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米山隆一議員の日大批判投稿を検証~一部は削除済みだが事実誤認も

石渡嶺司大学ジャーナリスト
写真:イメージマート

◆「ReHacQ」で米山隆一議員が西田亮介教授と激論

4月29日、YouTubeチャンネル「ReHacQ-リハック-」で、立憲民主党の米山隆一衆院議員と、日大危機管理学部の西田亮介教授が出演した討論動画が公開されました(出演は他に同チャンネルプロデューサー・高橋弘樹氏、政治学者・東京大学教授の牧原出氏)。

筆者は高橋氏が手掛けた「日経テレ東大学」から「ReHacQ」開始時も含めてよく見ている方です。そのため、この回についてもどのような展開になるのか、楽しみでした。

ただ、結果としては、双方の意見がぶつかり、議論がかみ合わない状態の方が長いものでした。

米山議員、西田教授、双方とももう少し議論の進め方があったのではないか、との感想があります。

もっとも、筆者はコミュニケーション論の専門家ではないのでこれ以上は触れません。

◆米山議員、西田氏攻撃から日大批判に拡大

動画公開後、両者とも配信に関連した内容をXで投稿していきます。

なんと、場外戦がまだ続くとは、と思いながら観察していったところ、米山氏の投稿は西田氏批判から西田氏が所属する日本大学に対する批判にまで拡大していきます。

その批判が適切なものであればまだしも、ほとんどが事実誤認ないし的外れなものでしかありません。

大学評論を23年続けている筆者としては看過できず、5月1日に「米山隆一議員が討論番組の相手・日大西田教授に場外戦~「日大の補助金停止は妥当」投稿が物議 #エキスパートトピ」記事を投稿しました。

◆米山氏、日大関連投稿の一部を削除も

その後、日大批判投稿に対しての批判が強くなったこともあってか、5月2日には「これは言い過ぎましたので訂正・削除しています」(Xより)と投稿し、一部を削除していきました。

4日までに、米山氏は「ReHacQにおける西田亮介氏との対談について」と題し、混乱状態となったことなどについて謝罪。合わせて、日大関連の投稿については、「感情的で言葉が過ぎた部分はありますので、そう判断したものは削除します。日本大学についての言及の多くは削除します」と報告しています。

もっとも、筆者が確認したところ、5月5日15時現在、削除されていない投稿もあります。

それと、削除した投稿についても、それで日本大学への不当な評価がなくなったわけではありません。

国会議員という公人が誤った内容を投稿したことについて、削除ないし訂正したから済む、というのはやや無理があるように感じます。

米山氏と同じ立憲民主党に所属する山岸一生議員はSNS投稿と訂正について、次のような投稿をしています。

誤投稿はしないことが一番です。

ただ、誤った発信をした場合に「削除」だけをすることは「文書の破棄」と同じで適切ではないと考えています。

訂正済みの印を押したうえで「誤投稿をした事実」は削除せず、訂正の経緯を残しておくべきだと考えています。

※2024年7月13日投稿

色々なご見解がお有りかと思いますが、山岸一生および山岸一生事務所では原則的に「投稿の削除」はしておりません。

不適切な投稿については、謝罪のうえ、そのまま残す方針です。

「元ポスト」を削除することは「文書の改ざん」と同義と考えます。

「自分が誤ったこと→それについてどのように謝罪し、対応したか」を「保存すること」に意味があると考えております。

繰り返しになりますが、違うお考えの方もいらっしゃると思います。

違う考えの方を否定するものではありません。

※2024年3月9日投稿

筆者も全くの同意見です。

付言しますと、筆者もこのYahoo!ニュースエキスパート記事については、修正・加筆があった場合はできるだけ、追記をいれるようにしています(Yahoo!ニュースエキスパートトピについては仕様上、追記を入れずに修正することがあります)。

