衝撃の精子提供スキャンダル 「医療上の大惨事」25人以上の子を持つドナーが85人以上も存在した
オランダでこの4月に導入された精子提供に関する登録制度により、驚きの事実が発覚した。 【画像】25人以上の異母きょうだいがいる子供が3000人以上存在する可能性がある 国立産婦人科医協会の新たな調査により、なんと25人以上の子供を持つ精子ドナーが85人以上もいることが判明し、大きなスキャンダルになっているのだ。 「マスドナー」と呼ばれる25人以上の子供を持つ精子ドナーは、オランダの法律上では本来、存在すべきではない。 にもかかわらず、その多くは26〜40人の子を持ち、なかには75人以上もの子を持つ者もいるという。 その結果、「オランダ国内には25人以上の異母きょうだいがいる子供が3000人以上存在する可能性がある」という。 この事実により、不妊治療システムへの信頼が大きく揺らいでいる。 Netflixでも取り上げられた世界中に550人以上の子供を持つスーパー・マスドナーのジョナサン・ヤコブ・マイヤーもオランダ人男性だ。 彼の精子提供により生まれた子供のうち100人以上がオランダのクリニックで誕生していた。
医療ミスではなく意図的な違反行為
この惨事は、いくつかの不妊治療クリニックによる深刻な違反行為によって起きたという。 同調査によれば、一部のクリニックでは、同一のドナーの精子が法律で定められた上限を超えて意図的に使用されていた。 また、精子サンプルをクリニック同士でドナーの同意や必要書類なしに交換していたことも発覚した。これによりドナーやその子供たちの追跡が困難な状況を生んでいる。 さらに、同一のドナーが複数のクリニックで上限以上の精子を提供するのを防ぐ仕組みも不充分だった。
法律はあったが最近までザルだった
オランダでは1992年以降、同一の精子ドナーが持てる子供の数は最大25人までと法律で制限されてきた。これは、不本意な近親相姦や近親交配のリスクを軽減するのが目的だった。 2018年に上限は12人に引き下げられたが、当初からオランダの厳格なプライバシー保護法のため、制限の施行は困難だった。 コードシステムを用いたドナーと母親の全国登録制度が施行されたのは「2025年4月から」とごく最近だ。 「これにより、私たちは初めてドナーひとり当たりの正確な子供の数を知ることができた」と、産婦人科医のマリーケ・スホーネンベルクはオランダのニュース番組「Nieuwsuur」で語っている。 体外受精で産まれた子供たちの親探しを支援する協会「Donorkind」のティス・ファン・デル・ミール会長は、今回の調査結果は「医療上の大惨事」だと英紙「ガーディアン」に述べている。 オランダは国土面積が小さい(日本の九州とほぼ同じ)ながらも人口密度が高い国だ。 そのような国では、同じ遺伝的背景を持つきょうだいが近くに住んでいる可能性が高くなり、偶発的な近親交際のリスクが増加する。 そのため、体外受精で産まれた子供たちは「将来、誰かと交際する度に、近親者でないことを確認するためにDNA検査を受けなければならないでしょう」とファン・デル・ミールは述べている。 現在、国立産婦人科医協会は正式な謝罪を表明し、関係者(母親、提供者、子供)に対しクリニックに連絡するよう呼びかけている。 オランダ政府は、クリニック間の情報共有と規制強化に向けた対策を進めているという。
COURRiER Japon