| ¨ |
[R] No.1198
カップルがいた。職場の同期。お互い仕事も…給料も将来性も理解している。
普通に結婚するんだろうなぁ、とお互いなんとなく感じていた。 だけどそれができずにいた。 (マジメな顔に似合わないイイ体してるのに、セックス積極的じゃないんだよなぁ。もっとヤりまくりたい) (彼、エッチすぎるのよね。わたしあれ、はじめちゃうとエッチなバカ女みたいになっちゃって恥ずかしいのに) そんな時、男がすこしエロい雑誌の広告に興味をもった。 『お互いの体を取り替えて、お互いをもっと知ってみよう。 どうしていいか分からない初心者カップルにも。 最近マンネリだという熟練夫婦にも。 彼女のどこが感じるのか、エッチになった自分に彼氏がどう感じているのか。 知っていればこれからの性活が豊かになります』 男は思った。 (ヤりたい男の気持ちがわかれば、もっとヤらせてくれるかも) 女は思った。 (恥ずかしいのにエッチになっちゃう悔しい気持ち、思い知れば少しは遠慮してくれるかも) 二人はその広告の店に行った。 |
| ¨ |
[R] No.1199
期間は一週間。それくらいなら仕事を休まなくても、同じ職場の同期だしごまかせそうだった。
怪しげな店かと思っていたが本通りに面した清潔なオフィスで、本人確認や手続きは厳格だった。騙されて体を盗まれる、といった事件を防止するためだそうだ。 だが店主はニヤリと笑った。 「一週間後来ないと罰則もありますし、警察も動くので逃げれませんよ。 でもどうしても戻りたくない場合はご相談ください。そういう手続きもありますので」 二人はそんな話を笑い飛ばした。 「いえ、彼女に俺の気持ちをもっとよく知ってほしいだけですので」 「えぇ、私たちの幸せな将来のために」 入れ替わりはあっけないほど簡単だった。 事務用の椅子に座らされて、線が何本かつながったヘルメットのようなものをかぶったら、気がついたら隣に"自分"が座っていた。 「へぇ、なんだか体がガッシリした感じね」 男…いや、中身は女だ。女は腕をまわしてその感覚を確かめていた。 だが彼女になった男のほうは恥ずかしそうな、でもどこか鼻の下を伸ばしたような表情をして黙ってうつむいていた。 (うわ、おっぱいの感じ、なんかエロい。彼女のパンティが股間に…ぁ、勃つモノがないのになんだか…) 男は気づくはずもなかった。それは彼女が嫌がっていた、勝手に体がエッチになっちゃう感覚なのだとは。 |
| ¨ |
[R] No.1200
「な?勃ってきたってことは分かったろ?」
男にプレゼントされたが彼女は着なかったエッチな下着。男はそれを自ら着て、自分になった女を挑発して喜んでいた。 だが女は覚めていた。体はエッチな状態なのに、頭は覚めていた。どうにでもしてほしいバカになっちゃうような女とは全然ちがう。 この男はやっぱり分かってないと思った。 「じゃぁ、次はあなたがわたしの気持ち、わかる番ね」 「いや、俺はいいよ、ちょ…マジでい…ぁ、あ?」 「あらぁ、そういいながらもう少し濡れてる。自分で選んだエッチな下着きて、エッチな気分になっちゃったのね」 男は迷った。 せっかく男のヤる気分になった彼女を止めたら入れ替わった意味がない。 でもこのままじゃ自分にヤられてしまう。 だが決断する必用はなかった。迷ってる間に押し倒されてしまったから。 「ぁ…ぁ、あ♪だ、だめ…そんなの…ぁああ♪」 「男のくせに可愛い声だしちゃって。全然ダメに見えないよ。わからせてあげる。ダメなのにダメじゃなくなる気持ち」 女も楽しみ始めていた。何もかも分からなくなる女の感覚とは違う。 …そう、自分の意思のままに楽しむセックス、相手をあの感覚に堕とすエンターテイメントとしてのセックスを。 「ぁ、ぁん、ぁ…ふぁあああ♪ぁ、きゅぅ…」 そして男も何も考えられずに、ただただ快感の波に押し流される快楽に溺れていった。 |
| ¨ |
[R] No.1201
「男の人がなんで女の子にエッチなことしたがるか分かった気がするわ」
