【第46回】なぜ私たちは「グレーゾーン解消照会制度」を使って代理申請問題に挑んだのか?
~中小企業庁・経済産業省との攻防の現実~
補助金申請現場の「常識」への疑問
補助金申請において、「代理申請は禁止」というルールが当然のように押し付けられています。
しかし、法律(補助金適正化法)にはそのような明文規定は存在しません。
にもかかわらず、現場では「本人申請以外は違法」とまで言い切る運用が続いています。
ましてや私たち法律問題には疎い中小企業診断士は「あ、そうなんですね」と何も疑問に思わずに受け入れてしまい、そのまま一方的な制度の運用を許してしまっている。
本当にそれは正しいのでしょうか?
私たちはこの疑問を放置することなく、正面から問いただすため、グレーゾーン解消照会制度を活用して公式な法的照会を行う決断をしました。
グレーゾーン解消制度とは?
この制度は、事業者が自らのビジネスに対して
「この行為は法令に違反するのか?しないのか?」
を事前に所管官庁に問うことができる仕組みです。
グレーゾン解消制度について(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/index.html
国側はこれに答えることで、民間のリスクを減らし、円滑な事業活動を促すことが目的とされています。
つまり、今回の「代理申請問題」についても、制度を正しく利用して
「違法なのか、適法なのか」
をあらかじめ確認することは、制度本来の趣旨に完全に沿った行動なのです。
照会の趣旨と具体的な質問内容
私たちは以下の趣旨で照会書を作成し、中小企業庁へ提出しました。
📄【照会内容の要旨抜粋】
本照会は、補助金等適正化法第5条に基づく「交付の申請」において、
代理人を通じた申請行為が禁止される法的根拠の有無について確認するものである。
また、補助金等適正化法およびこれに基づく各省各庁の長の処分において、
「申請は本人に限る」との解釈が導き得るのかどうか、明確な見解を求める。
要するに、「代理申請禁止は本当に補助金適正化法から導かれる解釈なのか?」という一点を公式に問うたわけです。
なお、事業再構築補助金の件は訴訟中であるため、
あえて対象から除外し、代理申請の一般論についてのみ照会しました。
この慎重な配慮により、「訴訟中だから回答できない」という逃げ道も塞いだつもりでした。
中小企業庁の対応:まさかの「全面拒否」
ところが、中小企業庁総務課から返ってきたのは、
「現在訴訟中の案件については回答できない」という驚くべき回答でした。
私たちが、
「今回の照会は事業再構築補助金とは無関係」
「一般的な法令解釈についての質問にすぎない」
と再三説明しても、回答は変わりませんでした。
要するに、中小企業庁は全件拒否という立場を取ったわけです。
経済産業省の反応
経済産業省の担当部局にも事情を伝えましたが、
「中小企業庁の回答を待つように」
という態度でした。
しかし経産省側も、
「財務省などより上位の主管官庁に聞くのは意味がある」
との見解を示しており、現場レベルでも違和感を持っている様子がうかがえました。
見えてきた問題点
この一連の対応から浮き彫りになったのは、次の2点です。
中小企業庁には法解釈に対する説明責任を果たす姿勢が欠けている
グレーゾーン解消制度が、行政にとって「都合の悪い問い」には使えない仕組みになりつつある
本来、グレーゾーン照会制度は、事業者のために存在しているはずです。
それにもかかわらず、今回のような対応がまかり通るのであれば、
補助金申請者は一方的な運用ルールに泣き寝入りするしかありません。
次回予告
このままでは終わりません。
私たちは次なる手段として、財務省主計局に正式な法的照会を行うことを決定しました。
なぜ財務省なのか?
そして、財務省が動くことで何が変わるのか?
次回は、財務省への照会とその意義について詳しく解説します!
ぜひご期待ください。


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