◆検証の前に~筆者の立場の確認

筆者は米山氏の日大批判投稿について検証しました。

結果、削除したもの、5月5日15時現在に残しているもの、どちらについても、事実誤認のものがほとんどです。

その検証結果について、以下、まとめていきます。

その前に、本稿の前提条件について、確認の意味で3点、整理しておきます。

まず、第一に、本稿は米山議員の日大批判投稿(削除済みのものを含む)について検証していきます。当然ながら事実誤認の内容については批判的なものになります。ただし、米山議員に対して、個人的・政治的に攻撃するものではありません。筆者は政治評論家ではないので、米山議員の政策等について論評なり批判なりするのは、それは別の方にお任せします。

第二に、「ReHacQ」の西田氏の討論スタンスについて、本稿では論評しません。

米山議員は西田氏個人と日本大学を結び付けた投稿をされています。5月4日投稿の謝罪文でも、次の一節があります。

「西田亮介氏は日本大学教授の肩書で権威づけられ、その肩書を使って活動し、番組当日もその肩書で登場し、日本大学も又その活動から反射的利益を得ている以上、一定の責任は有るものと思います」

この投稿からも、米山議員は西田氏個人と所属する日本大学を結び付けられています。本稿では、米山氏の日大批判の投稿について検証するものであり、日本大学の所属教員に対する監督責任(西田氏を含む)について、論評なり批判するものではありません。

本稿では、西田氏個人と日本大学は別の問題として取り扱います。筆者はコミュニケーション論の専門家ではないので、討論の是非などについては、それは別の方にお任せします。

第三に、本稿は大学ならびに大学行政についての理解が深まることを期待してのものです。米山議員・西田氏、どちらかに肩入れするものではありません。

念のため、付記しておくと、筆者は西田氏とはワイドショー(確か、テレビ朝日系「羽鳥慎一のモーニングショー」)とニュース情報番組(朝日放送「教えて!ニュースライブ正義のミカタ」)で、それぞれ1回、同席しました。筆者個人は西田氏の著作を読んでいます。ただ、番組で2回一緒になっただけで「西田氏は知人」とするほど、筆者は図々しくはありません。

また、この点をもって、どのように評価するかは読者諸氏にお任せしますが、客観的にはこれで西田氏のフォロワーとするのは無理があるのではないか、と考えます。

もちろん、そのような感想をお持ちになるかどうかは筆者の関与するところではありません。

米山議員については、筆者個人の政治信条とは異なる部分が多いのですが、それでも日本の政界をけん引していく論客の一人、と考えています。

繰り返しになりますが、筆者はあくまでも大学評論を続けてきた身として、米山氏の日本大学批判について検証していくものであり、米山議員・西田氏どちらに肩入れするものではありません。

以上、鬱陶しいようですが、筆者の立場についてご説明させていただきました。

◆検証1:「補助金停止は妥当」→無関係

それでは、すでに削除済みの投稿から検証していきます。

●削除済み投稿1

補助金が停止されているあの日本大学の危機管理学部という学部の教授。学生には「討論の場では大声で罵声を浴びせ続け相手に発言させない事がポイントだ」とでも教えているのでしょう。その様な教育を勝手にやるのは自由ですが、全く国の補助には値せず、補助金の停止は極めて妥当な措置だと思います」

※2025年5月1日投稿

補助金というのは私学助成金のことを指しているのでしょう。

私学助成金とは、私立学校振興助成法に基づく補助金です。

私立の大学・短期大学・高等専門学校の教育・研究条件の維持向上、および修学上の経済的負担の軽減に資するとともに、経営の健全性を高めるため、国が日本私立学校振興・共済事業団を通じて、私立大学等の教育・研究に係る経常的経費の2分の1以内の補助ができることを定めている(私立学校振興助成法4条)

結果的には、学生数・教職員数の多い大学ほど交付額が多くなり、日本大学は2020年、約90億円の交付を受けていました。これは全国の私立大学で2番目に多い額です。

さて、日本大学は2022年から4年連続で不交付となっています。

ただ、その決定には、西田教授の言説や教育等は一切、関係がありません。

米山議員投稿の「学生には『討論の場では大声で罵声を浴びせ続け相手に発言させない事がポイントだ」とでも教えているのでしょう』」の部分は、単なる憶測でしかありません。

