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岡村晴美 2024年4月3日衆議院法務委員会(民法改正の参考人聴取)ー脚注あり版

 共同親権の問題について正しく知ってもらいたい弁護士の会より、衆議院法務委員会にて参考人となった際の配付資料です。
 なお、参考人聴取の書き起こしは、こちらから(七緒さん、ありがとうございます。) https://note.com/nao302198765/n/n507aeef4f576

家族法改正に関する懸念ー家事事件の現場から

 名古屋で弁護士をしております岡村晴美と申します。弁護士になって17年目になります。取扱分野は、DV・性虐待・ストーカーの事件が8割、残りの2割で、職場のパワハラやセクハラ、学校のいじめの事件を担当してきました。離婚事件に関しては、これまで1500件ほどの相談を受け、受任した事件は600件ほどです。DV事件を担当してきた弁護士として、今回の改正に反対の立場からお話しします。

資料1:岡村晴美「親権、面会交流に関する家裁実務からみえること」熊上崇/岡村晴美編著『面会交流と共同親権』明石書店2023年
資料2:岡村晴美「離婚事件の現場から見た民事法律扶助の現状と問題点」自由と正義2024年1月号)

 ここ数年、困難女性支援法の成立、DV防止法の改正、性犯罪に関する刑法改正など、困難や暴力にさらされる女性の支援法の整備が進められてきました。しかし、支援の現場にいる私たちはそれを実感できていません。
現在、DV被害者は、受難の時を迎えています。日本では、まだまだ男女の賃金格差が大きく、「ワンオペ育児」という言葉に象徴されるとおり、性別役割分業意識が残り、経済的に劣位に置かれる女性の多くは、家庭の中でDVを受けても、子どもを育てるために我慢を重ねるという現状があります。DVには、身体的暴力はもちろん、精神的暴力、性的暴力、経済的暴力、社会的隔離などの非身体的暴力を含みますが、それが社会に周知されているとは言い難く、身体的暴力が重いDVで、非身体的暴力は軽いDVであるという誤解があります。DVの本質は支配であり、暴力は手段です。海外では、Domestic Violence(DV)という言葉を改め、Domestic Abuse(DA)という言葉が使われるようになっているそうです。
 DVに関する無理解のもと、子連れ別居をしたことを、そこだけを切り取って、「連れ去り」「実子誘拐」などと非難する風潮が生まれています。DV被害者に対して、誘拐罪での刑事告訴や民事裁判、被害者側弁護士に対する懲戒請求、「自分の方が連れ去られ被害者である」旨をSNS等で発信し、配偶者や子ども、その親族の写真や個人情報を公開するなど、加害行為が別居後にも終わらず、むしろ、復讐にも近い形でエスカレートするケースが増えています。(注1)

(注1) 「連れ去り被害」や「共同親権」を求める活動をしていた者による元配偶者の名誉を毀損する行為を行うなどの行為や殺人未遂に及ぶなどの事件が発生している。(資料3:「元棋士を殺人未遂で逮捕 元妻らをくわで殴り殺害しようとした疑い」京都新聞2023年7月20日、資料4:「破れば処罰の選挙ポスターで妻を中傷、49歳男に有罪判決…東京地裁「非常に悪質」」読売新聞2023年12月8日)。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1071596
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231207-OYT1T50213/
 また、「連れ去り被害」や「共同親権」を求める発信として、「連れ去り弁護士ほど子煩悩をアピールしていたりする」「この貧困マッチポンプ活動家」「自称DV被害者の誘拐、児童虐待を推進してきた○先生」「婚姻費用とは子どもを連れ去った誘拐犯に認められる身代金請求権のことである」などのツイッター投稿で、他の弁護士に対する名誉棄損又は誹謗中傷したとして戒告処分を受けた弁護士が、受任した事件においても、「不当な目的のため、裁判官に対する忌避申立てを繰り返すなどして、訴訟を約3年6か月遅延させ、また、同一当事者間の別の受任事件において、自らが手続代理人として関与した同事件と無関係の第三者を当事者とする調停調書を証拠として提出し、そして、同一当事者間の更に別の受任事件において、審判廷内において大声を出し、審判官の退廷を妨害すると共に、審判の過程を無視し、依頼者と一緒になって実力行使で依頼者の子との面会交流を実施しようとした」という行為で業務停止1月の処分を受けるにいたっている(資料6:神奈川県弁護士会「当会会員に対する懲戒処分についての会長談話」2024年3月29日)。
https://www.kanaben.or.jp/profile/gaiyou/statement/2023/post-436.html

