林業の人材確保へ「かごしま林業大学校」開校式

林業の人材確保に向け「即戦力」となる担い手を育成する「かごしま林業大学校」の開校式が行われ、1期生となる13人が決意を新たにしました。

かごしま林業大学校は、林業の担い手不足を背景に「即戦力」となる新たな担い手を育成しようと県が今月設置し、10日、県と連携協定を結んでいる鹿児島大学で開校式が行われました。

式では、塩田知事が「林業の基礎から最先端に至る幅広い知識と技術、そして安全意識を1年間で身に付けていただき、これからの本県の林業をけん引する人材となることを期待しています」と式辞を述べました。

そして、1期生となる18歳から53歳までの13人の名前が読み上げられ、1人ずつ起立すると、出席者から拍手が送られました。

このあと、新入生を代表して上野剛さんが「鹿児島の林業を支える人材として成長し、この地の森林資源を守り育て、持続可能な未来を築くために努力を重ねることを誓います」と決意を述べました。

かごしま林業大学校は研修終了までの1年間、姶良市の研修施設と垂水市の演習林で基礎知識や技術、資格を取得するための研修を行うとともに、ドローンを使ってスマート林業に対応した研修なども行うということです。

式のあと、新入生の小島脩太郎さん(18)は「自分を今まで支えてくれた出身のさつま町や鹿児島県の役に立てるよう頑張りたい」と話していました。

【林業大学校 背景には担い手不足】

なぜ県は林業大学校を開校するのか、背景には担い手不足があります。

県によりますと、県内で林業を仕事にしている人の数は近年、緩やかな減少傾向が続いています。

その数は令和5年度末の時点で1401人となっていて、今と同じ手法の統計が残る昭和55年度以降で最も多かった昭和57年度の5401人のおよそ4分の1まで減少しています。

県は減少の背景に、森林所有者の高齢化が進んでいることに加え、ほかの産業と比較して所得が低い傾向があり、雇用が安定しないこと、労働災害の発生が多いことなどがあるとしていて定着率の低さが課題となっています。

今回、開校した林業大学校のカリキュラムでは、通常は働きながら数年かけて取得する林業で必要な資格が1年で取得できるため、就業後の負担が軽減され、最初から一定の知識がある状態で業務にあたることができ、定着率の向上が期待されるということです。

県は林業を取り巻く状況について、「現状のままで推移すれば、森林の公益的機能=緩やかに水を供給する保水機能や、土砂災害を防止する機能の発揮にも多大な影響を与えるおそれがある」としていて、林業大学校の開校が継続的な担い手確保のきっかけとなるのか、注目されます。


鹿児島のニュース