※もちろん、西田氏の授業風景等の動画でそうした教育が確認できれば話は別ですが

この憶測を前提として、「全く国の補助には値せず、補助金の停止は極めて妥当な措置」と断じる投稿は事実誤認と言わざるを得ません。

◆意外と知られていない不交付ルール

日本大学が不交付となったのは、2021年、田中英寿・元理事長など経営陣が脱税事件で逮捕されたからです。

この不祥事により、日本大学は2022年度・2023年度の2年間、私学助成金が不交付(100%カット)となりました。

私学助成金の減額・不交付は減額幅が10%・25%・50%・75%・100%となっています。

10%~25%カットであれば、翌年の交付は復活。

50%カットであれば、翌年の交付は25%カット、と段階を刻むことになります。

それでは、不交付、すなわち、100%カットの場合は、と言えば、自動的に翌年も100%カットとなります。そして、3年目に75%カットとなり、4年目は50%カット、5年目は25%カットとなり、6年目にしてようやく、全額交付が復活します。

日本大学はこの私学助成金の不交付ルールに基づき、2021年度・2022年度の2年間、不交付となりました。

さて、この不交付ルールですが、自動的に段階を刻んで復活していくわけではありません。

文部科学省が改善していない、と判断した場合、あるいは別の不祥事等が起きた場合は、減額幅が翌年も持ち越しとなります。

実際、東京福祉大学は2024年度(決定は2025年1月)、6年連続で不交付となることが決まりました。

強制わいせつなどの罪で実刑判決を受けた元理事長を法人運営に関与させないとしながら、実際には順守されていなかったからです。

日本大学の場合、2023年7月にアメフト部の薬物事件が発覚しました。これだけなら、単なる学生の不祥事で終わったはずです。ところが、違法薬物(発見時は「違法薬物と思しきもの」)を当時の副学長が保管し続けてしまいました。本来ならすぐ所轄の警察署に連絡すべき事案です。

さらに、事件発覚後の記者会見や、副学長の進退の是非などで経営陣が対立、さらには、情報の報告・共有体制の不備なども発覚。「大学のガバナンスが機能していない」ことを理由に、不交付となりました。

その後、事件発覚時の学長、副学長、常務理事がそれぞれ退任しています。

2024年、今度は重量挙部で学費の違法な集金問題が発覚します。ニュース番組・ワイドショーなどではあまり取り上げられませんでしたが、大学業界の中では問題視されていました。本来なら適切に処理されて当然の学費支払が大学ではなく重量挙部幹部の個人口座に入る、不正徴収があったからです。それも、少なくとも10年は続いていました。

しかも、この問題も情報共有が学内でされておらず、「ガバナンス強化が不十分」として、不交付の継続が決まりました。

ここで、話を米山議員の削除済み投稿1「補助金停止は妥当」に戻ります。

西田氏が日本大学危機管理学部教授として着任したのは2024年4月です。

すなわち、私学助成金の不交付とは全く関係がありません。この点は、米山議員の事実誤認と言わざるを得ないでしょう。

◆検証2:「日大は財政が苦しいからタレント学者を教授にした」→財政が苦しいわけではない

削除済み投稿2~4については、ほぼ内容・文脈が同じなのでまとめます。なお、削除済み投稿2~4については、引用投稿を受けてのものであるため、合わせていきます。

●削除済み投稿2

(引用投稿)

西田さんの被引用数125(自己引用多数)。査読付雑誌は2、3しかない。「分野による」って言いますが、これだと研究能力が担保されてません。結果、西田氏のようなビジュアル系タレント学者が生まれてしまう。他方、比較の成田さん、幅広い領域で着実に業績を積上げげています。研究能力の差は言わずもがな。

(引用投稿に対して)

