第15話・ごめんでもむり

 ――とある昼休みの教室。僕が麗華れいかさんのコーチになって数日が過ぎた頃。


「あれっ!? れーちゃんに負けた!?」


 恒例こうれいとなっている(深く考えたら負け)アルⅦプチ対戦会で、麗華さんが連日の特訓の成果を出し始めていた。


 すでに麗華さんはフンコロガシ級をだっして、フナムシ級に到達していた。そして次のチワワ級に到達するのもすぐだろう。彼女は確実に成長していた。


 そして、今まではグループで実力的に最下位だった麗華さんの成長を目の当たりにして、他のメンバーが何も感じないはずもなく。


「む~~~っ! もっかい! もっかいやろ!」


「いくらでもかかってきなさい! まぁ無駄だと思うけどね!」


 連敗にあせる桃ちゃんが再戦を挑むも――またしてもボコられる。


「また負けた~~っ! どうしてぇ~~~~!? うわあ~~~~~ん!!」


 ついに泣いてしまった――天野桃あまのももこと桃ちゃんは、いつも元気一杯のムードメーカーだ。


 桃色のツインテ―ル。小学生と勘違いするほど小柄だが、バストは驚異のFカップ。ギャップがやばいロリ巨乳だ。ちなみに僕のハーレム(認めない)に入ってる。


「あはははは~~~~っ! またアタシの勝ちみたいねぇ~~!」


 べそをかく桃ちゃんをよそに、大はしゃぎの麗華さん。今まで勝てなさすぎて、よっぽど鬱憤うっぷんまっていたんだろうなぁ……。


 次に、梨魅りみさんが挑戦する事になった。


「少しは腕を上げたみたいだけどぉ……私は簡単にはいかないわよぉ?」


 黒樹梨魅くろきりみこと梨魅さんは、艶やかな黒髪がえるセクシーダイナマイト(Gカップ)JKだ。反則だろこんな女子高生。


 蠱惑的こわくてきな言動が男心を虜(とりこ)にする――まるで傾国けいこくの美女。ちなみに彼女もハーレム(絶対に認めない)に入ってる。


 そんな梨魅りみさんも、絶好調の麗華さんには歯が立たなかった。


「くっ……や、やるじゃなぁい。一体どんな練習をしたのかしらぁ?」


 微笑ほほえみを浮かべて平静をよそおう梨魅さんだったが、僕は見てしまった。そっと隠した右手が屈辱に震えていた事を。ヒエッ……! 


「あ~~っはっはっはっは~~っ! これからはアタシの時代よ~~~~っ!」


 メチャクチャ調子に乗りまくる麗華さん。そのくらいにしておいた方が……ほら、桃ちゃんが涙目で顔真っ赤でプルプルしてるよ? 一方で梨魅さんは――


「………………なるほどぉ。そういうことねぇ?」


 なぜか僕の事をじっと見詰めていた――底冷えするような蛇のような瞳で。とても嫌な予感がした。




 ――そしてやってきた放課後。

 麗華さんと校門を出た時、彼女のスマホに連絡が入った。


「……ごめんエージ。放課後デート……ダメになっちゃった」


 しゅんと申し訳なさそうな麗華さんに笑顔を返す。僕も寂しい気持ちはあるけど、彼女の立場を考えれば仕方が無い。何せ社長なんだし。


「気にしないで。お仕事、頑張ってきてね」


「ありがとう! この埋め合わせは必ず。愛してるわ――ちゅっ♥」


 ほっぺに嬉しいチューをされる。やがてピンクのポルシェが迎えに来て(ビジネス用)麗華さんを乗せて走り去っていた。


(さて。これからどうしたものかなぁ……?)


 降っていた空白の時間に頭を悩ませていると、ふと背後から誰かが近付いているのに気が付いた。僕は慌てて振り返るが――


「――もがあっ!?」


 袋のようなものをかぶせられ、手足をグルグル巻きに縛られ、何処どこかに連行されてしまう。こんな事をする犯人に心当たりは――あるねぇ。




 光を取り戻した僕は、薄暗うすぐらく、埃臭ほこりくさいい部屋にいた。

 丸められたマットやカラーコーンが雑然と並び、一目でそこが体育倉庫だと思いいたる。おそらく火威巣闘学園びいすとがくえんの。


 目隠しは外されたものの、いまだに僕はしばられたまま。部屋の中央に置かれた学生椅子がくせいいすに座らせられていた。


 そして、先程から僕を見詰めていた二つの影を見上げる。それは想像していた通り――やはり、ももちゃんと梨魅りみさんだった。


「ごめんね、ごー様。桃も本当はこんな事したくなかったけど……」


「……私たちにもプライドがあるのよぉ。許してねぇ、御主人様ぁ」


 恐らく、僕がアルⅦで麗華さんのコーチをしている事に気が付いたのだ。そして自分たちにも『コーチングをしてほしい』と要求するつもりか。


(……でも、そのお願いはきけない)


 僕は麗華さんカレシなんだ。誰よりもカノジョの味方でありたい。だから申し訳ないけど、二人の頼みは断らせてもらう――とまぁ、それはさておき。


「――何で僕はトランクス一丁いっちょうなの!?」


 そう、何故か僕はパンイチだった。とても寒い。


「――そして、何で君たちはそんな格好をしてるの!?」


 桃ちゃんは学校指定の紺色こんいろのスクール水着。彼女は小柄だけどバストは驚異きょういのFカップ。パンパンにふくらんだ水着の胸部には『あまのもも』と書かれたネームプレートがられている。どんなに時代をても変わらぬ感動があった。


 一方の梨魅さんは体操着。しかも下は伝説の運動着――ブルマ様だった。麗華さんを超えるダイナマイトバディの彼女は、体操服の胸部がパッツンパッツン。ブルマでお尻と太股はムッチムチ。R指定をくらいそうなほどの危ない姿だった。


