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ゲイであることに苦しんだアーティストの與真司郎さん 公表するまで葛藤 さまざまな悩みを抱えている人たちに送るメッセージ

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[與真司郎さん](下)ゲイを告白「どんどん嫌われていく」 ファンの前で流した涙のワケ…公表後に生じた変化

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ファンの反応

――2023年7月に、ファンミーティングを開いて公表されました。ご自身で公表すると決めても、当日まで葛藤がありましたか。

 それはもう、ありました。世間やファンの方々がどう受け止めてくれるか分からないし、なんなら嫌われて、日本には住めなくなるとも思っていました。曲を出しても、絶対に応援してくれる人は減るし、どうやっても生きていけない。

――当日、舞台に立って、用意していた原稿を読まれた時、どのようなお気持ちでしたか。

 会場はシーンとしていて、「あぁ、終わったな」と。みんなにどんどん嫌われて、本当に「孤独の最上級」でした。ただ、ここまで準備をしてきたし、たとえ一人でも救われる人は絶対にいると考え、最後まで読むことにしました。

――途中で涙を流されていましたね。

 昔の、本当につらい思いをしてきた時のことがフラッシュバックしてきて……。世間にやっと言えたという気持ちと、もう嫌われてしまったのではないかっていう、いろいろな感情が湧いてきて、泣いちゃったという感じでした。

――その時、ファンの方から、「頑張れ」「大丈夫だよ」という声も飛んできました。それを聞いて安心はされましたか。

 すごく助かりました。あれがなかったら、その後は言えていなかったかもしれません。ただ、また読み始めた時に、ファンのみんなのことを見てみたら、シーンとなっている。応援してくれている人って、(会場にいた)何千人の中で、本当に1桁くらいしかいないんだなという感覚に襲われました。

 でも、読み終わって会場が明るくなり、ファンのみんなが笑顔になった瞬間、「大丈夫だったんだな」って思いました。

自分の行動力に感謝

――日本では、LGBTQ+という言葉が、ニュースなどでも出てくるようになりました。理解は進んでいると思いますか。

 LGBTQ+という言葉は知られるようになりましたし、ゲイだから気持ち悪いと思ったらダメなんだということは分かってくれるようになったと感じています。少しずつだけど、理解は確実に進んでいると思います。

 でも、「私には関係ない、周りにいないから分からない」と思っている人はたくさんいる。だから僕たちは言いづらいんですよね。本当は周りにいるんですよ、絶対に。

――カミングアウトをしてから、生活は変わりましたか。

 徐々に、自分のことを話せるようになり、自分がオープンになることで、本当に信頼できる仲間、本当に愛してくれる人がどんどん増えていきました。今、残ってくれているファンの皆さんも、本当に自分を好きでいてくれているという安心感があります。

 自分は自己肯定感が超低かったのですが、今は自信が持てるようになりました。ネガティブなことがあっても「大丈夫、大丈夫。次があるから」と思えるようになりました。自分のことを認めてくれる人たちが周りにいる安心感もあり、自己肯定感は高まっていったと感じています。(カミングアウトできた)自分の行動力にも感謝しています。

――LGBTQ+に限らず、様々な悩みを抱えている人はたくさんいます。アドバイスはありますか。

 一人で抱え込むのは絶対にやめた方がいい。LGBTQ+の人も含めて、何かに悩んでいる人って、一人では絶対に生きていけない。本当の自分を愛してくれる人を探す旅に出てほしいなぁと思います。そうでないと本当にメンタルはやられます。

 世界は広い。今いるボックス(箱)の外に、太陽の光はあります。絶対に自分のことを分かってくれる人はいるのであきらめないでほしいです。僕はあきらめなかった。自分を好きだと言ってくれる人がいると信じて、ずっと探していました。

――今後は、どのように活動したいと考えていますか。

 今まで頑張ってきたので、これからは自分へのご褒美だと思って、好きなように、自分を信じて生きたいです。

 悩んでいる人を助けたいという気持ちもあります。一緒に悩んで助け合っていきたい。歌もそうだし、最近、スピーチもします。プライベートで悩んでいる友達がいたら、相談にも乗ってあげたい。

【写真2枚】與真司郎さん 「人生そんなもん」

與真司郎さん

あたえ・しんじろう
 1988年11月26日生まれ。京都府出身。2005年に男女混合パフォーマンスグループ「 AAAトリプル・エー 」のメンバーとしてデビュー。その年の日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞し、NHK紅白歌合戦にも10年から7年連続で出場した。20年にグループ活動が休止した後は、ライフスタイルブランド「446―DOUBLE FOUR SIX―」を設立するなど多方面に活躍。23年7月からアーティスト活動を再開し、「Into The Light」を発表した。25年4月、苦悩した日々をつづった著書「人生そんなもん」(講談社)を発売した。

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