30日、川崎市内の住宅をストーカー規制法違反の疑いで警察が捜索したところ、床下部分でバッグが発見され、中から一部が白骨化した状態の遺体が見つかりました。
捜査関係者によりますと遺体を詳しく調べた結果、亡くなったのは、若い女性とみられ、死後1か月以上たっていて遺体には燃やされたような痕があったということです。
一方、死因は分からなかったということで、警察は身元の確認を進めています。
川崎 一部白骨化した遺体は若い女性か 燃やされたような痕も
川崎市の住宅から一部白骨化した遺体が見つかった事件で、亡くなったのは若い女性とみられ、遺体には燃やされたような痕があることが捜査関係者への取材で分かりました。
この家の住人と交際していた女性が相手からのストーカー被害を訴えたあと行方不明になっていて、警察は関連を含め詳しいいきさつを調べています。
5月3日の記事はこちらでご確認ください
遺体が見つかった住宅は去年12月から行方不明になっている川崎市内に住む岡崎彩咲陽さん(20)の元交際相手の自宅で、家族によりますと岡崎さんは行方不明になる前からこの元交際相手からのストーカー被害を周囲に相談していたということです。
元交際相手は4月上旬に出国して現在、海外にいるという情報があるということで、警察は何らかの事情を知っているとみて所在を調べるとともに、遺体が遺棄された疑いで詳しいいきさつを捜査しています。
行方が分からなくなるまでの経緯
捜査関係者や親族などへの取材で、岡崎さんが去年12月に行方が分からなくなるまでの経緯が明らかになってきました。
親族などによりますと岡崎さんは川崎市内のバーで働いていて、元交際相手が客として訪れていたということです。
去年の春ごろに交際
去年の春ごろに交際が始まったとみられ、まもなくDV=ドメスティックバイオレンスの被害を受けるようになったということです。
捜査関係者によりますと去年9月には元交際相手から暴力を振るわれたなどとして、警察に被害届を出しましたが、その後、この届は取り下げられました。
理由について父親は「被害届を取り下げるように元交際相手から脅されたためだ」と話しています。
別れたあとストーカー行為
2人が別れたあと、元交際相手は岡崎さんの自宅や職場の周辺をうろつくなどストーカー行為を行っていたということです。
父親は「行方不明になる直前には、娘は仕事の同僚などにも『殺されるかもしれない』とメッセージも送っていた」と話していました。
12月は警察署に9回電話
また、親族などは岡崎さんが去年の12月9日から行方が分からなくなった12月20日までの間に、9回にわたって警察署に電話をかけていたことが発信履歴から分かったとしています。
行方が分からなくなった当日は、祖母の家に身を寄せていたということですが、家の窓ガラスの一部が割られていたほか、岡崎さんの姿が見当たらなくなっていて、その後、家族が警察に行方不明届を出しました。
父親 “警察に毎日のように相談 怒りしかない”
行方不明になっている岡崎さんの父親の岡崎鉄也さんは2日、NHKの取材に改めて応じました。
鉄也さんによりますと去年6月ごろ、彩咲陽さんの顔が腫れていたことをきっかけに元交際相手を交えて話し合いをしたということです。
その際、元交際相手は殴ったことを最終的に認め「今後、近づかない」という約束を交わしましたが、その後もストーカー行為は続いたといいます。
去年9月には、元交際相手から暴力を振るわれたなどとして警察に被害届を提出しましたが、元交際相手から「被害届を取り下げなかったら殺すぞ」と脅され、結局、取り下げることになったということです。
さらに、彩咲陽さんが行方不明になってからおよそ3か月後のことし3月21日、鉄也さんが元交際相手を見つけて居場所を尋ねたところ「彼女とは会っていない」と繰り返し言ったということです。
彩咲陽さんはこれまでスマートフォンから頻繁にSNSの投稿をしていましたが、行方不明になってからは投稿が途絶え、電話もつながらなくなり、鉄也さんは事件に巻き込まれたと考え、警察に毎日のように相談していたということです。