 デンジャラスな格好の二人は、僕の質問には答えず、逆に問い返してくる。


「――ねぇ、御主人様ぁ♥ さらわれた理由……わかってるわよねぇ?」


「――桃も格ゲー強くなりたいの! れーちゃんばっかりずるい!」


 思った通り、僕にコーチを要請ようせいする気だ。だがすでに僕は断ると心に決めている。


「ごめん、二人には悪いけど――」


「ねぇ、御主人様ぁ♥ 私たちにも……たくさん……コーチングしてぇ?」


 僕の言葉をさえぎるように、梨魅さんがぴたりと身体を寄せてきた。もにゅううううううううぅぅぅんッッッ! 推定Gカップの悪魔的感触が僕の言語野げんごやを破壊する。コーチングってアレですよね。ゲームの事ですよねホントに?


「どんなに痛くても苦しくても、ごー様だったら…………桃、いいよ♥」


 またしても耳元で意味深にささやきながら、桃ちゃんが立派なFカップを押し付けてくる。ぽにゅううううぅぅぅんッッ! さらに桃ちゃんはひざの上に乗ってきた。


(――はっ!? 僕をパンイチにした理由がわかったぞ!? 何という恐ろしい事を……全身の五感をフルに責めるつもりなのかッッ!?)


 僕の予想通り、最初に仕掛しかけてきたのは梨魅さんだった。


「……ねぇん♥ お願い、御主人様ぁ……コーチングしてぇ♥」


 梨魅さんは前屈まえかがみになり、はち切れそうな体操着の伸び切った襟元えりもとから、苦しげに封印されているGカップの谷間を見せつけてきた。


 ――でかあああぁぁぁぁいッッッ!! まるでイッツァ・キリマンジャロ! 果てしなく遠きけしからなさですぞ!


「桃のこと、はしたない子だって思わないでね? こんなお願いをするのは……世界中でごー様だけなんだから。すっごく大好きだよ……ごー様♥」


 すると膝の上に乗っていた桃ちゃんが、身体を半回転させて正面から抱きついてくる。彼女が小柄なのもあって抱っこをするような形になってしまうが、しかし押し付けられたFの弾力はこの世の物とは思えない。そして何より――


 ――女の子ってこんなに温かくて柔らかいんですねぇぇぇェェ!? そしてほんのり香るミルクと甘酸あまずっぱい汗の匂い。ううっ、頭がクラクラする……!


「うふふっ……御主人様ぁ♥ 私もこの世の誰より……御主人様を愛してるわぁ♥」


 さらにとろける蜂蜜はちみつのような声で、梨魅さんが僕の耳元にささやいていてきた。


 ――耳がゾクゾクするううぅゥゥ!? くすぐったさと気持ち良さが混じり合って頭がおかしくなるううぅぅゥゥ!?


「ちゅぱっ。ちゅぱっ。あへぁ……ごー様のゆび……おいひいよぉ♥」


 桃ちゃんはタガが外れたのか、恍惚こうこつとした表情で僕の人差し指をしゃぶり始めた。何てヌメヌメしていけない感触なんだああぁぁァァ!?


「はぁはぁはぁはぁ……御主人様ぁ♥ 私のパンティ食べてぇ~~?」


 梨魅さんも頭がおかしくなったのか、僕の口にぎたてのひもパンを突っ込んでくる。ほごぉ、形容しがたただれた青春の味がするううぅぅゥゥ!?


 ――もにゅっ。ぷにゅっ。ぐにゅっ。するする。れろん。さわさわ。ぺろっ。ねろん。ちゅぱっ。くにゅっ。くちゅっ。さすさす。こちょこちょ。


 視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚――五感全てに暴力的な快楽が僕の全身を襲ううぅぐうわあああぁぁぁァァァ~~!? うびゃあああぁぁ~~助けて麗華れいかさああああぁぁぁ~~~~ぁぁぁぁんッッッ!!



 あれから――どれほどの時がったのだろう。


「あ、あば……あば…………あば……………………あばばばば…………」


 朦朧もうろうとする意識の中で、それでも僕は耐え続けていた。こんな僕を愛してくれた大切なカノジョのために……もうその顔は思い出せないけど。


 しかしそれも……そろそろ限界かもしれない。


「はぁはぁはぁはぁはぁ……! 御主人様ぁ……私もう……本当に無理なのぉ……! ねぇ……お願いだから…………してぇ♥(コーチングを)」


「ふぅふぅふぅふぅ……! ごっ、ごー様……! 桃もガマンできないよぉ……! お願いだから…………してぇ♥(だからコーチングを)」


 ――むにゅうん。ぺろっ。にょんっ。ぴょろっ。びくんっ。はむはむ。かりっ。ぶにょっ。さわさわ。かぷかぷ。ふ~っ。れろれろ。かりっ。ねろ~ん。すりすり。もにゅうん。ぎゅ~っ。かりかりっ。ぺとり。ぎゅむっ。こりこりっ。ぺちんっ。かぷっ。ぐりぐり。ぎゅぎゅっ。きりっ。つ~っ。ぺたり。するする。がぶっ。きゅっ。くりくり。ずみょっ。さわわっ。しゅ~っ。ききっ。ごりっ。もにゅにゅにゅ~~。ねろれろぺろ~~。


(もうダメ…………だ……ごめ……ん……麗……華…………………………さ…………)


 そして僕は――可憐かれんみだらな小悪魔たちに魂を売り渡した。






 ――そして、翌日の昼休み。


「裏切ったわね、エージいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃィィィィィ!!?」


 あえなく桃梨コンビにボコされた麗華さん。ごめんでもむり。

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