入学式から数日で行方不明…26年前に遺体で発見された「筑波大学女子学生」、行動を共にしていた「謎のイタリア人」
大学新聞の「号外」が報じたこと
筑波大学の筑波キャンパスは、単一の大学キャンパスでは国内2位の広さ。約258ヘクタールの敷地には学生宿舎も設けられている。事件発生当時、この宿舎を「筑波大学特有の環境」と報じたのは大学内の「筑波学生新聞」の号外(1999年5月6日付)だった。
事件の際に発行されたこの号外は、大学が受けた衝撃の大きさを物語っている。一面では事件の概要と、Aさんが宿舎に入居した4月6日から翌日の入学式、オリエンテーションなどを経て、11日に連絡が取れなくなり、14日に両親が捜索願を出して学内に動揺が広がる様を克明に報じた。
学内で学生たちに取材をしているため、参加したテストやコンパの概要なども事細かに報じている。白人男性と一緒にいる姿は8日から目撃され、10日には宿舎の共用棟で友人がAさんに挨拶をしたが、隣にいた白人男性とは接触しなかったという。この翌日からAさんの消息は途絶えた。
監視者のいない学生だけの世界
号外には「宿舎の特異性を問う」という特集も掲載された。棟は男女別だったものの、出入り自由で門限がない「監視者のいない学生だけの世界」。下着盗難や不法侵入等が日常茶飯事だった環境に、「友人を作らなくては」という新入生の焦りが加わったと事件の背景を指摘する内容だ。
とはいえ、自由な交流は学生時代の貴重な財産となるだけに、警備を厳しくすれば「筑波大学最大の長所を消すことにもなる」と苦悩も覗かせている。それから26年後の現在は、暗証番号あるいはICタグ式のセキュリティシステムが導入され、部外者は棟内に立ち入れない。また、屋外には防犯カメラが設置された。
2010年4月に公訴時効が改正されたことを受け、この事件は時効撤廃となった。茨城県警は現在も、不審な車や人物等の情報を求めている。