複数の演算が登場する式で注意しなければならないのが、計算をする順序です。誤った順序で計算すると、一つひとつの計算は合っていても、答えが間違っているかもしれません。
さて、今回の問題、あなたは正しく計算できるでしょうか?
問題
次の計算をしなさい。
9+4−9×4÷9
解答
正解は、「9」です。
迷わず答えられたでしょうか?
次の「ポイント」では、正しい計算過程にプラスして、計算を楽にするためのコツも一緒に解説します。
答えが違っていたという人も、答えは正しかったけれど計算を楽にする方法を知りたいという人も、ぜひご覧ください。
ポイント
今回の問題のポイントは、「掛け算と割り算を先に計算すること」です。
計算順序には一定のルールがあり、このルールに従うことで正しい答えが算出できます。
<計算順序のルール>
次の順序で計算します。
1.( )の中
2.掛け算・割り算
3.足し算・引き算
※同じ優先順位の計算がある場合は、左から計算します。
では、このルールに従って問題を計算していきましょう。
9+4−9×4÷9
計算順序のルールでは( )が最優先でしたが、この式には( )がありません。よって、最初に計算すべきは掛け算・割り算になります。
式には掛け算も割り算も含まれていますが、「同じ優先順位の計算がある場合は、左から計算します」というルールにより、左にある「9×4」から計算を始めましょう。
9+4−9×4÷9 ←最初に掛け算
=9+4−36÷9 ←次に割り算
=9+4−4
残りは足し算と引き算です。二つの計算の優先順位は同じなので、先ほどと同じく左にある足し算から先に計算します。
9+4−4 ←足し算から計算
=13−4 ←最後に引き算
=9
これで答えを出せましたね。
【発展編】より簡単に計算する方法
ここまで解説してきた内容は正攻法での計算方法です。
実は今回の問題には、もっと簡単に答えを出す方法があります。少し難しめの内容ですが、余力がある人は参考にしてください。
まずは、最初に計算する「9×4÷9」ですが、割り算を分数形式で考えると、次のように計算できます。
9×4÷9
=9×4÷9/1
=9×4×1/9
=(9×4)/9 ←分子と分母を9で割って約分する
=4
「分子と分母を逆にして掛ける」分数の割り算と「約分」の仕組みを利用して計算を簡単にしました。
これで式は次の形になります。
9+4−4
ここで、「+4−4」が互いに打ち消しあって0になる計算だということに注目します。この部分から先に計算できれば、とても楽ですね。
実は、足し算のみの式であれば、左から順番に計算するというルールにこだわらず、どこから計算してもよいという法則=「結合法則」が使えます。この式には足し算と引き算が混じっていますが、「+4−4」を「+4+(−4)」という足し算形式にすれば、結合法則により順番を問わずに計算ができます。
9+4−4
=9+4+(−4) ←足し算のみの式になる
=9+{4+(−4)} ←結合法則により4+(−4)=4−4から計算してもよい
=9+(4−4)
=9+0
=9
この計算過程なら「9+4」をせずに済むため、より効率的です。
なお、今回の問題は二つの数(9と4)が繰り返し使われていたため、工夫がしやすくなっています。このような計算の工夫を知っていれば、より難しい計算に挑む際に役に立つかもしれませんよ。
まとめ
足し算・引き算が式の最初に書かれていても、その後ろに掛け算・割り算が出てくるのであれば、先に計算すべきは掛け算・割り算の部分になります。このルールは、計算の基本として非常に大事なので、ぜひ覚えておいてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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