ええ。それが西田亮介日大教授のフェアな評価ですよ。TVに出ていると同じに見えますが成田氏とは雲泥の差です。そしてそんな西田氏が教授職を得られたのは日大が補助金不支給で苦境にあり、学生を集める必要があったから。それ自体は自由ですが、それを血税で補助する必要があるのか?は正答な疑問です。

※2025年5月1日投稿

●削除済み投稿3

(引用投稿)

ああ、あれは削除して正解ですね

西田氏が聞き間違いか、勘違いか、理解力がないのか、

「罵詈雑言」という言葉だけ取り上げて喚き散らしていた異常性と、

補助金の停止は因果関係がないと思われますので

(引用投稿に対して)

但し0ではなく、補助金不交付で財政が苦しい日大はタレント学者を教授にして学生を集めたく、タレント学者は業績ではなくタレント性で教授になりたく、研究・教育は二の次で両者の利害が一致したという事かと思います。そう言うガバナンス・運営管理がアカデミックか否かは評価されてしかるべきです

※2025年5月2日投稿

●削除済み投稿4

(引用投稿)

日大に失礼すぎるだろ。

(引用投稿に対して)

いや、西田亮介氏のアカデミックな業績で教授職を得られたのは、あの状態の日本大学だから、というのは、アカデミックの事情を知っている人から見たら、割とフェアな評価だと思いますよ。

※2025年5月2日投稿

削除済み投稿2~4をまとめると、「西田氏は業績不十分なタレント学者」「日大は補助金不交付で財政が苦しい」「タレント学者を教授にして学生を集める必要があったから」の3点です。

まず、「西田氏が業績不十分なタレント学者」についてですが、西田氏が「業績不十分」「タレント学者」と断じるのは主観によります。

「Google Scholar」で検索したところ、西田氏は131回でした。

なお、国立国会図書館サイトで検索したところ、著作は18冊(共著、監修を含む)でした。

これで「業績不十分」「タレント学者」とするのは大学業界内でも意見は分かれるでしょう。

論文や著作が西田氏より多いことで大学教授となる人もいますし、西田氏より少ないことで大学教授となる人もいます。

仮に「業績不十分」「タレント学者」だったとしても、大学教員として採用する大学は日本大学以外にも存在します。

もちろん、「業績不十分」「タレント学者」を大学教員として採用するのはおかしい、そんな大学には私学助成金を交付すべきではない、と主張するかどうかは人それぞれです。ただし、現在のところ、私学助成金の減額・不交付の事由としては5点ありますが、教員採用の是非に該当する項目はありません。

ア 法令の規定,法令の規定に基づく所轄庁の処分又は寄附行為に違反している場合

イ 学則に定めた収容定員を超える数の学生を在学させている場合

ウ 在学している学生の数が学則に定めた収容定員に満たない場合

エ 借入金の償還が適正に行われていない等財政状況が健全でない場合

オ その他教育条件又は管理運営が適正を欠く場合

※私学助成法5条

しかも、過去に、教員採用や一教員の言動またはパワハラ・アカハラ等を理由に私学助成金が減額・不交付となった事例はありません。

一教員のパワハラ・アカハラ等が発覚しても、大学内で処分するだけです。

過去の事例を見ていくと、「教育条件又は管理運営が適性を欠く場合」の項目に「業績不十分」「タレント学者」の採用が該当する、との主張は無理があるように感じます。

◆私学助成金90億円がなくても影響しない日大

削除済み投稿2~4のポイントのうち、「日大は補助金不交付で財政が苦しい」、これは明確に米山氏の誤解・事実誤認、と断言できます。

日本大学は巨大な学校法人であり、令和5年度決算書には、事業活動収入が1928億円(9ページ)、「基本財産+運用財産+収益事業用財産」の合計は7871億円(「令和5年度決算の概要」13ページ)もあります。

事業活動収入だけで比較すると、慶応義塾大学1775億円、東海大学1527億円、近畿大学1521億円、帝京大学1192億円、早稲田大学1052億円などとなっています(『日経業界地図 2024年版』より)。

