第4回玉木氏「何十年ぶりの政局になる」 ポピュリズム指摘に「他党も…」
国民民主党は、どのようなSNS戦略で党勢拡大を図ろうとしているのか。そこから派生する「ポピュリズム」批判についての受け止めや、参院選後の展望について、玉木雄一郎代表が4月24日、朝日新聞のインタビューで語りました。
――街頭演説の聴衆は若い人たちが目立ちます。民主党時代とは雰囲気が違います。
違いますよね。かつての人はほとんど立憲民主党(の支持)に行っているんですよ。
――玉木さん個人のユーチューブの登録者数は国会議員の中でも際立っています。
これしかなかったんですよ。小さな政党になると、驚くほど既存メディアから取り上げられなくなるわけです。でもこっちは言いたいことも政策もある。だから独自のメディアを持たなきゃということで、ユーチューブを始めたのが7年前。それは戦略というものではなく、背に腹を代えられなくて始めたんです。試行錯誤し、鳴かず飛ばずだったんですが、いまは60万人ほどの登録者数になりました。少なくとも党首の中で、自分でこれだけSNSをやっている人はいないと思う。
失敗したり、炎上したり、いろいろなことを経験しながら、血肉のようにノウハウをため込んできたという感じです。面倒と言えば面倒なのですが、発信だけではなく、「いいね」をつけることも含めて活動なんですよ。
集票につながるのは地上戦もネットも「どぶ板」
――ご自身で「いいね」をつけるのですか。
全部やっていますよ。秘書や業者に任せるのでは、SNSの良さは出ません。自分でコメントも書き込むし、移動中に「いいね」を押す。こうした反応をすることで、アルゴリズム上、私への(反響)が上がってくる。リアルな活動でも訪問活動をしたり、街頭に立ったりをしますが、ネットも一緒です。地上戦もどぶ板、ネットもどぶ板で初めて集票につながります。
――「年収の壁」や若者減税法案などの政策では注目を浴びますが、「世論受けを狙ったポピュリズム(大衆迎合主義)」との批判もあります。財源を示していないとの指摘もありますが、どう考えていますか。
でも、他党も財源を示していないですよね。うちだけ最近、「財源、財源」と言われますが、(他党は)財源以前に政策がないじゃないですか。そういう政策を出して財源の議論ができるような論争をしたら良いと思うのですが、(他党には)年収の壁や若者減税のような、特徴的な何か(政策が)あるんですかね。
財源を理由に新しい政策を語らない、言わない、考えないのは良くないと思いますよ。ポピュリズムと言われるのは、それだけ国民から見てポピュラーな政策だからですよ。
SNSもそうですが、(国民民主は)いろんな政策を訴えるわけです。その中で「いいね」が多い場合は残す。(ネットで)受けないと思ったけど、受けたものは前に出したりして、ある意味、毎日「世論調査」をしながら、強調すべき政策を選んだり変えたりしています。トレンドチェックも常にしています。「しすぎ」とも言われますが。
――党内の会合では「何十年ぶりの政局が起こる。起こしていかなければ」と発言していました。どのような意味ですか。
国会会期末(6月22日)から、何十年ぶりの政局になると思いますよ。5月の連休明けから会期末、そして都議選、参院選とありますからね。これは日本の政治を大きく変える数カ月になると思います。
連立を組める政党はどこ?
