に取り組んできた。あるスポーツ紙は「他人の支援には積極的だったが、自身へ差し出されていた救いの手には見向きもしなかった」と評し、その死を惜しんでいる。
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ウィーン発 『コンフィデンシャル』
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ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。
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1. まるまる
うつ病ではなく娘の死がトラウマになったPTSD