鉄也さんは「娘は怖がりで泣き虫で1人でいなくなることはありえない。警察には状況を聞いても『言えない』の一点張りだった。元交際相手の住宅から遺体が見つかり、まだ決まったわけではないが娘の可能性が高い。結果として自分たちが言ったとおりになり、警察には怒りしかない」と話していました。
祖母 “警察は『事件性ない』と動いてくれなかった”
岡崎さんは祖母の岡崎須江子さんの自宅に身を寄せて一緒に暮らしていました。
須江子さんによりますと岡崎さんは去年12月20日の午前7時ごろ、2階の部屋で見かけたのを最後に行方がわからなくなったということです。
さらに2日後、別の部屋の窓ガラスの一部が何者かに割られていることに気づいたということです。
岡崎さんが以前から元交際相手によるストーカー被害に悩んでいたこともあり、何か事件に巻き込まれたのではないかとすぐに警察に相談しましたが、十分な対応をしてくれなかったといいます。
須江子さんは「警察は家に来ても写真も撮らず『事件性はない』と説明した。こちらが『防犯カメラを見てほしい』と何回言っても動いてくれなかった」と話しています。
SNSで情報提供を呼びかけ
行方不明になっている岡崎さんをめぐっては友人や家族によって情報提供を呼びかけるインスタグラムのアカウントが立ち上げられています。
そこには岡崎さんの顔写真や12月20日ごろから連絡がつかなくなっていることのほか、警察に電話した記録とされる画像などが投稿されています。
また、ストーカー被害の瞬間だとする動画も投稿されています。
アルバイト先の店長 “体の傷 何度か見たことある”
岡崎さんがアルバイトとして働いていた川崎市内のバーの店長は「明るい子で、常連客やみんなにかわいがられていました。お姉ちゃんと妹みたいな関係性だったので寂しいです」と話していました。
また、岡崎さんの親族から元交際相手に暴力を振るわれていると聞いていたということで、顔や肩にあざがあるのを見たことがあると言います。
店長は「何度か体の傷を見たことあります。『大丈夫なの?』と聞いても『大丈夫』と笑顔で返してくれるんですけど。内心、大丈夫ではじゃなさそうでした。ぶつかったにしては、ひどいよねみたいな感じのあざとかもありました」と話していました。
元警察官の飛松五男さん “警察の対応遅かった”
岡崎さんをめぐる警察の対応について父親は元警察官の飛松五男さんに相談していました。
飛松さんによりますと相談は4月、寄せられ「元交際相手からストーカーやDVの被害を受けていた娘が、去年の暮れから行方不明で、警察が捜査をしてくれない」という内容だったということです。
そのため、父親と一緒に担当する川崎臨港署に行き「事件性がうかがわれるので、今からでも遅くないから捜査してほしい」などと訴えたということです。
飛松さんは「基本的な捜査を進めたら1か月で解決する話なのに警察は捜してくれないし『事件性はない』と言う。最悪の結果になり悲しい」と話し、警察の対応が遅かったとして批判していました。
警察の対応は
岡崎さんは、家族によりますと行方不明になる前から「元交際相手からストーカー被害を受けている」などと周囲に相談していたということです。
捜査関係者によりますとこうした相談を受けて、警察は去年、元交際相手に対して複数回、口頭で注意していたとしています。
また、岡崎さんが去年12月に行方不明になったことを受けて警察としても事件性を疑い、元交際相手に任意で事情聴取を行ったほか、自宅を確認するなどしていたということです。
また、その後も防犯カメラの映像を確認するなど岡崎さんの行方を捜していたということです。
そうしたなか、4月上旬に元交際相手が海外に出国したという情報があったことなどから警察はストーカー規制法違反の疑いで捜索令状を取り、自宅を調べたとしています。
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