――参院選後の連立のあり方について、記者会見では「手取りを増やす枠組みでは協力」と発言していました。原発、安全保障政策の違いから、立憲とは難しいのでは。
立憲の中にはそういう(国民民主と政策の違う)方がいらっしゃいますからね。いま言えることは、誰と組むかよりも何をするかです。何をするかを選挙で掲げ、正当性を持って戦いたいと思っています。
――連立は自公だったらあり得るのでは。
党首討論でもそうでしたが(石破茂首相は)ちょっと減税をやろうというと(態度が)硬いですしね。そっちはそっちで問題が山積していますね。
――日本維新の会との連立はどうですか。
維新は大阪と東京とではちょっと雰囲気が違いますからね。全体のまとまりとして、誰と話して良いのか……。
――今後の政界再編の可能性、必要性についてはどう考えていますか。
もういままでの政党の枠組みが、大きな世界の変化に対応できなくなっているような気がします。昨年の衆院選で起きた与党過半数割れというのもその序章だと思っています。この参院選以降、何十年ぶりの大きな日本の政治史に残るような変化が起きる可能性はある。ある意味、それを主導的に起こしていきたいなと思います。
――政界再編を仕掛けていきたいということですか。
仕掛けるというよりも、日本国内の課題、米国をはじめとした世界の課題に対応できる政治を作っていかないといけないと思います。政治の安定が必要です。いまの政治の延長線上で、変化に対応できる政治的な枠組みを作れるかどうか。いまのままだと無理だと思いますね。
――その中心的な役割を果たしていきたいということですか。
そうですね。それを果たせるような意思と能力を持った政党でありたいと思っています。
――玉木さんは参院選後に首相を目指しているのですか。
もちろん目指しています。公党のトップとして、逆に首相を目指していない人はいないんじゃないですかね。
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- 【視点】
次回に批判的な記事が出ることになっているが、記事の談話からは二点これまで議論されてこなかった点に触れてみたい。 1つは「他党は」「公党なら」といった問題を他党にすり替える議論がすぐ出てくる。自分の党として独自にやり抜くことを述べていない。政策の付け替えは一見国民目線のようで、逆に言えば信念がないということである。ここはもっと質してもよいところだろう。 2つは、玉木氏のいう「政策」の小ささだ。最後に「世界の課題に対応できる政治」というが、国民民主党にその準備はないだろう。「手取りを増やす」というのはいってみればアプリのポイント加算の小さな小さなテクニックをことさらに取り上げているにすぎない。公共政策論という学問分野から見れば、「政策」の名に値するとは言いがたいテーマしか議論していない。ここまで政策を小さく刈り込んだ議論に終始した政党が、「政界再編」など仕掛けられるわけはない。 もちろん考えていないわけはないだろうが、そうした大きな政策構想を準備したところでSNS映えはしない。つまり、本来の政治はSNS映えするわけはないのである。「政策」と銘打った小ネタをSNSに落とし込んで支持率を高めるしかないところに玉木氏の手法の限界がある。不人気な財源論から逃げているのも結局はそうした手法の帰結でしかないだろう。それで首相を目指すというのは、地下アイドルが「全米トップチャート1位になります」と言っているようなものだろう。政局の流れで玉木氏擁立のような動きがあるのは当然としても、有権者はSNSの支持・不支持というTLの流れの奥底で、事態をよく見ていることを念頭に置くべきだ。玉木氏の手法を推し進めれば日本政治全体の兵庫県化となるだろうが、兵庫県の混乱は多くの日本国民の教訓となっており、昨年のように、そうたやすくSNSが国民の巨大なうねりになることはないのではないかと私は見ている。 さらに、「ツイ廃」を自称する玉木氏だが、国民民主党がさらに党勢拡大した後でも同じことを続けられるわけがない。今までの手法はあくまでも極小政党だったから可能であったにすぎない。玉木氏がSNSから離れれば、この党の支持が下がることもほぼ明らかだ。この特集は、もっと国民民主党の一般議員から話を聞くべきではなかったのだろうか。この党が今のまま選挙で多数の議員を増やしたとして、その後に待っているのは党内ガバナンス不全だろう。第三極として期待されて議席を伸ばし、その後スキャンダルや内紛で支持を下げたという維新がこれまで何度もたどった道である。この点をもっと掘り下げた特集を期待したがどうもそうなっていないようだ。そこを掘れば、選挙後の政界再編どころかガバナンスの効かない国民民主党の解体再編も視野に入ってくるだろう。 「政党ひとり」ではなく「政党組織」としての国民民主党への突っ込んだ取材に期待したくなる。またぜひ「立憲民主党研究」も。(語句修正の上再投稿しました)
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