誹謗中傷への対抗策、急増する「開示請求」はどこまで有効か 多大な労力に釣り合わない成果「何の得もない」泣き寝入りする人も多数
■過去の恨みからつい投稿したものを開示請求された当事者
自身の投稿が誹謗中傷にあたるとして、開示請求を受けたナカムラさんは、「普段から自分の娘や妻に対して、公然わいせつの投稿を繰り返している個人のSNSアカウントがあった。その投稿を有名インフルエンサーがリポストしたとき、知り合いだと気づいて『あいつだ』と投稿した」ことがきっかけとなった。 開示請求する側の意見を聞いて、「“ぶつかりおじさん”のようなリプライに対しては、ガンガン開示請求すればいい」としつつ、自身の行動は「不注意だった」と反省する。「投稿者は、学生時代から私に、すれ違いざまに『デブ』とか『ブス』と言う人だった。それで私はメンタルが病み、摂食障害の時期があった。10年くらいたって、その人が炎上しているのを見て、『やっと罰された』とうれしくなった」。 その投稿者は炎上によって、3000人程度に対して、開示請求を行っているそうだ。「最初は弁護士を使っていたが、途中で『自分でもできる』と気づいて、示談金交渉以外は自力でやるようになった。個人訴訟により、片っ端から金銭を要求している状況だ」。
■開示請求する?しない?誹謗中傷への正しい向き合い方は
EXIT兼近大樹は、「開示請求の経験はあるが、お金も時間もかかった。相当悪質でない限り、もう二度とできない。タレントにはお勧めしない」と説く。「相手を特定しても、タレントをわざわざ誹謗中傷する人は、支払能力もなく、人生に絶望している人も多い」。 池田さんは「開示請求がもっと迅速に進むようになってほしい。プロバイダーが『ログがない』と言えば、そこで終わってしまう現状がある。プロバイダーに一定期間、ログの保存を義務づけるべきだ」と考えている。 ナカムラさんは「投稿する側のモラルも大事だ。私のケースは『娘にiPadを渡して、横でガンガンセックスしてやった』『子どもがいない人間はカス』などと書いていた。同じようなカテゴリーにいる人は、心を痛めて、つい強い言葉で反応してしまう。それを彼は、片っ端から開示請求して、示談金を強要する。モラルがない投稿をするほどもうかる仕組みができていて、そういう投稿をする人を規制できないと、ネットの治安は守れない」と心配する。 あおちゃんぺは、「納税していない人は、SNSを使えなくした方がいい」と提案する。「開示しても痛い目を合わせられない。精神病を抱える原因の7割が、ケータイから来ているという話がある。誰かと比べたり、誹謗中傷されたから自分もするようになったりするため、精神状態がしっかりしている人しかSNSはできないようにしないと、なくならない」。兼近も「早く免許制にして、ひとり一人が責任を負える状態にしてほしい」と願う。 デメリットばかりに見える開示請求だが、深澤弁護士は「うまくやれば黒字になる可能性もある。金銭面では譲歩しつつ、謝罪文を書かせて名誉回復させることもできる。悪質なものをピンポイントで狙えば、その後の抑止効果もかなりある。匿名で悪口を書く人は、あまり気が強くない。『自分も開示請求されるかも』と思うと、すぐに消える」といったメリットも挙げた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部