こうした事件は、特殊な者による特殊な事件と言うよりは、氷山の一角と理解すべきである。共同親権を求める声の大きさに比して、相手方当事者は恐怖感から発信力が弱く、不均衡な立場におかれていることには、法制化のニーズがどこにあるのかを考える上で、留意が必要であろう。

 離婚や別居でDVが終わるという時代はもう終わりました。適切な言葉がないのですが、海外では、Post Separation Abuseというそうです。日本においても、非常に深刻な被害が生じていますが、世間に知られていません。「離婚後もパパもママも」という言葉は心地よい響きですが、離婚後も子どもを紛争に巻き込み続ける危険性について、真摯に受け止めて考えなくてはなりません。
 共同親権制度の導入を求める人たちの中に、離婚後の子どもに対する養育責任を果たすことを目的としている方もいるでしょう。しかし、親権を権利と捉え、強く「親の権利」を主張して、自分の思い通りに子どもに関われないのは、単独親権制度のせいであるという、誤解に基づいた主張も散見され、家事事件の現場で、紛争性を高めているという実態があります。(注2)
 例えば、「未成年者等の健全な育成を監督する」ために別居親が面会交流を求め、面会交流の不実施について違約金を定めるよう主張するなどした事案では、監護状況の監視を目的とする面会交流は、必要性がないばかりか、子を別居親と同居親との間で精神的に板挟みの状況に置きかねないとして、子の利益に反する旨判断されています。(資料3:千葉家裁松戸支部平成31年1月30日審判)
 別居親が、同居親に対し、「父子断絶をもたらした」「しつけもできず監護親として不適格」などと非難を繰り返し、年3回、1回あたり2~4時間の面会交流を認めた審判を足掛かりに、間接強制を繰り返し申し立てるなどした事案では、その抗告審において、別居親と子との面会交流は禁止されています。(資料4:名古屋高裁平成29年3月17日決定)

(注2) 『離婚事件における家庭裁判所の判断基準と弁護士の留意点』武藤裕一(名古屋地方裁判所判事)/野口英一郎(弁護士)共著、新日本法規、2022年は、「近時、面会交流に関する権利意識の高まり(もっとも、面会交流は親の権利でないと解するのが判例・通説です(吉川昌寛「面会交流事件と要件事実論に関する一考察」判タ1469号31頁、2020年)とともに、この類型の子の利益に反する事情が問題となるケースが増えている。」と指摘する。参考裁判例として、本文中に指摘した2つの事案のほか、「別居親が、その希望どおりの面会交流をさせない同居親のことを「虐待者」、「異常者」などと非難し、同居親の意に反して再三にわたり同居親や子に話しかけたり、連絡をとってきたりしたことで、同居親が別居親に対し強い不信感や嫌悪感を抱いている事案(資料5:仙台家裁平成27年8月7日審判)、「当事者間に離婚をめぐる紛議が係属しており、同居親は、別居親から精神的に虐待を受けたと主張し、別居親による子の連れ去りを懸念するなど、当事者間の信頼関係が失われている状況にある事案(資料6:東京高裁平成25年6月25日決定)が取り上げられている。

 これらの事案は、共同親権制度が導入された場合に、共同から除外されるのでしょうか。共同親権制度の必要性については、不信感を根拠に監視し合うことにあるようにも解されており、不安でなりません。
 2010年代以降、家庭裁判所は、面会交流について、かなり積極的に推進してきました。2011年の民法改正で、「面会交流」が明文化され、2012年、裁判官が論文を発表すると、面会交流は「原則実施論」と呼ばれる運用となりました。調停の席で、「どんな親も親は親」「虐待があったからこそ修復をしていくことが子どものため」という説得がなされ、DVはもちろん、虐待も、子の拒否すらも軽視されて、同居親にとっても子どもにとっても非常に過酷な運用がなされました。法制審議会では、2010年の調査に基づき、「離婚直後は紛争が激しいが、3年とか5年で落ち着いてくる」ということが紹介されていましたが(注3)、2011年以降、実務は様変わりしています。