その彼女の言葉を、男はまだ引かない快楽の波のなかでトロンとしながら聞いた。 「あなたも気持ちよさそうだったよ。自分に抱かれて」 「な…!そ、それはおまえの気持ち知りたくてだなぁ」 女は思った。彼氏も少しは自分の恥ずかしさを分かってもらえそうだし、一週間毎日思い知らせてやろうと。 男も思った。彼女もセックスを楽しんだみたいだし、もっと楽しませてやれば俺のヤりたい気持ちにも気遣うようになるだろう、と。 (それに男のセックスって結構楽しいし) (それに女のセックスって結構気持ちいいし) こうして一週間がたとうとしていた。 「はぁ、はぁ…私のここ、イイでしょ?ほら、もっとバカになっちゃいなさい」 「ぁ…ぁ、あ、あああ♪そこ、そこぉおお♪」 「ほぉら、男のくせにおちんちんで気持ちよくなっちゃって。男とどっちがいい?」 女はどうすればエッチになるか分かってる自分の体を、容易に攻略して楽しんでいた。 「いい、女のセックスいい…だから、もっと、もっとぉぉおお♪」 男は自分が男だったことも忘れるほどに溺れさせられる快楽を貪っていた。 「ねぇ、ずっとこのままでいてくれたら、あなたの希望通りいつでもセックスしてあげる」 「うん…俺もこのままいっぱい気持ちよくして欲しい♪」 |
| ¨ |
[R] No.1202
「なるほど。このまま戻りたくない、と。わかりました。二つ方法があります。
ひとつは正式に手続きをして、お互いの体を入れ替えたことを公認するものです。 社会的には元の自分のままお互いの体を入れ替えたことになり、周囲にもそのことを知らせて問題ありません。 もうひとつは…戻った書類だけわたしが提出しておくことです。実際は戻らないまま。周囲にも秘密で、お互いになりすまして、お互いとして今後の人生を歩みます。 どうしますか?」 女…これからは男は答えた。 「わたし…俺は正式に手続きしたほうがいいと思うな。そんな恥ずかしい状況のあなた…君をもっとエッチに楽しませたい」 だが女になりはてた男にも、まだ一辺の誇は残っていた。 「そ、それはいやだ!そんな恥ずかしいことになるくらいなら元に戻る!」 「では戻らなかったことは秘密ということですね。ですが当店にもリスクがある話。せめて広告のモデルくらいにはなっていただきますよ。利用して戻った感想、という形にするので、戻ってない疑惑も発生しにくくなりますし」 こうして二人はお互いとして生活することになった。 そしてすぐに結婚を決めた。 元の性の時はあんなに迷ったのに、入れ替わったらもういてもたってもいられなかったのだ。 |
| ¨ |
[R] No.1203
「ねぇ、双葉。あんなに彼が求めすぎるって迷ってたのに、どうしたの?」
「やっぱりあの広告の、入れ替わり体験のおかげ?」 「『彼氏がすごく優しくしてくれるようになって…♪』だったっけ?」 女子更衣室はこの話題でもちきりだった。 下着姿の同僚達に少しドギマギしながらも、怪しまれないように応える。 「う、うん、そうなの。優しいっていうか、して欲しいって思うこと全部わかってもらえるっていうか…」 こんなことを明け透けに言ってしまうあたりは、やはり元男だった。 「うわ、双葉がそんな生々しいこと言うようになるなんて」 「いいな~。私の彼、いい人なんだけど奥手で…わたしも一度入れ替わり体験してみよっかしら」 --- 一方、男になりすました彼女も同僚男性に女の子がサービスしてくれるような店でお祝いされていた。 「ほら、こんな店も結婚したらもう来れないぜ」 「しかし彼女があんまりヤらせてくれないって言ってたのになぁ」 「『彼女の気持ちが理解できました』、てマジメぶってよ」 例の広告モデルのことだ。 「いやぁ、実際はわた…双葉の弱いとこがよくわかってさぁ。そこ責めるようにしたら、もうズッポリはまっちゃって。店の子だて、ほら」 「いや~ん、お客さん上手…ぁ、ほんとに…あん♪」 「ぼ、僕、自信なかったけど、そんなふうに知れたら彼女とうまくやれるかも」 「俺も最近倦怠期ぎみだし、試してみるか」 こんなことが、あちこちで起き始めていた。 次第に入れ替わってみる男女は増え…ひそかに、入れ替わったままの男女が世の中に増えていった。 女性の体を知り尽くしたテクニシャンな男と、男のように快感に貪欲なエロ女が。 |