志願者数がコロナ禍前に比べて減ったことは事実です。

2018年:11.5万人→2019年:10万人→2024年:7.5万人→2025年:9.2万人

※2018年・2019年・2024年は『蛍雪時代臨時増刊 全国大学内容案内号』(旺文社)各年度版に記載の数値、2025年は大学通信公表の数値

アメフト部薬物事件の影響を受けた2024年入試は志願者数が7.5万人で、悪質タックル騒動の影響を受ける前の2018年入試は11.5万人でした。受験料を3万円で計算すると2018年比で12億円の減収です。

私学助成金90億円と合わせると102億円もの減収ですが、財産合計が7871億円もあるわけで、その影響は軽微、と言わざるを得ません。しかも、2025年入試は志願者数が回復しています。

「大学財政が苦しい」→「タレント学者を教授にして学生を集める必要があったから」との主張は、無理に無理を重ねた主張であるように感じます。

むしろ、日本大学の財政が潤沢であるからこそ、西田氏を含む外部からの教員採用が可能だった、と見るのが自然ではないでしょうか。

◆日大関連の未削除投稿も

米山氏の日大関連投稿は削除されたものもありますが、未削除のものもあります。

筆者が確認したところ(5月6日11時現在)、8本ありました。

●未削除投稿1

西田氏は「日本大学教授」の肩書きを使って活動し、あの場でもそれを示して出演しています。西田氏の活動で、日本大学が評価・批判されるのは当然で、それがいけないなどと言うのは、単に批判されたくないがための西田氏のいつもの、「根拠なきトンデモ断定」にすぎません。

※2025年5月3日投稿

●未削除投稿2

パワハラ的なものを容認する大学と見られても仕方ないですね。勿論私は雇用関係にないので所謂パワハラとは違いますが、起こった事はパワハラそのもの、パワハラ上司に2時間に渡って理不尽な罵倒を受け続ける気持ちが文字通り嫌と言う程分かりました。

※2025年5月3日投稿

●未削除投稿3

いや、西田亮介氏は「日本大学教授」という肩書きであの討論に来たんですから、そりゃその肩書きにふさわしい人かどうかは評価の対象になるでしょう。極当たり前だと思いますが。逆にそういう肩書き無しでも、面白いことを言う人という評価な訳でもないですし。

※2025年5月3日投稿

●未削除投稿4

尚、今に至るまで西田氏からも高橋氏からも、この時彼らの方が完全に間違っていた事について一言の謝罪もありません。大学の事を言うななどと言われますが、この様な人物が大学で学生の教育・指導に携わっているのはホラーでしかないでしょう。それは大学のガバナンス・管理運営の在り様が問われます

※2025年5月1日投稿

●未削除投稿5

それに続く「日大批判」についてご意見は分かれるかもしれませんが、私はあの様な方が教授を務め学生の教育・指導に携わる事には、その怒声を浴び続けた者として強い危惧を禁じ得ません。人は多面体だとはいえ、私にあれを出来る人が、他の学生やスタッフに同じ事をしないとどうして思えるのでしょう?

※2025年5月1日投稿

●未削除投稿6

また仮に流石に自分に火の粉がかかる相手にはあんなことはしなくても、西田亮介教授のやり方が正当化され、それに感化された若者が大量に世に出たら、一体どうなるのでしょう?西田氏は政治家のマナーばかりあれこれ言いますが、大学教授も又世に大きな影響力を及ぼす職業であり、適正さは問われます

※2025年5月1日投稿

●未削除投稿7

●未削除投稿8

あの罵倒を見ると、日本大学は上から下までこうなのかなと、思わざるを得ないですよね。「ガバナンス強化が不十分であり、管理運営に適正を欠く」との評価(https://nihon-u.ac.jp/information/2025/01/15129/)は極めて妥当だと思います。

