パーティーガール(1995)
デイジー・フォン・シャーラー・メイヤー
↓ネタバレあり
史上最高のパーティーガールがお送りする史上最高の司書映画──パーティー大好きなギャルが図書館員(司書)を目指すまでの輝ける軌跡を、レコードのDJプレイとカラフルなファッションとともに。パーティー暮らしで金に困ったメアリーは図書館員で名付け親のジュディに司書として働かせてくれと頼み込むが、「司書は図書館学を修めた人がその資格を持つ専門職ですから」と言われてしまいまずは事務のバイトから。その瞬間が彼女の人生に大きな意味を持つ分岐点だったことはその時は知る由もなく。デューイ十進分類法を覚えられずににイラつきながら不貞腐れ顔でバイトするメアリー。しかし彼女はただの怠惰ガールじゃない!DJが回すレコードに乗せて図書館のフロアはブチ上がる。パーティーで酒をかちこんだ勢いそのままに深夜の図書館でDDC(デューイ十進分類法)の解説書を開くメンタリティを持っていたのだ。DDCを応用して友人DJのレコードを分類してあげたり、習得したレファレンス(図書館利用者の問い合わせをうけて調べものを手助けすること)のスキルを恋人のために活かしたり。パーティーガールと図書館員の両属性をどちらも諦めないメアリーの人生は眩しい輝きを放ちながら切り拓かれていく。あなたは世界一魅力的なギャルです。優勝!優勝!
実はわたくしRinは大学で図書館・情報学(library and information science)を専攻した人なんですが、もうこの映画は自分のためにある映画なんじゃないかと思って途中から泣きそうになってた。監督が図書館・情報学徒だったんじゃないかと思うほどしっかりとした司書描写だったし、自分らしさと社会的な在り方のどちらも諦めない素晴らしい成長譚だった。そしてメアリーの着る服がお洒落なこと!アイボリー地の柄物のセットアップが私のお気に入り。服好きとしても大満足の映画だった。濱口竜介『親密さ』以降更新が止まっていた人生ベストに久々に新たな作品が追加されたことをここに宣言いたします。ル・シネマさん、これが1週間限定上映なんてもったいないよ。私ももう一度観たいから延長お願いします!
ちなみに、デューイ十進分類法の大分類は以下の通りになる。
000 総記
100 哲学
200 宗教
300 社会科学
400 言語
500 自然科学
600 技術
700 芸術
800 文学
900 歴史・地理
この並び順は人類の思考の営みにおける前提-後続を表しているかのように思えて面白い。自然科学の前に社会科学があり、社会科学に先んじて宗教や哲学がある。コペルニクスによる太陽中心説の提唱は今では「コペルニクス的転回」という言葉になっているほど画期的なパラダイムシフトとして有名だが、その思考の端緒に「神が完璧を期してこの宇宙を作られたのてあれば、その宇宙を照らすランプは部屋の中心に置くのが最も効率的だ」という宗教的な発想があったことはあまり知られていない。芸術の前に技術があることからは、リュミエール兄弟が発明したフィルムの輸動/停止をを1コマずつ繰り返す機構、その名をシネマトグラフという装置によって映画が産声を上げたことを思い出さずにはいられない。そして文学の後に歴史がある。歴史は創作物の最たる例であり、勝者が語る物語だ。
ちなみにちなみに、日本の図書館では森清(もりきよし)さんがデューイ十進分類法をベースに考案した日本十進分類法(NDC)が使われていることが多い。