東京地検が2件の重大事件に関する刑事確定記録を廃棄していたことが、関係者への取材で分かった。歌舞伎町ビル火災(2001年発生)と、北朝鮮工作員によるスパイ事件(1985年発覚)の協力者に関する事件で、ともに保管期間は満了しているが、警察が関連事件の捜査を続けている。関係者によると、新たな逮捕者が出るなど進展があった場合、地検の捜査に影響するおそれがあるという。(鈴鹿雄大)
◆放火殺人の可能性で捜査継続
地検によると、2件とも、判決文以外の記録は保管期間を満了したため廃棄した。廃棄の時期は明らかにしていない。東京新聞の取材に「個別具体的な事件の記録の廃棄に対する所見は、今後の捜査・公判への影響が生じる恐れがあることから、答えを差し控える」とコメントした。
東京・歌舞伎町の雑居ビル火災は2001年9月1日未明に発生し、火災で戦後5番目に多い44人が死亡した。防火管理を怠ったとして、ビル所有会社の実質経営者ら5人が業務上過失致死傷罪などで有罪確定している。何者かによる放火殺人の可能性もあるとみて、警視庁が捜査を続けている。
スパイ事件は「西新井事件」と呼ばれ、蓮池薫さん夫妻を拉致した疑いのある工作員の男チェ・スンチョル容疑者=複数の容疑で国際手配中=が日本人になりすまして十数年間、日本で情報収集などをしたとされる。廃棄されたのは、チェ容疑者の協力者で、外国人登録法違反の罪で有罪判決が確定した男性の記録。警察はチェ容疑者が複数の事件に関わったとして、国外移送目的略取などの疑いで行方を追っている。
◆容疑者を逮捕しても、証拠能力が…
関係者によると、今後それぞれの事件で逮捕者が出た際、廃棄によって検察側の証拠が失わ...
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