(注3)第8回の法制審議会における棚村政行氏の発言「2010年で少し古くなってはいますが、面会交流に関する制度などの調査研究をしたとき、別居中の御夫婦の紛争というのが大体7割ぐらいあって、紛争が深刻化していたり、解決が困難な事例が多くみられました。どちらかというと離婚後の紛争というのは、離婚直後は結構紛争が激しかったりするのですけれども、3年とか5年ぐらいたつと少し落ち着いていくという傾向が何となく見て取れました。」とあるが、資料として古すぎて、現時点の実務感覚には適合していない。

 家族の問題の根本は、人間関係です。離婚後に面会交流ができる人は自分たちで自由にやれています。それができない人、つまり、自分たちで決められない関係にある人たちが法律・裁判所を使います。その結果、困難な事案ほど、面会交流の細かい取り決めが求められ、審判で命じられるということになりました。面会交流時の殺人事件や、面会交流中の性虐待事件も起こっています(注4)。これは、極端な事例ではなく、氷山の一角です。このような実態を踏まえ、2020年、家庭裁判所は、運用をあらため、ニュートラル・フラットの方針を示しました。原則・例外ではなく、ニュートラルで、フラットに、事案に向かうということが提案されたのです(注5)。

(注4) 2017年1月に長崎県で、面会交流中に子どもを元夫宅に連れて行った元妻が、殺害され、加害者も自殺するという事件が起こり、同年4月には兵庫県伊丹市で、面会中の娘が殺され、その父親も首を吊って死亡した(資料10:「離婚後共同親権危惧強く 母悲痛「同じ思いさせるな」」高知新聞)。法制審議会では、殺人事件は特殊な事件であるとされ、法改正の参考にされなかった。面会交流中の性虐待については、相当程度の件数が起こっているが、刑事事件として明るみにでるものは少なく、面会交流の条件が見直されたケースに関する調査すらされていない(資料11:「父親からの性暴力で負った「心の傷」 少女と母親が法廷で伝えた思い」朝日新聞、資料12:「離婚後「共同親権も可能」「DV続く」懸念根強く」信濃毎日新聞)。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a49f885abdc8f5d5b371bdd1e73af36579103326
https://www.asahi.com/articles/ASR876RPCR87ULOB001.html
(注5)  細矢郁ほか「東京家庭裁判所における面会交流調停事件の運営方針の確認及び新たな運営モデルについて」日本加除出版『家庭の法と裁判』2020年6月号が発表されたことにより、「原則実施論」と呼ばれた運用(禁止・制限すべき事由が認められない限り、直接交流を実施しなければならないとする調停運営がされていた。なお、この点に関しては、前掲武藤裕一裁判官ら『離婚事件における家庭裁判所の判断基準と弁護士の留意点』においても同様の指摘がある(同139頁))は見直されている。同論文によれば、「同居親に対する十分な配慮を欠いた調停の運営があったようであり、批判がされてきた」と記載されている。同論文には、「一方で、別居親側からは、面会交流調停事件の調停運営について、面会交流の内容が極めて貧弱であるとか、調停に合意しても実際には履行されないなどの批判がされてきた」とあるが、日本の法制度上、紛争性の高いケースしか裁判所が関与していないという特徴があり、別居親にとっては不満であっても、「小さく産んで大きく育てる」方が最終的には円滑な面会が可能になるという側面があること、また、同居親に対する十分な配慮を欠いた調停の運営がされたことにより、本来、直接交流を認めるべきでないケースにも交流が強いられ、子どもの安全を優先したり、意思を尊重することにより、履行しようにも履行できない原因になったという側面がある。                           

