2025-05-05

転活でこれまでの職歴否定された


就職のことで悩みがある。今は夫の転勤先に付いていった元パート主婦という身分になる。

私の肩書は……特別区臨時職員。だった。正規公務員じゃなかった。この仕事に誇りを持っていた。

特に、私が7年間従事してきた「道路用地取得」という業務は誰にでもできる仕事じゃないと自負している。

そのスキルがあれば、転職ができると思っていた。それで、夫の転勤が決まったらすぐにハローワーク登録して活動を始めた。

それが全然うまくいかなかった……私が臨時職員だったから?それともスキル価値がなかったから?はてなには、転職活動キャリア形成に詳しい人がたくさんいると思う。もし読んでる人がいたら相談に乗ってほしいな。



私が担当していたのは、主に区道の拡幅や新規開通に必要土地の取得だ。古くから住宅地再開発エリアが混在している地域だった。

地権者との交渉(の補助)、測量の立会、登記手続き補償金の算定……。最初は右も左も分からなくて、悲しいくら通用しなかったけど、がむしゃらに勉強した。

専門書を何冊も読んで、先輩職員に食らいついて実務を覚えた。残業ができない契約形態だったから、役所にある書籍を家に持ち帰って勉強した。

難しい用地交渉も多かったけど、粘り強く向き合った。私が主担当案件というのはもちろんない。けど、私がいたチームが合意形成に漕ぎ着けた時の達成感は、何にも代えがたかった。

7年もやれば、一通りのことをこなせるようになった。正規職員でも、この業務を私ほど深く理解している人間は少なかった。正規職員さんは、2~3年で必ず別部署に異動になるから

「本当に助かるよ~増田さんがいてくれるから現場が回るし」

上司からのそんな言葉が、臨時職員という不安定立場にある私の心の支えだった。任期一年更新

いつまでこの場所で働けるか分からないという不安はあったけど、必要とされている実感があったから頑張れた。

私の人生に突然「まさか」が訪れた。

昨年に決まった夫の転勤だ。全国転勤のある職種から覚悟はしてた。まさかこんなタイミングで。単身赴任という選択肢もあったけど、話し合った結果、私も一緒に引っ越すことになった。

子どもがいたし、次の転勤先ではマイホームを買う話も一緒にした。次を最後土地にしたいって。夫の会社の慣習だと、次の転勤先が最後可能性が高いって。引っ越し先は、関西にある都心郊外だった。

新しい生活への期待もあったけど、一番の懸念は私の仕事だった。特別区臨時職員というキャリアは、地方でどれだけ通用するのだろうか。



夫と一緒に新しい生活の準備を進める傍ら、就職活動を始めた。最初にまずは……ハローワーク登録して、簡単キャリアカウンセリングを受けてからPC求職画面を眺めてみる。

この7年間で培った用地取得経験を活かせる仕事はないかな。そう考えて探した結果、目に留まったのは「測量会社」や「司法書士事務所」の求人だった。

測量会社では、用地測量や境界確定といった業務で私の経験が活かせるかもしれない。

司法書士事務所では、不動産登記に関する知識が役立つはず。何より、これらの求人は時給が良いものが多かった。臨時職員で働いていた時の時給(約1,250円)よりも、大幅にアップする可能性があった。

これまでの頑張りが、きちんと収入に結びつくかもしれない。ありがちな表現だけど、期待に胸を膨らませて履歴書職務経歴書を作って応募した。ひとまず5つ。

現実は厳しかった。5社すべて書類選考で落ちた。諦めずにハローワークにあるパソコン画面に向き合った。そして、さらに5社を見つけて応募した。

その時は……ひとつだけ面接に進んだけど、結果は不採用の通知。「経験は大変素晴らしいのですが……」と、面接官は歯切れが悪かった。

なんで。7年間も実務を積み重ねてきたのに、なぜ評価されないの。またさらに、5社見つけて応募した。この5社に応募した時、「私が見つけた測量登記会社5つ――3選」という言葉が浮かんできた。計15社ということになる。バカじゃないの?自分でも情けなくなるほど、つまらない冗談だった。