※2025年5月1日投稿

◆検証3:「日本大学が評価・批判されるのは当然」→無理がある

未削除投稿1で米山議員は「西田氏の活動で、日本大学が評価・批判されるのは当然」としています。

続けて、「それがいけないなどと言うのは、単に批判されたくないがための西田氏のいつもの、『根拠なきトンデモ断定』にすぎません」とも投稿しています。

討論における西田氏の言動が攻撃的なものであり、米山議員にとって不快なものだったとしても、それは西田氏個人の責任に帰するものです。

それを、西田氏が所属する日本大学にまで拡大し、「パワハラ的なものを容認する大学」(未削除投稿2)、「あの罵倒を見ると、日本大学は上から下までこうなのか」(未削除投稿8)などと結びつけるのはいかがなものでしょうか。

日本大学は教員数が3714人(令和5年度事業報告書20ページ/大学院・学部、専任教員・兼任教員の総計)もいます。

西田氏は3714人のうちの1人にすぎません。中には、米山議員ないし所属の立憲民主党を支持する(または好感を持つ)人も一定数はいます。本来なら味方となるはずの存在を米山議員は自ら遠ざけているように思えてならないのです。

◆検証4:「罵声を教えている」→米山議員の憶測にすぎない

未削除投稿7の「『討論は大声で罵声を浴びせ続け相手に発言させない事がポイント』とでも教えるのでしょうか。その様な学生が日本中に溢れるならそれはホラーです」ですが、これは米山議員の憶測にすぎません。

「討論は大声で罵声を浴びせ続け」た、と米山議員が西田氏に憤り、その点で西田氏を批判するのは米山議員の自由です。

しかし、その西田氏が所属する大学・学部の教育について、はっきりとした根拠がないまま、決め付けるのは国会議員の言動としては不穏当なものと言わざるを得ません。

もちろん、西田氏または他の危機管理学部教員が「『討論は大声で罵声を浴びせ続け相手に発言させない事がポイント』とでも教える」様子の動画なり、音声テープなり、はっきりとした根拠があれば話は別ですが。

◆検証5:「ガバナンス強化が不十分」→西田氏は無関係

未削除投稿8にある「『ガバナンス強化が不十分であり、管理運営に適正を欠く』との評価(https://nihon-u.ac.jp/information/2025/01/15129/)は極めて妥当」

との投稿ですが、これは西田氏は無関係です。

前記の通り、米山議員がリンクを張っている2025年1月の「ガバナンス強化が不十分~」は、重量挙部の学費不正徴取に関連するものです。

西田氏はこの学費不正徴取問題には一切関係がありません。

◆批判するなら事実・根拠に基づくべき

以上、ここまで米山議員の日大批判投稿について検証をしました。

米山議員の投稿のうち、「補助金停止は妥当」(検証1)、「日大は財政が苦しいからタレント学者を教授にした」(検証2)、「ガバナンス強化が不十分」(検証5)は事実誤認と言わざるを得ません。

「罵声を教えている」(検証4)も米山議員の憶測によるものでしかありませんでした。

「日本大学が評価・批判されるのは当然」(検証3)も、無理があります。

この点は、最終判断は米山議員のものだったとしても、それならば「日本大学についての言及の多くは削除します」との投稿と矛盾するのではないでしょうか。

少なくとも、事実誤認の部分については、該当する投稿を削除するのは当然として、合わせて、事実誤認だったことを認めるべきではないでしょうか。

討論における西田氏個人の言動等を問題にされるのはともかく、西田氏個人の問題を日本大学にまで拡大し、あまつさえ、その前提が誤った情報を元にされるのは、いかがなものか、と考える次第です。

筆者としては、米山議員は鋭い論客の一人であり、その力は文部科学行政を含む国政で活かしていただくことを期待しています。

◆「お前は何だ?」批判に答えたい

以上、米山議員の日大批判投稿について、削除済み・未削除のもの、それぞれについて検証しました。

もちろん、本稿の内容について、筆者の誤認等があれば、確認の上で修正します。ただし、前記の通り、西田氏個人と日本大学は別の問題として取り扱いました。そのため、西田氏個人の言動と日本大学を結び付ける主張に基づくクレーム等は一切受け付けません。西田氏が日本大学内での言動やパワハラ行為等を確認できる音声データなり動画があれば、話は別ですが。