 「面会交流は子どものために良いもの」という推定のもと、DVや虐待などの不適切ケースは調査によって除外できるという考えで、弊害を生じさせてきました。これは、共同親権制度の導入を考えるときにも参考にすべき経験です。「親権の共同は子どものために良いもの」という推定に基づいて「原則共同親権」という解釈は、子どもの利益を害します。
 共同親権制度の賛否が聞かれることがありますが、私は、「共同親権か、単独親権か」、という問題の立て方に違和感があります。「離婚後の父母と子の関わり」をどう考えるかという問題であり、法制度のあり方にはグラデーションがあるはずです。
 現行法では、離婚後の同居親が親権を行使する場合、つまり子どものことを決める場合、単独でもできるし、別居親と一緒に決めることもできます。1人で決める、つまり単独親権と、相談して決める、つまり共同親権を選択して行使することができます。しかし、共同親権制度が導入され、共同親権が適用されれば、単独で行使することは、例外事由にあたらない限り許されなくなります。つまり、同居している監護親が一人で決めることが出来なくなるということです。他方の親に、拒否権を与えることになるのです。「単独行使ができるのか、単独で行使すると違法になるのか」というのが共同親権問題の正しい捉え方で、父母の意思疎通の困難さを軽視して共同親権を命じれば、子に関する決定が停滞し、裁判所がDVや虐待を見抜けずに共同親権を命じれば、DVや虐待の加害が継続することになるということを深刻に捉える必要があります。
 他方で、日常の監護に関する共同の規定は、現行法においても民法766条という規定がすでに存在しています。共同養育に関しては、当事者間で協議ができないときには裁判所が審判で命じることができます。親権の有無と面会交流の実現とは、別の問題です。面会交流については、非合意型の審判制度を認めつつ、親権という子どもに関する決定に関わる規律については、父母双方の合意がある場合のみ共同行使を選択できる現行法こそ、子どものために最善で、最適解の落とし所だと考えます。
 今回の法改正は、「子どもの養育責任を果たさない親に責任を果たさせるもの」でもありませんし、「子どもが別居親に会いたいときに会える手続きを定めたもの」でもありません。「同居親の育児負担を減らすもの」でもありませんし、「男女共同参画を進めるもの」でもありません。「選択肢が広がって自由が増える制度」でもありません。「父母が協議して共同親権を選べるようになる」という説明がされることがありますが、そこが論点ではありません。共同親権制度は、自由を広げる制度ではないのです。相談して決めることが出来そうな人たちにとっては必要が無く、相談することができない対立関係にある人ほど強く欲する制度。それが共同親権制度です。
親権の共同行使の合意すらできない父母に、それを命じたところで上手くいきません。第三者機関がサポートできるのは、「双方に合意がある面会交流」に限られていることに留意する必要があります。DVや虐待が除外されなければ、共同親権が支配の手段に使われる可能性がありますが、改正法に抑止策はないに等しいです。
 法制審議会の家族法部会で要綱を決議した際には、3名の反対、1名の棄権があったものの、多数決で採決されました。端々にある極端な意見を切って中庸をとったというのではなく、DV被害者やシングルペアレント支援者の意見が切り捨てられる形となりました。どうか、国会で慎重に議論してください。法制審議会で、中心的な役割を果たした棚村政行委員は、取材に対し、「共同親権が望ましい場合の基準や運用について十分な議論ができなかった」と述べています(資料13:「割れた賛否 今後に課題」中国新聞社、2024年3月24日)。結論ありきで、議論が不十分なまま押し進めるのは絶対に止めてください。
 反対や慎重な検討を求める声は、たくさん上がっています。
2024年1月、弁護士有志から、法務省に対し、慎重な議論を求める申入れを行いました(資料14:共同親権の問題について正しく知ってもらいたい弁護士の会、法務省申入れ「実態を無視して、拙速に共同親権導入を進めないでください。」)。

