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ゲイであることに苦しんだアーティストの與真司郎さん 公表するまで葛藤 さまざまな悩みを抱えている人たちに送るメッセージ

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[與真司郎さん](下)ゲイを告白「どんどん嫌われていく」 ファンの前で流した涙のワケ…公表後に生じた変化

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 男女混合パフォーマンスグループ「 AAA(トリプル・エー) 」のメンバーで、アーティストの (あたえ) 真司郎さんは、ゲイであることを誰にも言えないまま2016年、米ロサンゼルス(LA)に向かいました。日本を離れて生活するうちに、「自分の言葉でカミングアウト(公表)したい」という気持ちになっていったといいます。今は、様々な偏見などに苦しむ人たちの力になりたいという思いも強いそうです。(聞き手・利根川昌紀、写真・秋元和夫)

渡米先でもオープンになれない

――ロサンゼルスに行くことにしたのは、どうしてですか。

 自分がフリーになりたい、ゲイであるということを認めてもらえる街に住みたいと考えていました。どうせ行くなら英語も学びたいし、「LAだったらエンタメでしょう」と、エンターテインメント科がある大学に通うことにもしました。

――ご自身は変わることができましたか。

 正直、大学では全然、オープンになれませんでした。日本人もいましたし、ばれたらダメだなと思って……。ゲイであることはカミングアウトできない。友達もできませんでした。アメリカでも自分らしく生きられないし、日本でももちろん自分らしく生きていけないから、どうしたらいいんだろうって、焦っていました。

――ロサンゼルスでは、ゲイタウンには行かなかったのですか。

 それが行っていないんです。日本人がけっこういるので、ばれる可能性があると思って行けなかったんですよ。

――でも、ゲイの方とお知り合いになれたんですよね。

 アプリを使いました。ゲイが集まるマッチングアプリみたいなものです。でも、それにも問題がありました。自分は顔を載せられない。結局、そこにも日本人がいるので、スクショ(スクリーンショット)されて出されたら終わりなので、出会うのが難しかったです。

 けれど、一人、すごくいい人と出会えたんです。相手もパブリック(公)には言っていなくて、お互い、その点で気が合って、本当にラッキーでした。めちゃくちゃコネクションがある人で、そこから輪が広がっていったっていう感じですね。

「おまえはできる」

――ロサンゼルスで生活しながら、ゲイであることを公表しようという気持ちに変わっていったそうですね。どんなきっかけがあったのですか。

 その彼から、「将来、絶対に公表した方がいい。おまえの性格なら絶対に(同じ悩みを抱える)人を助けられる。行動力もあるし、おまえはできる」と言われたんです。

 前向きな考え方をする人で、すごく支えてもらいました。ただ、その時は、親にも家族にも言いたくなかったし、「そんなんできるか!」ってずっと思っていました。

 でも、恋愛もしていきたいし、人生、プライベートにも花を咲かせたい。楽しく生きたい。それには、カミングアウトしないといけないなと思うようになっていきました。

 僕は、表に出る仕事をしているので、うわさがすぐに出回っちゃう。週刊誌やSNSで、「與くんがゲイバーにいて、男の人と手をつないでいたんだよ」とか出されて、変に伝わる方が嫌だなと思ったんです。だったら、自分の言葉でカミングアウトする。自分の自由を、人生を楽しむためには、パブリックに言う(必要がある)。加えて、公表することで、(同じ境遇で)助かる人は絶対にいる。自分が小さかった時、こういう人がいたら、めっちゃ助かっただろうなって思いました。若い人たちには、僕のような苦悩を経験してほしくないという思いも強かったです。

――2021年にまず、お母さんに告白されました。

 電話で伝えました。僕が泣いちゃったら、(電話の向こうでも)泣いている。「もっと早く言ってくれればよかったのに」と受け止めてくれました。

 お母さんは気づいていなかったみたいです。というのも、一番、多感な15歳のころ、中学を卒業してからすぐに家を出てしまいましたので。「気づいてあげられなくて、ごめんね」という思いが強かったようです。

 家族は受け入れてくれました。ただ、(世間に)公表することについては、なかなか、賛同してくれませんでした。でも、自分の人生を決めるのは自分です。自分では、「公表する」と決めていました。

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