それと、読者の方によっては、筆者が、2018年の悪質タックル騒動、2021年の田中元理事長逮捕、2023年のアメフト部薬物事件で、それぞれメディア出演し、その際に日本大学に対して厳しいコメントをしたことを覚えている方もいるでしょう。

筆者の過去の出演や言動から、「お前だって日大を批判したはず。人のことをあれこれとは言えないだろう」と批判される方もいるでしょう。

そうした批判について、お答えします。

筆者が、2018年、2021年、2023年にそれぞれ、日大関連でメディア出演したことは事実です。たぶん、各年とも100回前後はテレビ・ラジオに出演した、と記憶しています。

出演にあたっては、日本大学に対して厳しいコメントをした、これも事実です。

2023年の関西準キー局MBSの夕方のニュース(「よんチャンTV」)に出演した際は、「アホではなくバカですね」と言い切ったこともありました。ちなみに、関西圏では「バカ」が相当、当たりの強い言葉、ということを分かったうえでの確信犯です。

「ほら見ろ」と言われる方がいるかもしれません。

筆者はいずれも、日大の経営陣に対して厳しいコメントをしたのであって、日大の教職員や学生については厳しいコメントをしていませんし、同一視もしていません。

むしろ、「アメフト部(または経営陣の不正や内紛)と一般の学生は全く関係ない」「就職等に影響は全くない」などともコメントし、また、そうした記事も出しました。

理由は簡単で、アメフト部の不祥事(または経営陣の不正や内紛)と一般の学生、教職員は全く関係がないからです。

それに、就職については、該当するアメフト部員ならともかく、無関係の日大生を「不祥事のあった日大はお断り」と言えるほど、強気になれる企業はほとんどありません。

私の専門は大学と就職・採用・雇用でして、企業取材等で日大生への影響がほぼないことは早々につかんでいました。

だからこそ、アメフト部の不祥事(または経営陣の不正や内紛)と一般の学生、教職員は別、というスタンスでメディア出演していました。

特に、2023年の薬物事件については、前年に薬物使用が判明した段階で警察の捜査を受け入れるか、せめて、違法薬物(当時は「思しきもの」)を発見した段階ですぐ警察に連絡していれば、ガバナンス欠如云々という話にはなりませんでした。まして、当時の副学長(検事出身)が違法薬物(と思しきもの)を学内で保管し続けたことはとんでもない愚行だった、と今でも確信しています。

◆経営幹部から「法的措置」メールも

日大経営陣に対して厳しいコメントを出し続けたせいか、2023年8月には、当時の経営幹部のお一人から、筆者の言動に対して忠告(というか、恫喝?)のメールが届き、「法的処置も検討する」旨の記載もありました。

このメールを受け取ったときは、恫喝を受けたという恐怖よりは困惑でした。大騒ぎになっているところに、わざわざネタを自ら出すとは、どのような意図か、読めなかったからです。

仮にですが、筆者が「大学ジャーナリスト、経営幹部から口止めの恫喝」と、メディアに売り込んでいれば、またひと騒ぎになったはずです。

ただ、メール1本で筆者からアクションを起こすのもいかがなものか、と考えて当面は静観することにしました。もし、メール内容が本気で訴状などが届くようであれば、改めて対応を検討することにしたのです。

結局、その経営幹部はその後、経営陣の内紛の影響もあってか、退任してしまいます。訴状が届くこともありませんでした。

長くなりましたが、筆者は日大の経営陣に対して、厳しいコメントをすることはあっても、日大の学生や教職員を同一視したことはありません。筆者を批判される方には、この点、最後に弁明したく思います。

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ありがとうございます。
大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『就活まるごとガイド』(講談社)など累計35冊・68万部。 2025年秋に『採用のバカヤロー!』を刊行予定。

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