ある測量会社面接でのこと。私の職務経歴書をじっと見た面接官が、こう質問してきた。

増田さんのご経歴、拝見しました。特別区用地取得のご経験豊富とのこと。素晴らしいですね。御餅の資格はありますか?」

わず言葉に詰まった。

申し訳ありません。持っておりません」

「そうですか。やはり、実務経験重要ですが、弊社のような専門職現場では、土地家屋調査士や測量士といった資格が重視されます増田さんは、公務現場でもその……ご経験あると思うのですが、住民さんとか周りから見てハクが付くというか。あ、そうだ。測量士補だったら、御餅ですよね?」

私は「いいえ」と答えるしかなかった。面接官の言葉の続きを聞くのが怖かった。

私の7年間の努力は、資格という「形」がないだけで、そんなにも価値がないものなのだろうか。

そう、原因は資格だ。用地取得仕事は、民間企業だと、不動産鑑定士や土地家屋調査士や測量士、あるいは司法書士といった資格を持つ人が中心になって動く。

私の立場は、あくまでその業務サポートする、あるいは区役所側の担当者のひとりとして調整役を担うというものだった。実務経験豊富でも、法的にその業務を行える資格は持っていない。

道路用地取得登記業務だと、現場がすべて終わったものとして、まずは測量コンサルタント(道路用地の登記図面を作る)が作った地籍測量図など一式をもらうと、測点その他登記必要な事項の全確認をして、測量図の「作成者」のところに担当する正規職員名前を入れて、不動産調査報告書を作って、登記申請書を作って……毎週一度、法務局に行く便に合わせて登記申請をする。

ところで、公務職場正規職員でも専門資格を持っている人は……おそらく1%未満だ。じゃあ、役所の人がどうして測量登記業務独占の例外になれるかというと……うちだったら、区長から人事異動通知書がある。

そこには、税務・福祉その他の専門職の例に倣って、「用地取得・測量及び登記に関する~~業務を命ずる」とはっきり書いてある。だから資格のない公務員でも食券職権を使って測量登記ができる。私はそれすら(人事異動通知書)を持ってなかった。あくまで補助だから

だって資格を取りたかった。特に司法書士資格に興味があった。

でも、臨時職員として働きながらの資格取得は想像以上にハードルが高かった。試験勉強に充てる時間を確保するのは難しかったし、高額な予備校に通う経済的な余裕もなかった。

正規職員だったら資格取得のための支援制度があるけど、臨時職員にそういった制度はない。

わかってる。資格がないと、専門性客観的証明するのが難しい。それが社会の仕組みだと思うよ?

でも、ここまで長期間、泥臭く実務をこなして、地権者の想いに寄り添って、複雑な法律手続きを学んできたこ経験は、一体何だったんだろう。

測量会社司法書士事務所だけじゃなくて、他の一般企業事務職視野に入れてみたけど、いい結果は得られなかった。年齢かもしれないし、土地柄かもしれない。

でも、一番の要因は、あの面接官の言葉に集約されている気がする。私のこれまでのキャリアは「資格がない」という一点において、否定されてしまったんだ。



結局、ハローワークだけじゃなくて、ビズリーチも、ほかの転職サイトも、リクルートエージェントにも登録してみたけど、ダメだった。

今は、専業主婦をやっている。家事育児はしやすいけど、心に何か穴が開いたような気がして。これまでの努力無駄だったと言われたような、そんな絶望感が胸に広がってる。

私は、これからどうすればいいんだろう。7年間積み重ねてきた経験は、もう役に立たないんだろうか。

新しい土地で、私はどんな仕事を見つければいいのだろう。

頭の中が真っ白になってる。仕事したい。仕事がしたいよう。

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