 その際にも、多数の切実な声が寄せられました。代表的なものを2つご紹介します。
 1つ目は、「ごく普通の離婚」の場合でも共同親権制度の導入は子どものためにならないという点。「離婚というものの本質は元夫婦間の信頼関係の決定的な破綻。信頼が破壊された父母間が法的手続きを利用している。信頼関係にない父母による共同親権は子どものためにならない」。
 2つ目は、「共同親権制度に対する深刻な懸念の声を届けても真摯な対応はなく、皆、失望しています」という点。「現行法でも何ら共同養育をすることに問題はない。相談者、依頼者から、深刻な懸念の声を聞いている。フォロー・ケアの担保なくして法制化はありえない。」

 2024年2月に実施された弁護士ドットコムのアンケートでも、要綱案に8割が反対という結果が出ています。法案提出前の議論についても、8割が「議論が尽くされていない」と回答しています。「離婚の現場はどう変化するか」という問いに対しては、紛争が長期化する/対立が深まる/取り決めが細かくなる/トラブルにつながる/結婚や離婚を諦める人が増えるという声が寄せられています。子どもにプラスになるという意見が、「子どもの養育に、共同していく意識が醸成される」という理念的なものに止まるのに対し、子どもにマイナスになるという意見は、「保育園入園妨害など、子の福祉に反する状況の発生」「監護親が進学や病気の際などに速やかに方針決定できない」など、子どもの生活に直結しています。(資料15:弁護士ドットコムニュース「共同親権を導入する民法改正要綱案「たたき台」、弁護士たちの評価は?」)

 導入されようとしている改正案は、問題が山積みで、15分の間に指摘つくせるものではありません。
 最も懸念されるのは、共同親権が適用されれば、同居中であっても、別居後であっても、他方の親の許可が必要となり、許可をとらなければ、違法とされ、慰謝料請求されることになるということです。これを抑止する手当がされていません。Post Separation Abuse の武器が、無限に加害者に与えられます。対策なく法改正されることになれば、家族法が、ストーカー促進法、嫌がらせ支援法となりかねません。
 裁判所の人的・物的資源の拡充なく、規定が先行することに対しても大きな懸念があります。現在でも家裁はパンクしており、2か月に1回くらいしか期日が入りません。共同親権制度が導入された場合、共同親権なのか単独親権なのか。共同親権にした場合に監護者を定めるのか定めないのか。監護者を定めなかった場合に、監護の分掌、例えば、教育は父だが、医療は母などの取り決めをするのかしないのか。はたまた、平日は母が監護し、休日は父などの監護の期間の分掌(交替監護)をするのかしないのか。複数申し立てられた項目の採否を、家裁がすべて判断することになります。これを多様性の反映とは言いません。制度の複雑化です。
 そして、折角決めても、共同親権と決まった場合に問題が生じれば家庭裁判所に持ち込んで決めてもらう必要が生じ、今後に備えて、単独親権を求める申立てもあわせて起こることでしょう。そして、単独親権と決まっても、数年後には共同親権への親権者変更が起こされる可能性があります。
祖父母等、第三者の面会交流が認められたことによる、面会交流事件の件数の増加、審理の長期化も避けられません。
 中間試案に対する各裁判所の意見にも、争点が複雑化し、審理が困難で長期化し、申立てが濫用されるという意見が随所で上がっていました(資料16:最高裁判所事務総局家庭局・民事局「家族法制の見直しに関する中間試案に対する各高等裁判所、各地方裁判所及び各家庭裁判所の意見」令和5年2月)。これらは、容易に推察できる、具体的かつ深刻な懸念です。

https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2023/06/家族法制の見直しに関する中間試案に対する各高等裁判所,各地方裁判所及び各家庭裁判所の意見(令和5年2月の最高裁判所家庭局・民事局の文書).pdf

 現場の感覚で申し上げるなら、裁判官、調査官の増員は、2倍、3倍では足りません。過重な事件を抱えた家庭裁判所が、迅速に審理を進めようとすれば、「原則共同親権」の運用に流れ、説得しやすい方、つまり弱い方に痛みが強いられ、子どもやDV被害者側の意見が封じられることになるでしょう。
 現場から声を上げても、意思決定機関に届くすべがなく、今回、このような機会をたまわりましたこと、本当にありがたく思います。どうか、家事事件の現場の声に耳を傾けて欲しいと思います。
 以上が、私からの報告となります。ご清聴ありがとうございました。

                                              

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