年金だけじゃ暮らせない パートに深夜バイトで体は悲鳴…60代シングルの絶望 「枠から外れた私は死んでもいいと思われているみたい」
家賃は月5万円。猫がいなければもっと安い公営住宅に入れたかもしれない。だが「この“子”がいなかったら生きていけない」。医療費や光熱費、生命保険料、ガソリン代などを差し引くと生活費と食費に使えるのは月5万円ほど。孫にランドセルを買ってあげることもできなかった。
一緒に消えてしまいたい
専業主婦で夫の扶養に入っていた時期もあったが、パートや派遣社員といった立場や稼ぎに応じて年金保険料を支払ってきた。同世代の夫婦世帯の年金額は平均で年279万円。自分より額が少ない人もいるだろうが「世帯で月20万円以上もらえるならいいな」と思う。
離婚して1人暮らしをする女性の平均年金額は、自分とほぼ同じ年107万円余り。「この国の仕組みは夫婦で老後を迎えるのが“普通”。枠から外れた私は死んでもいいと思われているみたい」と感じる。猫にも白い毛が交じるようになった。「死ぬ時には一緒に消えてしまいたい」(文中仮名)
65歳以上の単身女性4割が標準所得の半分以下
日本の税制や社会保障は「男性が女性を養う」という性別役割意識を前提に世帯単位で設計される。全世帯に占める単身世帯は2020年の38.1%から50年には44.3%と上昇する見通し。東京都立大の阿部彩教授による22年の相対的貧困率(標準所得の半分を下回る水準で暮らす人の割合)の動向調査では、65歳以上の単身女性の貧困率は44.1%と全世代で最も高く、同年代の単身男性を14ポイント余り上回った。1985年の70.1%からは減ったが、背景には現役時代の男女の賃金格差などによる低年金があるとされる。