神奈川県藤沢市に呼ばれて行ったら、呼んだ人と連絡が取れなくなった。こういうことは結構あって、連絡が来た時にそんな気がしたのだが「その通りやないかーい！！」と凹んだ。凹んだと言うのは嘘で、慣れているからノーダメージ。ＳＮＳで「諸事情が爆発して藤沢で暇になった。昨日から何も食べていないからおなかぺこぺこ」と投稿したら、藤沢在住の女性Ａ様から「高校一年生の息子に金を持たせたので、息子と一緒においしいごはんを食べてください！！」と連絡が届いた。

小田急藤沢駅の改札前に行ったら、なにがなんだかわかっていない顔をした高校一年生がそこにいた。君が◯◯かいと声をかけたら「はい」と言うので、今日は頼んだよと言ってお店に向かった。息子は非常に出来た男で「僕も母から小遣いをもらっているので、僕に気を遣わなくても大丈夫です」と言った。それよりも坂爪さんの生き方に興味があります。本を書いているのですか。どうやって稼いでいるのですか。毎日どんな感じで過ごしているのですか。など。様々な質問を受けた。

改めて私の生き方を紹介すると、まず、収入はない。記事は書くが、全部無料なので稼ぎにはならない。私の記事を読み「会いたい」と思った人から連絡が届き、特に何もくれない人もいれば、メシを食わせてくれたりカネをくれたりする人がいるから、ギリギリなんとかなっている。テレビには出ない。テレビでは話せないことを話したい。帰る家もない。正確には熱海に一軒家があるが、困っている人に使わせていたら困っている人が続出して、家主の私が使うスペースがなくなった。だからあれだよ、君のお母さんも俺の「藤沢駅で困ってる」みたいな投稿を見てくれて、私を生かしてくれた恩人の一人なのだよと息子に言った。

息子は「めっちゃ面白い生き方ですね。俺、そういうのめっちゃ楽しそうだなと思います」と言った。そりゃそうだろう。俺も、高校一年生の時にこんな奴に出会ったら興味を持つ。息子は礼儀正しいイケメンで、自分の話をする時も「これは自分の話になっちゃうんですけど」と、丁寧な前置きを置いた。出来た男だ。年齢は関係ない。五十を超えてもゴミみたいな豚もいるし、十代でもしっかりしている狼もいる。我々は、藤沢の無国籍料理屋でジャークチキンを食べながら「邪悪っていいよね」と語り合った。実に良い時間だった。

賢く生きようと思うとバカになる。好きでもない奴と「人脈を広げたいから」みたいな付き合いをすると、賢くしか生きられないバカになる。賢いバカのつまらなさよ。どうせなら、正真正銘のバカになろう。損得だけでなく「ただ楽しいから」「ただ好きだから」で動ける男は、気持ちいい。女も同じだ。女は、嘘をつく時ソプラノになる。うざったいったらありゃしない。ベース音を響かせろ。生きる地鳴りになれ。正義を疑え。私は正しいことをやっていますとアピールする奴は、全員疑え。弱者の味方になるな。好きな人間の味方になれ。正義を振り翳す奴が一番の悪なんだよ。賢く生きるとバカになる。賢くしか生きられないなんてバカだよ。弱者には死んでもらえよ。弱者の味方になるなよ。好きな人間の味方になれよ。