共学化しても大幅定員割れ、男子入学者ゼロのケースも…地方の私立短大が苦境 国は撤退・縮小を促す姿勢 「学生確保がもう難しい…」生き残りへ正念場
姿を消した女子短大
4月に長野県上田市の上田短大(旧上田女子短大)と長野市の清泉大学短期大学部(旧清泉女学院短大)が男女共学化し、県内の女子短大が姿を消した。短大の共学化は、少子化や四年制大学への進学志向が進む中での生き残りをかけた一手。しかし、今春の男子入学者は上田短大が15人、清泉大短期大学部はゼロとなり、それぞれ全体でも定員割れとなった。ともに2023年度に共学化を打ち出して学生獲得を図ってきたものの、共学化だけでは定員確保が難しい現実を突き付けられている。 【グラフ】全国の短大数の推移。2000年と比べると急減している
開学50年、踏み切った共学化
「活躍を大いに期待している。共に議論しながら学びを深めてほしい」。4月2日、上田短大が上田市下之郷のキャンパスで開いた入学式。共学化で初めて入学した男子学生15人を含む新入生計114人に向け、小池明学長があいさつの言葉に力を込めた。 1973(昭和48)年4月の開学から半世紀を経て共学化に踏み切った同短大。付属幼稚園を持つ幼児教育学科(定員100人)と、図書館司書や日本語学など八つの専門分野を選ぶ総合文化学科(80人)の2学科がある。共学化には、各分野でダイバーシティー(多様性)の要請に応える狙いがあった。
保育士を目指して男子学生の「1期生」となった徳武陸さん(18)=長野市=は、同短大の裏山を活用する授業を挙げて「自然を取り入れた保育に関心があった」と志望動機を語る。図書館司書を目指す鈴木陽向(ひなた)さん(18)=北佐久郡立科町=も「共学化がなければ県外へ進学していた可能性があり、自分にとって良いタイミングだった。学びの幅が広がると思った」と話す。
大きく下回った定員
ただ、こうした学生たちのニーズに共学化で一定程度は応えられたものの、今春の入学者は定員180人を大きく下回った。新型コロナ禍の「地元志向」が薄れたことなどで、同短大は23年度から定員割れが続く。入試事務室は「男子学生は定員の1割を見込んでいたので想定内」としつつ、「定員を確保するには共学化だけでなく、短大の魅力をさらに磨いて発信する必要がある」と受け止める。