泉氏とのトラブルは自作自演?
しかし、泉氏はX(旧ツイッター)で《でっちあげだった》と猛反発。兵庫県も泉氏に気圧されたのか「問題にしない。泉氏から返答を求めない」と方向転換を余儀なくされた。Aさんが続ける。
「県職員のあいだでは、『泉氏とのトラブルは自作自演だった』とまで囁かれています。斎藤知事は『オレが知事だ』と威張っていますが、泉氏に反論されるとびびってしまし、部下に押し付けて逃げる。情けないです」
W氏による内部告発文書では、昨年の阪神タイガースとオリックスバッファローズの優勝パレードの疑惑も記述されている。県が金融機関に補助金を出す代わりに、寄付を求めていた疑惑だ。
《信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った》
《パレードを担当したH課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に精神が持たずにうつ病を発症し、現在、病気療養中》
実はこのH課長は、いまはこの世にいない。Aさんが語る。
「今年4月、ゴールデンウイーク前のことでした。急に県民生活部総務課の課長にY氏が着任したのです。この総務課長はH氏が務めていましたが、内部告発に書かれているように、あくまで療養中と聞いていましたから、この人事は県庁内で話題を呼んだ。その直後だったでしょうか、『H氏が自死したから、課長が交代した』という噂が一気に広がったのです」
H課長の死亡については、5月16日の兵庫県議会でも取り上げられている。
「内部告発に書かれていたH氏がお亡くなりではないか」という内容の質問が出たのだ。この文書のなかでは斎藤知事の「側近」として指摘されているI部長が答弁に立ち、「亡くなったかどうか、現時点ではお答えできません」と述べるにとどまった。
だが、複数の兵庫県議は現代ビジネスの取材に対し、異口同音にこう語る。
「H氏が亡くなったことはまず間違いない。本来なら県職員が亡くなると県庁から『訃報』が届くが、H氏については何もない。隠ぺいしているのは斎藤知事だと聞いている」
追い込まれている斎藤知事。2020年の知事選でバックについたのは、大阪府の吉村洋文知事と、安倍派5人衆で兵庫9区が地元の「裏金議員」西村康稔代議士だ。斎藤知事は兵庫県知事になる前は大阪府の財政課長として総務省から出向。維新、吉村知事のお眼鏡にかなったようだ。だが吉村知事は万博で、西村氏は裏金で窮地に立たされており、もはや斎藤知事を援護する余裕はない。
「斎藤知事の大阪府時代ですが、維新の創設者である松井一郎大阪市長(当時)や吉村知事から『おい斎藤』と呼ばれ、平身低頭だった。維新のバックで、兵庫県知事になりそれを真似て、格好いいと思って怒鳴りつけ王様のような態度でいるようだ。斎藤知事の増長ぶりに吉村知事も険しい表情ですよ」(大阪府幹部)
斎藤知事は百条委員会の設置を嫌ったのか、側近の副知事が「辞任を引き換えに設置はしないでほしい」と有力県議に頭を下げさせたが、相手にされなかったという。
「斎藤知事の再選はまずないだろう。来年夏までの任期もまっとうできないのではないか」と自民党の兵庫県議は語り、早くも斎藤知事の「次の知事」の模索がはじまっているという。